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灯台下暗しって‥‥‥
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SIDEフリージア
‥‥‥フリージアがゼロとの生活を始めて早半年以上が経過し、思い付きでゼロが始めた余剰食糧及び、趣味で作っていた日用品や、フリージアお手製の魔道具の販売は、一カ月以上たっても好調であった。
転売とかがありそうなものだが、どうやら商品にファンが付いたようであり、そんなことをさせないようにしている人たちもいるようである。
この頃になると、そろそろ認識阻害の魔法を解除して、フリージアも普通に素の姿をさらけ出すようになった。
ぶっちゃけ、いつまでも魔法で認識阻害していると人に顔を覚えられることが無いし、そろそろさらけ出しても問題ないだろうと思ったからである。
‥‥‥フリージアの素顔が認識されるようになったせいか、その姿目当てに男性客が少々増えたが、まぁ問題はないはずであった。
一応防犯のために、ゼロは露店のような形の店から普通の一軒家の店に改装したが。
そんなある日である。
今日もいつも通り販売しているのだが、相も変わらず繁盛中だ。
「こういうのっていつかは落ち着くはずだと思うけど、まだまだ人気があるっているのがすごいな」
「そうですよね。それだけ色々と皆さんにとって助かっていることが多いのでしょうけど‥‥‥」
ゼロのつぶやきに、フリージアはその思いに同意しながら言った。
うれしいけど、ここまで人気が出るとは思わなかった驚きがあるのだ。
「あ、ゼロさん。そろそろなぜか一番人気のある『木彫り熊像』が売り切れそうですよ」
「お土産にもらって困るシリーズのような奴なのだが‥‥‥なんでこれが人気が出るのやら」
ええ、そうですよね。っと、フリージアは心でつぶやいた。
なぜかこの商品の中で一番人気があるのが、ゼロの作った木彫りの熊である。
「お土産にもらってこまるシリーズ」と、ふざけて作られた商品だが、なぜか人気が出て、100匹分作ってもあっという間に完売するのだ。
‥‥‥実は、ゼロの作った木彫りの熊のリアリティが高すぎて、庭先に置いておくだけで泥棒などが入った時に驚き、逃走するという事があったので、防犯用として人気が出ているのであった。
そんな話などは二人とも知ることはなかったが、売れることはいいことであろう。
追加で木彫り熊をゼロが作成し始めたが、そのスピードたるや、フリージアから見ても物凄く早い。
「魔法を使ってはいないんですよね?」
「ああ、これ純粋に俺自身の能力だな。魔法を使えば1秒間に30個は作れそうだけど流石にそこまでしエ産する必要もないだろう?」
「ん?魔法無しだとどうなのでしょうか?」
「1秒間に5個かな」
「それでも十分早いんですけど!?」
思わずツッコミを入れるフリージア。
その様子が受けたのか、ゼロがくすりと笑った。
「くくくく、たまにはこちらがボケてみるのも悪くはないかな」
「わざとですか!?というか、その言葉じゃ普段の私がボケですか!?」
ぽかぽかと叩きつつ、ツッコミを入れ続けるフリージア。
その様子を見てゼロは笑うが、不思議と不快感はなく、じゃれ合いのような楽しさをフリージアは感じていた。
でも、自分がツッコミかボケかでいわれれば、ボケと言うのには納得はいかない。
その二人の様子を見て、来ていた客ものほほんと温かい目で見ていた時であった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっつ!!」
「「!?」」
突如として、市場内で上がる悲鳴。
「なんだ!?」
「何かあったのででしょうか?」
思わず二人とも店のそとにでて、その悲鳴の原因を見ようと野次馬根性が出た。
「たいへんだー!!奴隷が店の包丁を奪ってその主人を刺して逃亡したぞ!!」
「なんですと!?」
「なんでそんなことになっているんだ!」
市場の店同士のつながりで情報が素早く伝わり、何が起きたのかの説明はされた。
