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海上旅情編
32.湯けむりの極楽
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私が目覚めたのは昼前のこと。
一部が壊れた屋敷の一室を借りたんだけど、みんなの姿はもう無かった。
「お目覚めになられたんですね、リコリスさん!」
「おーヒナちゃん。今日も一段とお可愛く。んしょ、っと。みんなは?」
「皆さんそれぞれ出て行かれました。先に後片付けをしてくるので、目覚めたら早急に手伝うようにとリコリスさん宛に言伝が」
鬼か。
やるけども。
「リコリスさん、本当にありがとうございます。皆さんにも何とお礼を申し上げたらいいか。冒険者ギルドを通してお礼を用意しましたので、後ほどどうかお受け取りください」
「気にしなくていいよ。袖振り合うも多生の縁ってやつで。たまたまいたから、たまたま手を貸しただけだし」
被害らしい被害は、屋敷が壊れて庭が荒れたくらい。
あとは倒した虫の魔物の回収か。
ここまでに抑えられたのは、ひとえにみんなが優秀だったからだ。
あとでいっぱいよしよししてやろう。
「それにしてもお強いですな。我々が総出で手こずった暗殺者を一蹴するとは」
「それほどでも」
執事のケイさんの視線の先。
担架に乗せられ、今まさに門を出ていこうとしている女性。
それは紛れもなくシャーリーの姿だった。
「シシシ、さす師」
「何か仰いましたか?」
「いえいえ何も」
あれは師匠が作った人形だ。
動物の血と骨と肉を、人の形に整えたもの。
シャーリーの死を偽装することで、その存在を表向きに抹消するという、師匠のもう一つのアイデア。
今回の事件を全て押し付けるのと同時に、暗殺者ギルドを含めた裏稼業の人間に、シャーリーを撃退するほどの相手がいることを印象付けさせる。
老獪っていうか、よくもまああんなことを思いつくと感心させられる。
万事解決…と言うには大雑把すぎるかもしれないけど、ひとまずは安心ということにしておこう。
「昼は食事を用意しましたので、皆さんで是非召し上がってください。その折、お話したいこともありますので」
ヒナちゃんはそう言って、一旦執務に戻った。
大公様も大変だね。命を狙われたと思ったら、休む間も無く働くなんて。
しかし話ってなんだろ。
愛の告白とか?
ウヘヘ、リコリスさんモテモテで困っちゃう。
「おお、起きたかリコリスよ」
「おはようお姉ちゃん!」
「おはようございます!」
屋敷の外では、師匠とマリアとジャンヌが屋敷の修復をしていた。
「おはよ。他のみんなは?」
「虫の後始末に行っておる。そなたも手伝わんか」
「ほいよー」
なんて相槌打ちつつ、噴水の縁に腰掛ける。
今日もいい天気だ。
出港は明日だし、ぱっぱと終わらせて今日はアイナモアナ最後の夜を楽しみたいものだね。
「ああ、そうじゃそうじゃ。そなたが寝てる間に、ギルドマスターとやらが訪ねてきおったぞ」
「ケコアさんが?なんだって?」
「今回の件に関する報酬じゃと」
師匠が革袋と書簡を投げつける。
革袋の中身は大金貨が120枚。
これがヒナちゃんが言ってたやつか。
こっちの書簡には、ケコアさんの感謝の弁が書かれてる。
「キラキラいっぱい!」
「お金持ちです!」
普通に冒険者稼業してれば、これだけ貯めるのに何年もかかっちゃうことか。
あとでギルドに顔を出しに行こう。
となると、さっさと屋敷を直さないとな。
「師匠、物を復元させる魔法とか持ってないの?」
「なんでもかんでも頼るでないバカ者。努力は何物にも勝らぬよ」
才能の塊みたいな人が何か言ってら。
しょうがない。働くか。
普通なら一月はかかる修復作業も、私の手にかかれば匠の技で解決。
途中で覚えた【大工】と【修復】のスキルが便利すぎた。
スキル管理スキルを手に入れても、加護の力はやっぱり絶大だーなんて思ってたら、習得した矢先に【技術神の恩寵】に組み込まれるんだもんな。
同系統のスキルは自動で統合されるらしい。
これが恩寵の効果なのかな?
