のんびりしたい魔人と氷姫 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
6 / 14

始まった共同生活

しおりを挟む
SIDEフリージア

……どうしてこうなったのだろうか?

 と、フリージアはは考えたが、とりあえず気にしないことにした。

 考えてもどうにもならないことがあり、それに対して粗目るのが良いと学んでいたからである。


「おーい、こっちの方ででっかいイノシシのようなやつをぶっ倒したけどどうする?」
「ゼロさん、それイノシシじゃなくてビックボアーというモンスターですって!!解体してあとでとんかつにして食べたほうがおいしいですよ!!」
「まじか!?」





 目の前で、巨大なイノシシのような見た目のビックボアーと呼ばれるモンスターを軽々と担ぐゼロと名乗る青年に、いや、魔人に対して私はそう言った。









 あの川での救助の後、互いに偶然にも転生者であり、そして大変並の上であったという事も知り、その上お互いにのんびり暮らしたいという目的が一致していたせいか、いつの間にか意気投合しあい、あらかじめ用意していたログハウスにて私たちは共同生活を送ることになった。


 現在いる場所は、あのメーリング王国から川を下って、そこから先に進んだ位置にある「魔の森」とよばれる森の奥深くにあった湖のほとりである。


 森の外の方に、この場所で過ごす計画があったので、魔法で運ぼうと思っていた建材があったのだが、ゼロと名乗る魔人の手にかかってあっという間に労力要らずで完璧にこの湖のほとりにログハウスが建設された。


……うん、この人?魔人の方が完璧に私よりも十分すぎるほどの実力を持っているよね。

 あれか、チートと言うやつか。なんかずるいような、それでいて助かったような出複雑な気分である。






 この「魔の森」だが、周辺にはいくつかの国があるにもかかわらず、どの国の領地にも属していない特殊な地域にあるのだ。

 その理由としては、そこに住むモンスターの強さが原因である。

 何しろ、一体いるだけでも街が一つやばくなるようなモンスターが闊歩しているらしく、うかつに手を付けようものならモンスターに襲われる危険性が高いのだ。


 まぁ、私がここに住もうかと考えたのはその状況故に誰も邪魔しに来ないだろうと思ったし、自分の実力ぐらいは把握しているので、ある程度の場所で魔法を使って罠などをはって、適当に住もうかと考えていたのだ。


……だけどさぁ、この魔人、ゼロさんのせいで少々計画に修正が入った。

 はっきり言おう。 この人強すぎる。




 この世界にいるモンスターと言う存在は、どうやら相手の強さをきちんとわきまえることができるようで、無駄にわかっていない馬鹿共に比べるとよっぽど賢いのである。

 で、ゼロさんは魔人と名乗っていたけど、その強さはどうも桁違いすぎるようで、森に住んで3日立つけど、感知したモンスターたちがほとんどよってくることなく、物凄く平和に暮らせているのだ。


 流石に生物が生きていく中にはタンパク質とかが必要になるので、モンスターを狩って調理して食するのだが…‥‥一度ゼロさんと狩りに同行したら、どんなに凶悪そうなモンスターでも涙目で必死になって逃げていたよ。

 うん、そのせいでこっちの方が心が痛くなってついていけなくなったんですよね。

 ゼロさんは魔人ゆえか、前世は人間でも感覚が違うようで平気だったから狩りを続けられるようだけど……まぁ、いいか。

 



 
 あ、女の子一人の場所に、魔人とは言え男性を置いて良いのかって?しかも一応貴族だった淑女の下に?

 うん、別に良いかなとは思っているよ。

 助けてくれたりするし、優しいし、顔とかもいいし、悪くはない。

 今まで近づいてきていた男たちの方がよっぽど危険だったけど、ゼロさんの場合なぜかそう言った警戒心を感じさせないですよね…‥‥ちょっと顔が熱くなるけど。





 そんなわけで、この共同生活は特に文句もなく、互いに楽しく会話したり、畑を作ったのでそこで農作業して見たり、地下室で解体作業を手つだったりしているけど、中々順風満帆な生活を送れているのです。


 むしろ、貴族として生活していた時に比べて生きている感じがきちんとして、気持ちがいいんですよね。

 ああ、なんでもっと早くこんな生活をしなかったのだろうか?