どうやら、ある店で奴隷を荷物持ちにして買い物をしていた人がいた。
そこは肉屋であり、肉をさばいていた最中に奴隷が突然主人を突き飛ばし、店内にいた人たちは驚いた。
そして、動揺したすきにその奴隷は素早く肉をさばいていた包丁を奪い、その店の人を傷つけ、佐谷主人がやめるように言う前に、腹を一突きしたそうである。
その後すぐにその奴隷はその包丁を持って、市場内に出てきたのであった。
「物騒な事件がまさかここで起こるとはな」
こんな事件が起きるとは思わなかったゼロの言葉に、フリージアは同意した。
この市場は明るく、皆親切で来る人達も特に問題を起こすようなことはない。
だがしかし、絶対事件が起きないわけではなかったようである。
「そっちに逃走しているぞ!!」
声が響き渡り、見てみれば市場内を駆ける包丁を持った奴隷がいた。
その身なりは、やせ細っていそうだが、火事場の馬鹿力か力強さを感じさせる。
そして、その顔はほおがこけていたが‥‥‥
「!?」
見覚えのあるその奴隷の顔に、フリージアは驚いた。
その奴隷は‥‥‥フリージアを婚約破棄したオロウ王子だったのだ。
そして、オロウの方もフリージアの顔を見つけ、驚愕の顔をしたかと思うと真っ直ぐ向かってきた。
「見つけたぞフリィィィィィィジァァァ!!」
声を上げ、包丁を持って突進してくるオロウ。
「貴様と再び婚約を結び、帰れば再びこの手に王座が戻ってくるんだぁぁぁぁ!!」
その叫び声から察するに、どうやらオロウは王籍から抜かれたようである。
どうして奴隷の身になっているかまではわからないが、とにもかくにも彼はフリージアとの婚約破棄をしたことによってこの状況になったのだと思っているようだ。
そして、このまま駆け寄って包丁で脅し、再び婚約して国に帰ることでまた王子としての日々を過ごせるのだろうと考えているのだろう。
もはや正気ではないのか、血走った目で叫びながら走ってくるオロウ。
その狂気に恐怖を覚え、フリージアはとっさに動けなかった。
そして、今まさにそのオロウがフリージアの下にたどり着こうとしたが‥‥‥
「『魔法防壁』」
ごっつ!
「ぴぎぃっつ!?」
ゼロがいつの間にか魔法を発動させ、見えない壁が素早く構築され、勢いそのままでオロウが激突し、豚のような声を上げて自爆した。
「‥‥‥あっさりいったな」
あまりにもあっけない自爆っぷりに、驚いたような声を出すゼロ。
そしてさりげなく、フリージアの横に立ち、恐怖で動けなかった彼女をそっと片腕で抱きしめた。
「ぐふぅ、な、何をするんだこの未来のメーリング王国の国王、いや、世界の王に向かって!!」
「はぁ?何を言っているんだこの馬鹿は?頭がおかしくなって妄想癖を垂れ流しか?」
起き上り、罵倒するオロウに対して、物凄い馬鹿にしたようにわざと煽るゼロ。
その声は何処か苛立ちを感じさせた。
まるで、フリージアが傷つきそうだったことに怒っているかのようであり…‥‥そう感じたフリージアは、自然と頬が熱くなった。
「大体、奴隷が主人を刺してとか言う時点でいろいろアウトだろ。その様子を見る限り犯罪奴隷のようだし、その犯罪奴隷がさらに犯罪を重ねてなんになるんだ?」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!いいからさっさとその女をよこせ!!そして再び婚約し、国に帰ればまたあの暮らしが戻ってくるんだ!!」
「殺人未遂に、犯罪奴隷としてやらかし、さらに脅迫、誹謗中傷、多大な妄想癖の暴露ってことで、むしろあの世の暮らしがやってきそうじゃないか?」
案に死刑になるぞとゼロは告げているのだが、オロウは愚かなことに全くが付いていないようである。
そして、衛兵たちの足音が聞こえてきたので、すぐにこの茶番は終わりそうであった。
「ええぃ!!いいからその女、フリージアをよこせぇぇぇぇぇぇ!!」
包丁を突き出し、突進してくるオロウ。
だがしかし、彼は気が付いていなかったのだろうか。
まだ、魔法の効果が残っているので‥‥‥‥
ごっつ!!