「お姉ちゃん何でも出来てすごい!」
「かっこいいです!」
ハッハッハ、それほどでもあるが?♡
妹たちから褒められるのきもち~♡
「ただいま戻りました」
「おかえり~。進捗どうですかな?」
「波に浚われたものは定かでありませんが、それ以外は回収が完了しましたよ。予定よりも早く終わりました」
「そっかそっか。ご苦労さま。シャーリーもおつかれ」
「とんでもありません」
アルティの話によると、人一倍あくせく働いていたらしい。
私と戦ってまだ疲れが取れてないはずなのに。
負い目を感じてるのかも。
気持ちはわかるけど、私の仲間である以上陰のある顔するのは許さん。
「シャーリー」
「はい」
「えいっ」
「むにゅ…い、いほいふひゃん…?」
シャーリーのほっぺを引っ張る。
変顔でも美人なの神が与えし恩恵すぎる。
「まだ慣れないかもしれないけど、せっかくキレイなんだから笑っとけ。私が選んだ女だぞ。なっ?」
一度キョトンとしてから、赤くなったほっぺをさすり口角を上げる。
「はい」
うん、やっぱり笑顔がステキないい女♡
ちょっと遅めながら、ヒナちゃんのご厚意でお昼をいただくことになった。
果物と一緒にホロホロになるまで煮込まれた肉と柔らかいパン。
それにスクランブルエッグとスープにサラダ。
んまい。
「おいしー!」
「おいしいです!」
「フフ、よかった」
子どもたちがおいしそうにする姿に、ヒナちゃんは顔を綻ばせた。
「それで?話って?」
「はい。リコリスさん、この国で貴族になる気はありませんか?」
「貴族?」
愛の告白ではないっぽい。
しかし貴族と来たか。
「叙爵させるということですか?」
「一応国外の人間よこいつ。それに旅の途中だし、爵位を与えて国に永住させるつもりならアタシたちが止めるけど」
「わかっております。ですので、栄誉爵位いう形ではいかがでしょう」
「アルティお姉ちゃん、栄誉爵位って?」
「特権、責任の伴わない名誉上の称号…つまり、勲章に近しい報酬のことです」
ほお。なるほど。
「公国という手前、国の衛兵を独断で動かすなどといった権利を有させるわけにはまいりませんが、爵位を有していれば、自国、貴国はもちろん、他国でも我々が後ろ盾となれます」
「これ以上無い報酬というわけじゃな。しかし南の国の君主よ、いくら大恩あるとはいえど、こやつは一介の冒険者に過ぎぬ。何故そこまで義理立てする?」
師匠の質問に、ヒナちゃんはニコリと笑って返した。
「いつか私がリコリスさんに娶られるとき、立場が無くては周囲を賛同させられないでしょう?」
しれっと。
あんまり自然に言うもんだから、理解するまで少しかかった。
「したたかな女じゃ」
「フフフ」
その後、私は正式な手続きを経て、アイナモアナ公国名誉子爵を叙爵した。
形だけの爵位だからか、自分が貴族になってもあんまり実感は無い。
しかしまあ、もらえるものは…ということで。
せいぜい名誉子爵の名を汚さないよう心がけたいと思う。
「ちなみに名誉子爵を嵩取って女の子たちで肉布団させるのって罪だと思う?」
「法より先に私が裁きますよ」
目の奥に鬼舞○無惨でも飼ってんのか。
冒険者ギルドでは。
「お待ちしておりました名誉子爵様!」
情報が早いこと。
ケコアさんを始め、ギルド職員が総出でお出迎えしてくれた。
「今回の活躍により、百合の楽園の功績を名誉子爵様が代表するということでランクが上がります」
今回の件はみんなのお手柄なんだから、私一人がランクアップされるのはどうかと思ったんだけど。
「リーダーがいつまでも中堅レベルなんて箔にもならないわ。さっさとランクなんか上げちゃいなさい」
なんてドロシーの鶴の一声で、私のランクは妖精級から、悪魔級へと昇格した。
二階級特進なんて殉職みたいで縁起が悪いけど、
「やっとリコと同じ…」
小さく喜ぶアルティが可愛かったので、甘んじて昇格を受け入れた。
「それから、こちらが討伐した虫の魔物の素材、及び魔石の買い取り金額…合わせて大金貨47枚と、とんで銀貨3枚となりました」
おー億万長者だ。
ちょっとした城でも買えそう。
少し前までお金無いって言ってたのが嘘みたい。
金貨のお風呂とまでは行かなくても、シャワーくらいは出来そうだわ。
百合の楽園の新たな始動…と言いたいところだけど、シャーリーは冒険者登録出来ないんだよなぁ。
