のんびりしたい魔人と氷姫 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
5 / 14

似た者同士

しおりを挟む
SIDEゼロ


 川から助けを求めてきた少女をゼロは救出した。

 氷の船は少女を抱え、岸に飛び乗ったその時に完全に自壊し、間一髪だったことがうかがえる。





 そっと下ろすと、その少女はぺこりとお辞儀して礼を言ってきた。

「見知らぬ方に助けていただき、ありがとうございます」
「いえ。こちらこそただ体が勝手に動いたものですからね」

 互いに言葉を交わし、ゼロふと気が付く。

 やけに目の前の少女は精錬されているというか、どこか高貴さを感じさせる。


「氷魔法を私は得意としてあの船を作りましたが、まさか溶けるとは思わず……」
「いや、時間が経てば溶けるでしょう。というか、追加の氷魔法で船体を維持することができたような気もしますが」
「その方法がありましたか!?」



……あ、この人どこか大事なところでドジするタイプか。


 ゼロの言葉に驚く少女の顔を見て、ふとゼロはそう思った。










 どうしてこうなっていたのか、尋ねてみるとどうやらこの川の上流の方にあるメーリング王国とかいう国の侯爵の娘だったそうだ。

 でも、その国で行われたパーティにて婚約破棄に加えて国外追放させられて、今に至るそうな。


「あ、申し遅れました。私の名前はフリージアです。貴族から平民へ落ちてますのでこれだけですね」
「えっと、俺はゼロだ。…‥‥ところでお嬢さん、何でこんなにぺらぺら見知らぬ他人に普通に話しているんだ?」


 もう正直すぎて心配になってくるんだが。これ俺じゃなかったら確実にやばいことを強要しようとする輩とかに利用されそう。

「いえ、大丈夫です。私はこう見ても人を見抜く目だけには自信があり、どう見たってあなたが悪人には見えないので話しているのですよ。それに、いざとなったら氷魔法で凍らせて逃げることもできますし」


 
 なるほど、とゼロは思えた。

 先ほどの氷魔法で作ったらしい船とかを見ても、別にか弱い少女と言うわけではないようだ。

 自衛手段もはっきりとしているし、なによりも貴族として育ったがゆえに悪意とかを感じやすいのであろう。


 

 でも、何処かが違うようにもゼロは思えた。

 そこで、ふと思いついたことをつぶやいてみることにして、確かめることにした。


「……一富士二鷹」
「え?三茄子?」

「東京特許」
「許可局?」

「青い猫ロボ」
「未来のロボット」


「「……同郷のものですか?」」



 ふと思いついてやってみた実験だけど、素直に目の前のフリージアと名乗る少女は予想していた回答を答え、とどうやらこの意図に気が付いたようであった。














「……なるほど、死因は同じってか」
「驚きですね…‥‥まさか、貴女も転生者だったなんて」


 互いに気が付いた後、話してみると案の定どうやら互いにあの日、前世の死の際に同じ飛行機に乗っていた者のようだった。

 で、何の因果か互にこの世界に転生し、生を受けたというわけのようである。

「転生のタイミングがずれているとはいえ、死因が同じという事は…‥」
「同じような転生者がこの世界にいる可能性があるんでしょうね」

 種族や転生時期が違うとはいえ、同じ死因同士、どこかゼロたちは気があった。





 気が合ったせいか、互いにどこか気を許して、其のままこの世界での話や前世での話をしてしまい、そしてついうっかるとでもいうべきか、

「そういうわけで、私はあの婚約破棄が起こるように実は事前に色々な細工をして、あ」
「……原因は婚約破棄されたお前かよ!?」



 フリージアが口をすべらし、そのまま己の計画を述べたので、思わずゼロはツッコミを入れたのであった。


 いや何でこんな人が本当にそんな計画を立てられたうえに、実行・成功したのだろうか?

 あれか?その国の王子って想像以上に大馬鹿野郎なのだろうか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

処理中です...