「ぴぎゅぅ!?」
不可視の魔法の壁に再び自爆し、其のままオロウはひっくり返った。
そのうえ、手から包丁がはじけ飛び、宙を舞って‥‥‥
ぐさっつ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
まるで見えないレールでも敷かれていたかのように、見事な軌道で刃先が男として大事なところに、オロウのその個所に突き刺さった。
あまりにも悲惨すぎて、思わずその様子を見ていた男性陣は自身のその部分を思わず隠したのであった。
衛兵たちが駆けつけ、オロウは連れていかれた。
犯罪奴隷なのに主人を害し、市場を混乱させ、妄想癖前回なのかとある女性を襲って無理やりものにしようとしていたなどの罪がこれから加算されるようで、最悪死刑となるだろう。
同情の余地もないのだが、とにもかくにもまだ時間としては早かったが、市場の騒ぎが収束するまで、一旦店じまいをしてフリージアたちは魔の森にある自宅へ戻った。
「‥‥‥結局、愚か者は最後まで愚か者だったというわけね」
自室に入り、ベッドに横たわってその光景を思い出すフリージア。
婚約破棄されて正解だったと確信ができたが、それと同時にもう一つある思いに彼女は気が付いた。
ゼロがそっと彼女を守ってくれたあの行為にどこか安らぎを感じ、そしてその横にいたいという想いを。
思い返せば頬が熱くなり、心がドキドキするこの気持ち。
「‥‥‥もしかして、これが『恋』なのかな」
己の気持ちに気が付いたフリージア。
あの日、初めてであった時に助けられ、そしてそこから始まった共同生活。
互いにのんびりとした暮らしを望み、楽しく暮らしていたその毎日の中で‥‥‥‥いつの間にか、ゼロへの気持ちをフリージアは持っていたのである。
恋心と言う物を知って、その日フリージアは寝付けなくなったのであった。
‥‥‥フリージアがゼロとの生活を始めて早半年以上が経過し、思い付きでゼロが始めた余剰食糧及び、趣味で作っていた日用品や、フリージアお手製の魔道具の販売は、一カ月以上たっても好調であった。
転売とかがありそうなものだが、どうやら商品にファンが付いたようであり、そんなことをさせないようにしている人たちもいるようである。
この頃になると、そろそろ認識阻害の魔法を解除して、フリージアも普通に素の姿をさらけ出すようになった。
ぶっちゃけ、いつまでも魔法で認識阻害していると人に顔を覚えられることが無いし、そろそろさらけ出しても問題ないだろうと思ったからである。
‥‥‥フリージアの素顔が認識されるようになったせいか、その姿目当てに男性客が少々増えたが、まぁ問題はないはずであった。
一応防犯のために、ゼロは露店のような形の店から普通の一軒家の店に改装したが。
そんなある日である。
今日もいつも通り販売しているのだが、相も変わらず繁盛中だ。
「こういうのっていつかは落ち着くはずだと思うけど、まだまだ人気があるっているのがすごいな」
「そうですよね。それだけ色々と皆さんにとって助かっていることが多いのでしょうけど‥‥‥」
ゼロのつぶやきに、フリージアはその思いに同意しながら言った。
うれしいけど、ここまで人気が出るとは思わなかった驚きがあるのだ。
「あ、ゼロさん。そろそろなぜか一番人気のある『木彫り熊像』が売り切れそうですよ」
「お土産にもらって困るシリーズのような奴なのだが‥‥‥なんでこれが人気が出るのやら」
ええ、そうですよね。っと、フリージアは心でつぶやいた。
なぜかこの商品の中で一番人気があるのが、ゼロの作った木彫りの熊である。
「お土産にもらってこまるシリーズ」と、ふざけて作られた商品だが、なぜか人気が出て、100匹分作ってもあっという間に完売するのだ。
‥‥‥実は、ゼロの作った木彫りの熊のリアリティが高すぎて、庭先に置いておくだけで泥棒などが入った時に驚き、逃走するという事があったので、防犯用として人気が出ているのであった。