「冒険者登録には犯罪歴の有無が審査されますからね」
「あの水晶玉か…。何とかごまかせないかな?」
「無理じゃな。あれは神代の時代の技術を用いて作られておるからの。【隠蔽】も【偽装】も役に立たぬ」
師匠でも無理なら無理ってことになったんだけど。
一人だけ仲間外れは寂しいだろうな。
「これも一つの罰の形です。お気遣いいただいているだけで私は幸せですよ、リコリスさん。それに冒険者でなくとも、あなたのために出来ることはあるでしょうし」
本人は全然気にしてないらしい。
ギルドカードはともかく、身分証は偽造されたものを持ってるからとりあえず大丈夫ってことだけど。
……まあ、深く考えないようにしよう。
「何はともあれ、みんなでアイナモアナを守ったわけだ。ついてはシャーリーの親睦会も兼ねて、みんなでお祝いしよう!」
「お祝い、ですか?」
「パーティー!」
「パーティーですか!」
「おうっ。盛大にやろーぜ♡」
ニッシッシ。
じつは密かに考えてたんだよねー♡
夜、私たちはシャワシャワ島に上陸した。
右を見れば温泉。左を見ればまた温泉。
そこかしこに温泉が湧き、誰でも気軽に様々な温泉を楽しめるのがこの島だ。
地熱を利用したサウナも名物らしい。
「さ、行こう行こう♡」
一仕事終えたお風呂は格別だねってことで。
「じゃーん!なんと温泉一つ貸し切っちゃいました!イェイ!♡」
「浪費癖モンスターめ…」
経理担当のドロシーがエグい目をしてるけど気にしなーい。
「まあまあ~。細かいことは楽しんでから考えよ。ね?♡ね?♡」
「もう…仕方ないわね」
「はい仕方ないいただきました~♡チョロシーちゃんきゃわたーん♡ほれほれみんな中に入った入った♡ほら、シャーリーも♡」
「は、はい」
それそれ~いざ入浴じゃ~。
「おほァ~、いい感じの露天じゃ~ん」
星空一望で開放的すぎ。
だがそれ以上に。
「まったく、リコの突拍子の無さには呆れ返ります」
「本当に。しっかり財布の紐を握ってやらないと」
「クハハハ。そう言ってやるな。妾たちも良い思いをしておるのも事実じゃ」
「わーい大っきいお風呂ー!」
「広いです!海みたいです!」
美女たちと一緒にお風呂よっしゃー♡
おっほっほっほっほっほっほっほっほ~♡なんですか~?この神々しいまでのフォルムは!♡もう変な声しか出ませんよ~♡
「視線で犯罪起こせそうですね」
「ごく自然に入浴を楽しもうとしてる目ですけどぉ?♡グフフ~♡って、シャーリー」
「はい?」
「なにタオル巻いとんだ貴様」
「なに、って…だって…恥ずかしいじゃないですか…。みんなで裸になんて…」
「うるせェ可愛い顔しやがって!温泉は裸がルールじゃタオル取れコラァ!」
「きゃあぁっ!」
スッポンポン。
うっわエッロ!!アダルトの体現!!
タオルの下にとんだ凶器隠してたもんだなおい!!
「何恥ずかしがってんだいい身体しやがって。見ろアルティを。妹たちと同じなのに堂々としたもんだろ。身も心も曝け出してけあひィ!!ゴメンなさい二度と言いません!!」
「次口にしたらあなたもツルツルにしてやりますからねこのバカリコ!!」
悪いのは私だけど…生尻蹴るお前もどうかと思うんだアルティよ…
お尻真っ赤じゃねえか…
まあ、何にせよ。
楽しいパーティーの始まりだ。
「みんな酒は持ったな?」
「大人はいいなぁ。お酒飲めて」
「私たちだけジュースなの寂しいです…」
「シシシ、大人になったら飲もうね。んじゃーとりあえず、今日はおつかれ!そんで我らが新しい仲間、麗しきシャーリーに!乾杯!!」
ゴクッ、ゴクッ…
「くァあ!うんま!」
アイナモアナの果物数種類を発酵させて作った特製のお酒は、度数は高めなものの、芳醇な甘みが口の中で蕩けて、微発泡の弾ける喉越しが楽しい。
カットフルーツと合わせると美味しさが一入だ。
「温泉で火照った身体に、頭が痛くなるくらいキリッと冷やしたお酒…この組み合わせは天才ですね」
「ホント。飲みながら温泉なんて贅沢だわ。こんなこと貸し切りじゃなきゃ出来ないわね」
「ニシシ。な?お金は使わなきゃでしょ?」
「経済を回すのと散財するのは意味が違うのよ」
『きーもちー』
『ふぃー』
ハハハ、リルムたちもまったりしておるわ。
「細かいこと気にすんなって。ほら、酒に同じく果物から作ったシャーベットを入れると……クフゥ♡キュンキュンするくらいうまい!♡」
