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予想外なこともある
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SIDEゼロ
……この世界に魔人としてゼロが転生して、早くも半年が経とうとしていた。
フリージアと魔の森の奥深くにある湖のほとりでの生活もだいぶ慣れ、ついでに色々と生活環境もいい感じに整ってきたのであった。
畑も拡張し、いくら広くても魔人として人間以上の身体能力や魔法によって手入れも手軽にでき、余るであろう食料は地下の方にアリの巣のように地下保存庫を作ることによって対処ができていた。
「成長を魔法で促進したりしたせいで、思った以上に余りまくっているからすべて消費するのにどれだけかかるのやら……」
「ゼロさんの責任ですよね。でもまぁ、確かに多すぎますし……いっその事、これ全部売ってみましょうか?」
フリージアの発案により、いつまでも彼女の特許収入などで頼り切るわけにもいかないので、大量に余った食材を販売することに、ゼロたちは決めた。
野菜を卸すだけでもいいのだが、やはり自分の目できちんと手渡しをして、売った方が信頼がありそうなので、とりあえず今まで利用していたデスタッチ王国にある市場で、小さな敷地を借り、そこで商売を始めた。
売るのは畑で取れた野菜や果物だけではなく、それ以外にも魔の森で伐採した木をゼロが加工し、お手軽なコップや器など、そこそこ便利な品々も一緒にしてみた。
まぁ、単純に毎日のんびりと暮らしていると余裕があり過ぎるので、日常生活に役に立つ物を作製していたのだが、それはそれで在庫が過多になったのもある。
あと、ついでにフリージアもどうやら自分の特許があるのでそれを利用して便利な小型の日用品になる魔道具をいくつか売ることにしたらしい。便利なものとしては、冬場に役に立ちそうな、すぐに手が暖まる手拭きとか、夏場に活躍しそうな稼働させると半径数メートル以内が涼しくなる小型エアコンのようなものである。
どうせ素人の商売であり、道楽に近いものなので、ゼロたちはまぁわずかな利益が出ればいいかなと思っていたのだが‥‥‥、まさかのいい意味で予想が裏切られた。
「……在庫ゼロ。完売だな」
「ええ、すごい勢いでしたね」
全部完売するとは思わなかった。
どうやら新鮮な野菜や果物、ゼロお手製の日用品の数々は直ぐに受けたようで、あっという間に全部売れてしまったのである。
一応、まだまだ持ってこようと思えばあるのだが、供給過多になると市場のバランスとしてはまずそうだし、似たようなものを売る店もあるのでそちらにも迷惑が掛かる。
なので、とりあえず現状3日ごとの定期的な回転という事に決め、あとは様子を見ていくしかないと判断したのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
SIDE アルバスト・フォン・メーリング
‥‥‥フリージア令嬢が消息不明になって早半年経とうとしていた。
メーリング国内にあった彼女の便利製品等は消え失せ、そのせいで浄化されずに残る汚水などが問題となっていたが、何とか努力の甲斐あって、ようやく以前ほどではないとはいえ、何とか異臭が漂わない程度にまで国内は正常化されてきた。
ただ、其のための作業として各国からなんとか手助けしてくれるように要請し、多くの借りができてしまったのである。
「なんとか、まともになったなぁ…‥‥」
王城の窓から見える城下街の景色を見て、ほっとアルバスト国王は息をついた。
民衆の不満が高まり、王家にぶつけられる前に何とか収束させ、ギリギリ平和を保っているこの状態を、国王は心の底から安堵した。
しかしその一方で、まだまだ問題は山積みなのである。
「父上!!未だにフリージア令嬢は見つからないのでしょうか!!」
「あの大馬鹿者の兄のせいで、いや、もう兄とも思いたくない愚か者のせいで彼女の行方が知れないなんて‥‥‥」
「婚約者がすでにいる身だが、その縁談を取り持ってくれたフリージア令嬢に恩を返すべきなのにまだ返せないこの身が歯がゆしいのです!!」
室内で、フリージア令嬢がまだ見つからないことに不安げな声を上げる第2,3,4王子たちの事である。