そんな話などは二人とも知ることはなかったが、売れることはいいことであろう。
追加で木彫り熊をゼロが作成し始めたが、そのスピードたるや、フリージアから見ても物凄く早い。
「魔法を使ってはいないんですよね?」
「ああ、これ純粋に俺自身の能力だな。魔法を使えば1秒間に30個は作れそうだけど流石にそこまでしエ産する必要もないだろう?」
「ん?魔法無しだとどうなのでしょうか?」
「1秒間に5個かな」
「それでも十分早いんですけど!?」
思わずツッコミを入れるフリージア。
その様子が受けたのか、ゼロがくすりと笑った。
「くくくく、たまにはこちらがボケてみるのも悪くはないかな」
「わざとですか!?というか、その言葉じゃ普段の私がボケですか!?」
ぽかぽかと叩きつつ、ツッコミを入れ続けるフリージア。
その様子を見てゼロは笑うが、不思議と不快感はなく、じゃれ合いのような楽しさをフリージアは感じていた。
でも、自分がツッコミかボケかでいわれれば、ボケと言うのには納得はいかない。
その二人の様子を見て、来ていた客ものほほんと温かい目で見ていた時であった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっつ!!」
「「!?」」
突如として、市場内で上がる悲鳴。
「なんだ!?」
「何かあったのででしょうか?」
思わず二人とも店のそとにでて、その悲鳴の原因を見ようと野次馬根性が出た。
「たいへんだー!!奴隷が店の包丁を奪ってその主人を刺して逃亡したぞ!!」
「なんですと!?」
「なんでそんなことになっているんだ!」
市場の店同士のつながりで情報が素早く伝わり、何が起きたのかの説明はされた。
どうやら、ある店で奴隷を荷物持ちにして買い物をしていた人がいた。
そこは肉屋であり、肉をさばいていた最中に奴隷が突然主人を突き飛ばし、店内にいた人たちは驚いた。
そして、動揺したすきにその奴隷は素早く肉をさばいていた包丁を奪い、その店の人を傷つけ、佐谷主人がやめるように言う前に、腹を一突きしたそうである。
その後すぐにその奴隷はその包丁を持って、市場内に出てきたのであった。
「物騒な事件がまさかここで起こるとはな」
こんな事件が起きるとは思わなかったゼロの言葉に、フリージアは同意した。
この市場は明るく、皆親切で来る人達も特に問題を起こすようなことはない。
だがしかし、絶対事件が起きないわけではなかったようである。
「そっちに逃走しているぞ!!」
声が響き渡り、見てみれば市場内を駆ける包丁を持った奴隷がいた。
その身なりは、やせ細っていそうだが、火事場の馬鹿力か力強さを感じさせる。
そして、その顔はほおがこけていたが‥‥‥
「!?」
見覚えのあるその奴隷の顔に、フリージアは驚いた。
その奴隷は‥‥‥フリージアを婚約破棄したオロウ王子だったのだ。
そして、オロウの方もフリージアの顔を見つけ、驚愕の顔をしたかと思うと真っ直ぐ向かってきた。
「見つけたぞフリィィィィィィジァァァ!!」
声を上げ、包丁を持って突進してくるオロウ。
「貴様と再び婚約を結び、帰れば再びこの手に王座が戻ってくるんだぁぁぁぁ!!」
その叫び声から察するに、どうやらオロウは王籍から抜かれたようである。
どうして奴隷の身になっているかまではわからないが、とにもかくにも彼はフリージアとの婚約破棄をしたことによってこの状況になったのだと思っているようだ。
そして、このまま駆け寄って包丁で脅し、再び婚約して国に帰ることでまた王子としての日々を過ごせるのだろうと考えているのだろう。
もはや正気ではないのか、血走った目で叫びながら走ってくるオロウ。
その狂気に恐怖を覚え、フリージアはとっさに動けなかった。
そして、今まさにそのオロウがフリージアの下にたどり着こうとしたが‥‥‥
「『魔法防壁』」
ごっつ!