「見事な味じゃ。そなたは酒造りの才能もあったか」
「天才なもんでね♡」
後から、【醸造】と【蒸留】のスキルをゲットしてるのに気付いた。
ここまで美味しくなってるのは、きっとそのせいだろう。
「お姉ちゃん、シャーベットあーんしてあげるね」
「ありがと♡あーん…うーん冷たくておいしい♡」
「マリアズルい!お姉ちゃん、私もあーんしたいです。あーん」
「よきにはからえてぇ♡あーん♡」
おっと指までパクッてしちゃったぜ。
「おいち♡おいち♡」
「エヘヘ、お姉ちゃんに食べられちゃいました」
「おっま…可愛いねぇへへへ♡」
「じゃ私はお姉ちゃんのこと食べちゃうね。かぷ」
「ウヒっ、オヒヒヒヒヒ♡もっと食べて~♡」
妹たちが可愛すぎてデレデレが止まらない件。
「ねえねえ、お姉ちゃんおっぱいってなんで大っきいの?」
「フフン、いいだろー」
「触ってもいいですか?」
「おおとも。あやかれあやかれ。ご利益あるぞよー」
「わっ、柔らかーい!指沈んじゃう!」
「スライムみたいです!」
ポインポイン。
妹たちに乳ポヨポヨされる栄養で生かされてる~。
ちなみに百合の楽園内おっぱいランキングは、私のEを筆頭に、アルティとシャーリーがD、師匠がB(大人バージョン時はE)、マリアとジャンヌがA、ドロシーがAAとなっている。
「ドンマイ」
「憐れみの視線向けんな薬物中毒にするわよ」
「脅し文句が怖すぎる。気にするなってーすぐにメロシーさんみたいにボインボインになる…………貧乳はステータスだ希少価値だって名言もあるくらいで」
「諦観してんじゃないわよ無礼者がその乳刈り取るわよ。…そういえば、胸って揉まれると大きくなるらしいわね」
「あーなんかよく聞くね」
「試してみる?皇族のロイヤルな胸を揉む機会を与えてあげるわ」
「ハッハッハ、揉めるだけの乳になってから言ってくれべぶっ!!」
「クソヘタレスケベ処女が」
桶投げんな微微乳めが…
「暑い…」
「どうしたアルティよ。湯に当たったか?」
「冷気には強いんですが、どうにも熱に弱くて…」
アルティ長風呂とか苦手なんだよな。
「そこに長椅子あるから休んでたら?」
「そうします…」
「横でフーフーして冷ましたろか♡」
「して、って言ったらどうします?」
「えっち娘が!!氷魔法使っとけ!!」
「ヘタレじゃのう…つくづく…」
勘違いしないでよね!
みんなの貞操大事にしてるだけなんだからねっ!
はー、しかしめっちゃ気分いいわ。
極楽すぎ。
「シャーリー飲んでる?」
「はい、いただいています」
湯船に腰掛けて風を浴びる姿が色っぽい。
けど、なんか考え事してるのがわかる。
「まだちょっと悩んでるだろ。私なんかがここにいていいのか、的な」
「それは…」
「周り見ろ周り。誰がシャーリーがここにいることに疑問持ってんだ。慣れるまで時間はかかるかもしれないけど、肩肘張ってるだけじゃ疲れちゃうよ」
「リコリスさん…」
「私がシャーリーを選んで、シャーリーも私を選んだ。後悔なんかしてないし、させる気もない。思うところがあっても気にしなくていい。だからさ、笑っとけ。シャーリーのステキな笑顔に、私は心惹かれたんだから」
「……私は、私を好きになれるでしょうか」
そんな当たり前を、さも重大なことみたいに顔を伏せて言うので、私は風で冷たくなった肩を抱いて言ってやった。
「なれるよ。私の女なんだから」
シャーリーの顔が赤い。
のぼせたか?
「リコリスさん、私…」
「お、姉、ちゃーん!」
「どわぁ?!」
「むぐっ?!」
チュ。
バシャーン。
「ケホゴホッ!こらマリア!お風呂で走っちゃダメでしょもう!」
「だってだって!テルナお姉ちゃんがシャーベット食べちゃったんだもん!最後の一口だったのに!」
「良かったではないか。若いうちから弱肉強食の真理を身に沁みて理解出来て」
「むー!テルナお姉ちゃん嫌いー!」
「そんなことで怒らないの。ほら、アタシのをあげるから」
「ほんと?ドロシーお姉ちゃんだーい好き!」
ったく何やってんだか…
ていうか今…キスしたよね…。軽く唇触れただけだけど。
めちゃめちゃテンプレなやつしちゃった。
「ゴメン、シャーリー。唇当たっ、た……ん」
シャーリーは湯けむりに紛れながら、私の頬を挟んでそっと口付けした。
乙女みたいにいじらしく啄んで、かと思えば蛇みたいに口の中を舐って。