予定を繰り上げ、国外からの留学を早めに終わらせて帰ってきてもらい、それぞれの無事を確認後に、ようやくあの第1王子であったオロウを王籍から抜き、彼らを次の国王候補へと変えたのである。
そして、王族で無くなったオロウは平民落ちにされたが、数日も絶たずに奴隷行きになったようであった。
なんでも、王族ではなくなった身なのに反省もなく、それでいろいろやらかしまくった挙句に、どこかの貴族の令嬢に対して乱暴をしたという事で即逮捕の上に、犯罪奴隷として、どこかへ売られていったようであった。
もうその行方は知れないが、少なくともただではくたばるほどひ弱ではないので、その先でまた色々とやらかしそうだが‥‥‥‥もう次は即処刑で良いと、念のために問題を起こされた場合に備えているのである。
そして残った王子たちが次期王位を継げるのだが、それぞれいろいろな形で昔フリージア令嬢に恩や好意があったようで、未だに彼女が行方不明だと伝えると、それぞれ悲しそうな顔をしたのち、必死になって捜索を開始したのである。
「息子たちよ、未だにかの令嬢の行方は知れておらぬ。ただ一つだけ言えるのは、まだ生きているという事であろう」
各国にも頭を下げ、捜索しているのだがその足取りがほぼつかめないのだ。
わかっている事と言えば、ギルドの契約状態からまだ存命であるという事と、たまに彼女の実家であるクロニクル侯爵家に彼女からの手紙が届くぐらいであるのだ。
一応アルバスト国王もクロニクル侯爵家に尋ねに逝ったのだが‥‥‥
「娘の宛先は不明だが、元気にやっている事だけはわかる。ただ、今になって迎えに行こうにも拒まれるだろうとしか思えない。なぜなら娘は一度やると決めたことは、とことんやるからな…‥‥」
そう返事を返され、結局情報をつかめなかった。
はぁっと溜息をつき、頭を抱えるアルバスト国王。
果たしてフリージアはどこへ行ったのか、そのことがわからないのは悲しいことである。
冤罪も証明され、愚かな息子もどこかへ飛んでいき、その元凶の娘も同様にいなくなった。
あとは帰ってきてくれれば、以前と変わらないぐらいになるかもしれないが‥‥‥‥
そんな王家に、フリージアの手掛かりが見つかったのは、それからさらに1ヶ月後の事であった。
……この世界に魔人としてゼロが転生して、早くも半年が経とうとしていた。
フリージアと魔の森の奥深くにある湖のほとりでの生活もだいぶ慣れ、ついでに色々と生活環境もいい感じに整ってきたのであった。
畑も拡張し、いくら広くても魔人として人間以上の身体能力や魔法によって手入れも手軽にでき、余るであろう食料は地下の方にアリの巣のように地下保存庫を作ることによって対処ができていた。
「成長を魔法で促進したりしたせいで、思った以上に余りまくっているからすべて消費するのにどれだけかかるのやら……」
「ゼロさんの責任ですよね。でもまぁ、確かに多すぎますし……いっその事、これ全部売ってみましょうか?」
フリージアの発案により、いつまでも彼女の特許収入などで頼り切るわけにもいかないので、大量に余った食材を販売することに、ゼロたちは決めた。
野菜を卸すだけでもいいのだが、やはり自分の目できちんと手渡しをして、売った方が信頼がありそうなので、とりあえず今まで利用していたデスタッチ王国にある市場で、小さな敷地を借り、そこで商売を始めた。
売るのは畑で取れた野菜や果物だけではなく、それ以外にも魔の森で伐採した木をゼロが加工し、お手軽なコップや器など、そこそこ便利な品々も一緒にしてみた。
まぁ、単純に毎日のんびりと暮らしていると余裕があり過ぎるので、日常生活に役に立つ物を作製していたのだが、それはそれで在庫が過多になったのもある。
あと、ついでにフリージアもどうやら自分の特許があるのでそれを利用して便利な小型の日用品になる魔道具をいくつか売ることにしたらしい。便利なものとしては、冬場に役に立ちそうな、すぐに手が暖まる手拭きとか、夏場に活躍しそうな稼働させると半径数メートル以内が涼しくなる小型エアコンのようなものである。
どうせ素人の商売であり、道楽に近いものなので、ゼロたちはまぁわずかな利益が出ればいいかなと思っていたのだが‥‥‥、まさかのいい意味で予想が裏切られた。
「……在庫ゼロ。完売だな」
「ええ、すごい勢いでしたね」
全部完売するとは思わなかった。