「ぴぎぃっつ!?」
ゼロがいつの間にか魔法を発動させ、見えない壁が素早く構築され、勢いそのままでオロウが激突し、豚のような声を上げて自爆した。
「‥‥‥あっさりいったな」
あまりにもあっけない自爆っぷりに、驚いたような声を出すゼロ。
そしてさりげなく、フリージアの横に立ち、恐怖で動けなかった彼女をそっと片腕で抱きしめた。
「ぐふぅ、な、何をするんだこの未来のメーリング王国の国王、いや、世界の王に向かって!!」
「はぁ?何を言っているんだこの馬鹿は?頭がおかしくなって妄想癖を垂れ流しか?」
起き上り、罵倒するオロウに対して、物凄い馬鹿にしたようにわざと煽るゼロ。
その声は何処か苛立ちを感じさせた。
まるで、フリージアが傷つきそうだったことに怒っているかのようであり…‥‥そう感じたフリージアは、自然と頬が熱くなった。
「大体、奴隷が主人を刺してとか言う時点でいろいろアウトだろ。その様子を見る限り犯罪奴隷のようだし、その犯罪奴隷がさらに犯罪を重ねてなんになるんだ?」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!いいからさっさとその女をよこせ!!そして再び婚約し、国に帰ればまたあの暮らしが戻ってくるんだ!!」
「殺人未遂に、犯罪奴隷としてやらかし、さらに脅迫、誹謗中傷、多大な妄想癖の暴露ってことで、むしろあの世の暮らしがやってきそうじゃないか?」
案に死刑になるぞとゼロは告げているのだが、オロウは愚かなことに全くが付いていないようである。
そして、衛兵たちの足音が聞こえてきたので、すぐにこの茶番は終わりそうであった。
「ええぃ!!いいからその女、フリージアをよこせぇぇぇぇぇぇ!!」
包丁を突き出し、突進してくるオロウ。
だがしかし、彼は気が付いていなかったのだろうか。
まだ、魔法の効果が残っているので‥‥‥‥
ごっつ!!
「ぴぎゅぅ!?」
不可視の魔法の壁に再び自爆し、其のままオロウはひっくり返った。
そのうえ、手から包丁がはじけ飛び、宙を舞って‥‥‥
ぐさっつ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
まるで見えないレールでも敷かれていたかのように、見事な軌道で刃先が男として大事なところに、オロウのその個所に突き刺さった。
あまりにも悲惨すぎて、思わずその様子を見ていた男性陣は自身のその部分を思わず隠したのであった。
衛兵たちが駆けつけ、オロウは連れていかれた。
犯罪奴隷なのに主人を害し、市場を混乱させ、妄想癖前回なのかとある女性を襲って無理やりものにしようとしていたなどの罪がこれから加算されるようで、最悪死刑となるだろう。
同情の余地もないのだが、とにもかくにもまだ時間としては早かったが、市場の騒ぎが収束するまで、一旦店じまいをしてフリージアたちは魔の森にある自宅へ戻った。
「‥‥‥結局、愚か者は最後まで愚か者だったというわけね」
自室に入り、ベッドに横たわってその光景を思い出すフリージア。
婚約破棄されて正解だったと確信ができたが、それと同時にもう一つある思いに彼女は気が付いた。
ゼロがそっと彼女を守ってくれたあの行為にどこか安らぎを感じ、そしてその横にいたいという想いを。
思い返せば頬が熱くなり、心がドキドキするこの気持ち。
「‥‥‥もしかして、これが『恋』なのかな」
己の気持ちに気が付いたフリージア。
あの日、初めてであった時に助けられ、そしてそこから始まった共同生活。
互いにのんびりとした暮らしを望み、楽しく暮らしていたその毎日の中で‥‥‥‥いつの間にか、ゼロへの気持ちをフリージアは持っていたのである。
恋心と言う物を知って、その日フリージアは寝付けなくなったのであった。
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