静かに静かに。だけど情熱的に。
周りに悟られないように息を殺して。
唇を離したとき、シャーリーは余裕の無い顔で目元を潤ませていた。
「ニシシ、エロい顔してんな」
「こんな顔…あなたにしか見せたことありませんよ」
「光栄すぎかよ。なら、これから一生そうしろ」
「ご命令のままに。私の一番好きな人。私は…あなたの剣になります」
胸に頭を置き手を添えて。
熱いお湯の中で、シャーリーは長く身を預けた。
今この瞬間が、確かなものなのだと受け入れているかのように。
一部が壊れた屋敷の一室を借りたんだけど、みんなの姿はもう無かった。
「お目覚めになられたんですね、リコリスさん!」
「おーヒナちゃん。今日も一段とお可愛く。んしょ、っと。みんなは?」
「皆さんそれぞれ出て行かれました。先に後片付けをしてくるので、目覚めたら早急に手伝うようにとリコリスさん宛に言伝が」
鬼か。
やるけども。
「リコリスさん、本当にありがとうございます。皆さんにも何とお礼を申し上げたらいいか。冒険者ギルドを通してお礼を用意しましたので、後ほどどうかお受け取りください」
「気にしなくていいよ。袖振り合うも多生の縁ってやつで。たまたまいたから、たまたま手を貸しただけだし」
被害らしい被害は、屋敷が壊れて庭が荒れたくらい。
あとは倒した虫の魔物の回収か。
ここまでに抑えられたのは、ひとえにみんなが優秀だったからだ。
あとでいっぱいよしよししてやろう。
「それにしてもお強いですな。我々が総出で手こずった暗殺者を一蹴するとは」
「それほどでも」
執事のケイさんの視線の先。
担架に乗せられ、今まさに門を出ていこうとしている女性。
それは紛れもなくシャーリーの姿だった。
「シシシ、さす師」
「何か仰いましたか?」
「いえいえ何も」
あれは師匠が作った人形だ。
動物の血と骨と肉を、人の形に整えたもの。
シャーリーの死を偽装することで、その存在を表向きに抹消するという、師匠のもう一つのアイデア。
今回の事件を全て押し付けるのと同時に、暗殺者ギルドを含めた裏稼業の人間に、シャーリーを撃退するほどの相手がいることを印象付けさせる。
老獪っていうか、よくもまああんなことを思いつくと感心させられる。
万事解決…と言うには大雑把すぎるかもしれないけど、ひとまずは安心ということにしておこう。
「昼は食事を用意しましたので、皆さんで是非召し上がってください。その折、お話したいこともありますので」
ヒナちゃんはそう言って、一旦執務に戻った。
大公様も大変だね。命を狙われたと思ったら、休む間も無く働くなんて。
しかし話ってなんだろ。
愛の告白とか?
ウヘヘ、リコリスさんモテモテで困っちゃう。
「おお、起きたかリコリスよ」
「おはようお姉ちゃん!」
「おはようございます!」
屋敷の外では、師匠とマリアとジャンヌが屋敷の修復をしていた。
「おはよ。他のみんなは?」
「虫の後始末に行っておる。そなたも手伝わんか」
「ほいよー」
なんて相槌打ちつつ、噴水の縁に腰掛ける。
今日もいい天気だ。
出港は明日だし、ぱっぱと終わらせて今日はアイナモアナ最後の夜を楽しみたいものだね。
「ああ、そうじゃそうじゃ。そなたが寝てる間に、ギルドマスターとやらが訪ねてきおったぞ」
「ケコアさんが?なんだって?」
「今回の件に関する報酬じゃと」
師匠が革袋と書簡を投げつける。
革袋の中身は大金貨が120枚。
これがヒナちゃんが言ってたやつか。
こっちの書簡には、ケコアさんの感謝の弁が書かれてる。
「キラキラいっぱい!」
「お金持ちです!」
普通に冒険者稼業してれば、これだけ貯めるのに何年もかかっちゃうことか。
あとでギルドに顔を出しに行こう。
となると、さっさと屋敷を直さないとな。
「師匠、物を復元させる魔法とか持ってないの?」
「なんでもかんでも頼るでないバカ者。努力は何物にも勝らぬよ」
才能の塊みたいな人が何か言ってら。
しょうがない。働くか。
普通なら一月はかかる修復作業も、私の手にかかれば匠の技で解決。
途中で覚えた【大工】と【修復】のスキルが便利すぎた。
スキル管理スキルを手に入れても、加護の力はやっぱり絶大だーなんて思ってたら、習得した矢先に【技術神の恩寵】に組み込まれるんだもんな。
同系統のスキルは自動で統合されるらしい。
これが恩寵の効果なのかな?