どうやら新鮮な野菜や果物、ゼロお手製の日用品の数々は直ぐに受けたようで、あっという間に全部売れてしまったのである。
一応、まだまだ持ってこようと思えばあるのだが、供給過多になると市場のバランスとしてはまずそうだし、似たようなものを売る店もあるのでそちらにも迷惑が掛かる。
なので、とりあえず現状3日ごとの定期的な回転という事に決め、あとは様子を見ていくしかないと判断したのであった。
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SIDE アルバスト・フォン・メーリング
‥‥‥フリージア令嬢が消息不明になって早半年経とうとしていた。
メーリング国内にあった彼女の便利製品等は消え失せ、そのせいで浄化されずに残る汚水などが問題となっていたが、何とか努力の甲斐あって、ようやく以前ほどではないとはいえ、何とか異臭が漂わない程度にまで国内は正常化されてきた。
ただ、其のための作業として各国からなんとか手助けしてくれるように要請し、多くの借りができてしまったのである。
「なんとか、まともになったなぁ…‥‥」
王城の窓から見える城下街の景色を見て、ほっとアルバスト国王は息をついた。
民衆の不満が高まり、王家にぶつけられる前に何とか収束させ、ギリギリ平和を保っているこの状態を、国王は心の底から安堵した。
しかしその一方で、まだまだ問題は山積みなのである。
「父上!!未だにフリージア令嬢は見つからないのでしょうか!!」
「あの大馬鹿者の兄のせいで、いや、もう兄とも思いたくない愚か者のせいで彼女の行方が知れないなんて‥‥‥」
「婚約者がすでにいる身だが、その縁談を取り持ってくれたフリージア令嬢に恩を返すべきなのにまだ返せないこの身が歯がゆしいのです!!」
室内で、フリージア令嬢がまだ見つからないことに不安げな声を上げる第2,3,4王子たちの事である。
予定を繰り上げ、国外からの留学を早めに終わらせて帰ってきてもらい、それぞれの無事を確認後に、ようやくあの第1王子であったオロウを王籍から抜き、彼らを次の国王候補へと変えたのである。
そして、王族で無くなったオロウは平民落ちにされたが、数日も絶たずに奴隷行きになったようであった。
なんでも、王族ではなくなった身なのに反省もなく、それでいろいろやらかしまくった挙句に、どこかの貴族の令嬢に対して乱暴をしたという事で即逮捕の上に、犯罪奴隷として、どこかへ売られていったようであった。
もうその行方は知れないが、少なくともただではくたばるほどひ弱ではないので、その先でまた色々とやらかしそうだが‥‥‥‥もう次は即処刑で良いと、念のために問題を起こされた場合に備えているのである。
そして残った王子たちが次期王位を継げるのだが、それぞれいろいろな形で昔フリージア令嬢に恩や好意があったようで、未だに彼女が行方不明だと伝えると、それぞれ悲しそうな顔をしたのち、必死になって捜索を開始したのである。
「息子たちよ、未だにかの令嬢の行方は知れておらぬ。ただ一つだけ言えるのは、まだ生きているという事であろう」
各国にも頭を下げ、捜索しているのだがその足取りがほぼつかめないのだ。
わかっている事と言えば、ギルドの契約状態からまだ存命であるという事と、たまに彼女の実家であるクロニクル侯爵家に彼女からの手紙が届くぐらいであるのだ。
一応アルバスト国王もクロニクル侯爵家に尋ねに逝ったのだが‥‥‥
「娘の宛先は不明だが、元気にやっている事だけはわかる。ただ、今になって迎えに行こうにも拒まれるだろうとしか思えない。なぜなら娘は一度やると決めたことは、とことんやるからな…‥‥」
そう返事を返され、結局情報をつかめなかった。
はぁっと溜息をつき、頭を抱えるアルバスト国王。
果たしてフリージアはどこへ行ったのか、そのことがわからないのは悲しいことである。
冤罪も証明され、愚かな息子もどこかへ飛んでいき、その元凶の娘も同様にいなくなった。
あとは帰ってきてくれれば、以前と変わらないぐらいになるかもしれないが‥‥‥‥
そんな王家に、フリージアの手掛かりが見つかったのは、それからさらに1ヶ月後の事であった。
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