 日の出とともに起床し、畑仕事や調理で汗を流し、お風呂も作ったのでそこで生活を保ち、そしてゼロさんと一緒に楽しく会話して過ごせる…‥‥‥幸せってこういう事なのでしょうかね?




 でも、ゼロさん。できれば狩りを3日に1度ぐらいに控えてください。

 いや、モンスターはおいしいことはおいしいんですよ?ただね、どれも大型過ぎて冷蔵して保管するための地下室が増築したり、冷蔵のための氷を魔法で作るのが大変なんですってば。







 まぁ、それでも幸せな生活な事は幸せです。

……そう言えば、ふと思い出したのですが、そろそろメーリング王国やばいこといなっているのではないでしょうかね?

「やばいことって…‥‥何を仕掛けてきたんだよフリージア」
「婚約破棄したかったのもありますけど、あの考え無しの馬鹿垂れが何かやらかそうとするのはわかっていましたから、その時に備えてちょっと特許とか人徳の積み重ねでいろいろやっているんですって」

 内容を話すと、ゼロさんが若干顔を引きつらせました。

 魔人の彼からしても、やはり引くようなことでしょうか‥‥‥ちょっと悲しいかも。何でかはわかりませんけど、ゼロさんに嫌われたくないという思いがありますからね。







―――――――――――――――――――――――――――――――
SIDEクロニクル侯爵領地


「……はぁ、何処へ行ったのだ娘よ」

 クロニクル侯爵領地、当主の屋敷にてアルカン・フォン・クロニクル侯爵は溜息を吐いた。


 
 彼にとっての唯一の愛娘であるフリージアが行方不明になってすでに数日経っていた。

 

 なんでも、王城で開かれていた舞踏会であろうことかあのオロウ第1王子が、どこぞとしれない男爵令嬢と婚約をすると宣言し、そしてありもしない罪でフリージアを貶め、婚約破棄した上に国外追放したというのだ。



 その情報が入った時に侯爵は驚き、詳細を娘から聞こうとしたのだが…‥‥いつの間にか、フリージアは誰にも悟られることなく姿を消していた。



 王家からのどうしてもという強い要請で婚約させたのに、それを破棄した上に侯爵家の娘を冤罪で貶めるとはどういうことだと、アルカン侯爵は激怒した。

 冤罪だと判明していたのは、用意周到とでもいうべきか、あらかじめこうなるかと分かっていたかのようにフリージアがすでに各所にその無罪の証拠を提出しており、そのうえであの歩く下ネタ王子とも言われる馬鹿の様々な所業を事細かく一緒に王家にも出していたようであった。

 その為、流石に王家にとって大スキャンダルになるので一旦あの馬鹿は謹慎させられて、廃嫡は決定済みになっていそうなものだが、ここでまずいのはフリージアが行方不明なうえに、とんでもないこと・・・・・・・・を置き土産にしておいて言ったという事であった。



 ああ、娘よ。お前が今どこにいるのかは父は知らない。

 けれども、昔から淑女と言うよりもどこかたくましかったお前の事だから無事に生きているだろう。

 でも、そんなことよりもその置き土産の方をもう少し軽くしてほしかった・・・・・・・・



 夜空を眺め、そう考えるアルカン侯爵。


 その屋敷の周囲には、領民たちが集まってきていた。

 反乱とかではなく、純粋にフリージアの事を心配して、その情報が手に入らないかという事を尋ねに来ていることを侯爵はわかっている。

 それだけ彼女は皆に好かれていて、そして置き土産もとんでもないものだったという事を・・・・‥‥
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

処理中です...