「お姉ちゃん何でも出来てすごい!」
「かっこいいです!」
ハッハッハ、それほどでもあるが?♡
妹たちから褒められるのきもち~♡
「ただいま戻りました」
「おかえり~。進捗どうですかな?」
「波に浚われたものは定かでありませんが、それ以外は回収が完了しましたよ。予定よりも早く終わりました」
「そっかそっか。ご苦労さま。シャーリーもおつかれ」
「とんでもありません」
アルティの話によると、人一倍あくせく働いていたらしい。
私と戦ってまだ疲れが取れてないはずなのに。
負い目を感じてるのかも。
気持ちはわかるけど、私の仲間である以上陰のある顔するのは許さん。
「シャーリー」
「はい」
「えいっ」
「むにゅ…い、いほいふひゃん…?」
シャーリーのほっぺを引っ張る。
変顔でも美人なの神が与えし恩恵すぎる。
「まだ慣れないかもしれないけど、せっかくキレイなんだから笑っとけ。私が選んだ女だぞ。なっ?」
一度キョトンとしてから、赤くなったほっぺをさすり口角を上げる。
「はい」
うん、やっぱり笑顔がステキないい女♡
ちょっと遅めながら、ヒナちゃんのご厚意でお昼をいただくことになった。
果物と一緒にホロホロになるまで煮込まれた肉と柔らかいパン。
それにスクランブルエッグとスープにサラダ。
んまい。
「おいしー!」
「おいしいです!」
「フフ、よかった」
子どもたちがおいしそうにする姿に、ヒナちゃんは顔を綻ばせた。
「それで?話って?」
「はい。リコリスさん、この国で貴族になる気はありませんか?」
「貴族?」
愛の告白ではないっぽい。
しかし貴族と来たか。
「叙爵させるということですか?」
「一応国外の人間よこいつ。それに旅の途中だし、爵位を与えて国に永住させるつもりならアタシたちが止めるけど」
「わかっております。ですので、栄誉爵位いう形ではいかがでしょう」
「アルティお姉ちゃん、栄誉爵位って?」
「特権、責任の伴わない名誉上の称号…つまり、勲章に近しい報酬のことです」
ほお。なるほど。
「公国という手前、国の衛兵を独断で動かすなどといった権利を有させるわけにはまいりませんが、爵位を有していれば、自国、貴国はもちろん、他国でも我々が後ろ盾となれます」
「これ以上無い報酬というわけじゃな。しかし南の国の君主よ、いくら大恩あるとはいえど、こやつは一介の冒険者に過ぎぬ。何故そこまで義理立てする?」
師匠の質問に、ヒナちゃんはニコリと笑って返した。
「いつか私がリコリスさんに娶られるとき、立場が無くては周囲を賛同させられないでしょう?」
しれっと。
あんまり自然に言うもんだから、理解するまで少しかかった。
「したたかな女じゃ」
「フフフ」
その後、私は正式な手続きを経て、アイナモアナ公国名誉子爵を叙爵した。
形だけの爵位だからか、自分が貴族になってもあんまり実感は無い。
しかしまあ、もらえるものは…ということで。
せいぜい名誉子爵の名を汚さないよう心がけたいと思う。
「ちなみに名誉子爵を嵩取って女の子たちで肉布団させるのって罪だと思う?」
「法より先に私が裁きますよ」
目の奥に鬼舞○無惨でも飼ってんのか。
冒険者ギルドでは。
「お待ちしておりました名誉子爵様!」
情報が早いこと。
ケコアさんを始め、ギルド職員が総出でお出迎えしてくれた。
「今回の活躍により、百合の楽園の功績を名誉子爵様が代表するということでランクが上がります」
今回の件はみんなのお手柄なんだから、私一人がランクアップされるのはどうかと思ったんだけど。
「リーダーがいつまでも中堅レベルなんて箔にもならないわ。さっさとランクなんか上げちゃいなさい」
なんてドロシーの鶴の一声で、私のランクは妖精級から、悪魔級へと昇格した。
二階級特進なんて殉職みたいで縁起が悪いけど、
「やっとリコと同じ…」
小さく喜ぶアルティが可愛かったので、甘んじて昇格を受け入れた。
「それから、こちらが討伐した虫の魔物の素材、及び魔石の買い取り金額…合わせて大金貨47枚と、とんで銀貨3枚となりました」
おー億万長者だ。
ちょっとした城でも買えそう。
少し前までお金無いって言ってたのが嘘みたい。
金貨のお風呂とまでは行かなくても、シャワーくらいは出来そうだわ。
百合の楽園の新たな始動…と言いたいところだけど、シャーリーは冒険者登録出来ないんだよなぁ。
「冒険者登録には犯罪歴の有無が審査されますからね」
「あの水晶玉か…。何とかごまかせないかな?」
「無理じゃな。あれは神代の時代の技術を用いて作られておるからの。【隠蔽】も【偽装】も役に立たぬ」
師匠でも無理なら無理ってことになったんだけど。
一人だけ仲間外れは寂しいだろうな。
「これも一つの罰の形です。お気遣いいただいているだけで私は幸せですよ、リコリスさん。それに冒険者でなくとも、あなたのために出来ることはあるでしょうし」
本人は全然気にしてないらしい。
ギルドカードはともかく、身分証は偽造されたものを持ってるからとりあえず大丈夫ってことだけど。
……まあ、深く考えないようにしよう。
「何はともあれ、みんなでアイナモアナを守ったわけだ。ついてはシャーリーの親睦会も兼ねて、みんなでお祝いしよう!」
「お祝い、ですか?」
「パーティー!」
「パーティーですか!」
「おうっ。盛大にやろーぜ♡」
ニッシッシ。
じつは密かに考えてたんだよねー♡
夜、私たちはシャワシャワ島に上陸した。
右を見れば温泉。左を見ればまた温泉。
そこかしこに温泉が湧き、誰でも気軽に様々な温泉を楽しめるのがこの島だ。
地熱を利用したサウナも名物らしい。
「さ、行こう行こう♡」
一仕事終えたお風呂は格別だねってことで。
「じゃーん!なんと温泉一つ貸し切っちゃいました!イェイ!♡」
「浪費癖モンスターめ…」
経理担当のドロシーがエグい目をしてるけど気にしなーい。
「まあまあ~。細かいことは楽しんでから考えよ。ね?♡ね?♡」
「もう…仕方ないわね」
「はい仕方ないいただきました~♡チョロシーちゃんきゃわたーん♡ほれほれみんな中に入った入った♡ほら、シャーリーも♡」
「は、はい」
それそれ~いざ入浴じゃ~。
「おほァ~、いい感じの露天じゃ~ん」
星空一望で開放的すぎ。
だがそれ以上に。
「まったく、リコの突拍子の無さには呆れ返ります」
「本当に。しっかり財布の紐を握ってやらないと」
「クハハハ。そう言ってやるな。妾たちも良い思いをしておるのも事実じゃ」
「わーい大っきいお風呂ー!」
「広いです!海みたいです!」
美女たちと一緒にお風呂よっしゃー♡
おっほっほっほっほっほっほっほっほ~♡なんですか~?この神々しいまでのフォルムは!♡もう変な声しか出ませんよ~♡
「視線で犯罪起こせそうですね」
「ごく自然に入浴を楽しもうとしてる目ですけどぉ?♡グフフ~♡って、シャーリー」
「はい?」
「なにタオル巻いとんだ貴様」
「なに、って…だって…恥ずかしいじゃないですか…。みんなで裸になんて…」
「うるせェ可愛い顔しやがって!温泉は裸がルールじゃタオル取れコラァ!」
「きゃあぁっ!」
スッポンポン。
うっわエッロ!!アダルトの体現!!
タオルの下にとんだ凶器隠してたもんだなおい!!
「何恥ずかしがってんだいい身体しやがって。見ろアルティを。妹たちと同じなのに堂々としたもんだろ。身も心も曝け出してけあひィ!!ゴメンなさい二度と言いません!!」
「次口にしたらあなたもツルツルにしてやりますからねこのバカリコ!!」
悪いのは私だけど…生尻蹴るお前もどうかと思うんだアルティよ…
お尻真っ赤じゃねえか…
まあ、何にせよ。
楽しいパーティーの始まりだ。
「みんな酒は持ったな?」
「大人はいいなぁ。お酒飲めて」
「私たちだけジュースなの寂しいです…」
「シシシ、大人になったら飲もうね。んじゃーとりあえず、今日はおつかれ!そんで我らが新しい仲間、麗しきシャーリーに!乾杯!!」
ゴクッ、ゴクッ…
「くァあ!うんま!」
アイナモアナの果物数種類を発酵させて作った特製のお酒は、度数は高めなものの、芳醇な甘みが口の中で蕩けて、微発泡の弾ける喉越しが楽しい。
カットフルーツと合わせると美味しさが一入だ。
「温泉で火照った身体に、頭が痛くなるくらいキリッと冷やしたお酒…この組み合わせは天才ですね」
「ホント。飲みながら温泉なんて贅沢だわ。こんなこと貸し切りじゃなきゃ出来ないわね」
「ニシシ。な?お金は使わなきゃでしょ?」
「経済を回すのと散財するのは意味が違うのよ」
『きーもちー』
『ふぃー』
ハハハ、リルムたちもまったりしておるわ。
「細かいこと気にすんなって。ほら、酒に同じく果物から作ったシャーベットを入れると……クフゥ♡キュンキュンするくらいうまい!♡」
「見事な味じゃ。そなたは酒造りの才能もあったか」
「天才なもんでね♡」
後から、【醸造】と【蒸留】のスキルをゲットしてるのに気付いた。
ここまで美味しくなってるのは、きっとそのせいだろう。
「お姉ちゃん、シャーベットあーんしてあげるね」
「ありがと♡あーん…うーん冷たくておいしい♡」
「マリアズルい!お姉ちゃん、私もあーんしたいです。あーん」
「よきにはからえてぇ♡あーん♡」
おっと指までパクッてしちゃったぜ。
「おいち♡おいち♡」
「エヘヘ、お姉ちゃんに食べられちゃいました」
「おっま…可愛いねぇへへへ♡」
「じゃ私はお姉ちゃんのこと食べちゃうね。かぷ」
「ウヒっ、オヒヒヒヒヒ♡もっと食べて~♡」
妹たちが可愛すぎてデレデレが止まらない件。
「ねえねえ、お姉ちゃんおっぱいってなんで大っきいの?」
「フフン、いいだろー」
「触ってもいいですか?」
「おおとも。あやかれあやかれ。ご利益あるぞよー」
「わっ、柔らかーい!指沈んじゃう!」
「スライムみたいです!」
ポインポイン。
妹たちに乳ポヨポヨされる栄養で生かされてる~。
ちなみに百合の楽園内おっぱいランキングは、私のEを筆頭に、アルティとシャーリーがD、師匠がB(大人バージョン時はE)、マリアとジャンヌがA、ドロシーがAAとなっている。
「ドンマイ」
「憐れみの視線向けんな薬物中毒にするわよ」
「脅し文句が怖すぎる。気にするなってーすぐにメロシーさんみたいにボインボインになる…………貧乳はステータスだ希少価値だって名言もあるくらいで」
「諦観してんじゃないわよ無礼者がその乳刈り取るわよ。…そういえば、胸って揉まれると大きくなるらしいわね」
「あーなんかよく聞くね」
「試してみる?皇族のロイヤルな胸を揉む機会を与えてあげるわ」
「ハッハッハ、揉めるだけの乳になってから言ってくれべぶっ!!」
「クソヘタレスケベ処女が」
桶投げんな微微乳めが…
「暑い…」
「どうしたアルティよ。湯に当たったか?」
「冷気には強いんですが、どうにも熱に弱くて…」
アルティ長風呂とか苦手なんだよな。
「そこに長椅子あるから休んでたら?」
「そうします…」
「横でフーフーして冷ましたろか♡」
「して、って言ったらどうします?」
「えっち娘が!!氷魔法使っとけ!!」
「ヘタレじゃのう…つくづく…」
勘違いしないでよね!
みんなの貞操大事にしてるだけなんだからねっ!
はー、しかしめっちゃ気分いいわ。
極楽すぎ。
「シャーリー飲んでる?」
「はい、いただいています」
湯船に腰掛けて風を浴びる姿が色っぽい。
けど、なんか考え事してるのがわかる。
「まだちょっと悩んでるだろ。私なんかがここにいていいのか、的な」
「それは…」
「周り見ろ周り。誰がシャーリーがここにいることに疑問持ってんだ。慣れるまで時間はかかるかもしれないけど、肩肘張ってるだけじゃ疲れちゃうよ」
「リコリスさん…」
「私がシャーリーを選んで、シャーリーも私を選んだ。後悔なんかしてないし、させる気もない。思うところがあっても気にしなくていい。だからさ、笑っとけ。シャーリーのステキな笑顔に、私は心惹かれたんだから」
「……私は、私を好きになれるでしょうか」
そんな当たり前を、さも重大なことみたいに顔を伏せて言うので、私は風で冷たくなった肩を抱いて言ってやった。
「なれるよ。私の女なんだから」
シャーリーの顔が赤い。
のぼせたか?
「リコリスさん、私…」
「お、姉、ちゃーん!」
「どわぁ?!」
「むぐっ?!」
チュ。
バシャーン。
「ケホゴホッ!こらマリア!お風呂で走っちゃダメでしょもう!」
「だってだって!テルナお姉ちゃんがシャーベット食べちゃったんだもん!最後の一口だったのに!」
「良かったではないか。若いうちから弱肉強食の真理を身に沁みて理解出来て」
「むー!テルナお姉ちゃん嫌いー!」
「そんなことで怒らないの。ほら、アタシのをあげるから」
「ほんと?ドロシーお姉ちゃんだーい好き!」
ったく何やってんだか…
ていうか今…キスしたよね…。軽く唇触れただけだけど。
めちゃめちゃテンプレなやつしちゃった。
「ゴメン、シャーリー。唇当たっ、た……ん」
シャーリーは湯けむりに紛れながら、私の頬を挟んでそっと口付けした。
乙女みたいにいじらしく啄んで、かと思えば蛇みたいに口の中を舐って。
静かに静かに。だけど情熱的に。
周りに悟られないように息を殺して。
唇を離したとき、シャーリーは余裕の無い顔で目元を潤ませていた。
「ニシシ、エロい顔してんな」
「こんな顔…あなたにしか見せたことありませんよ」
「光栄すぎかよ。なら、これから一生そうしろ」
「ご命令のままに。私の一番好きな人。私は…あなたの剣になります」
胸に頭を置き手を添えて。
熱いお湯の中で、シャーリーは長く身を預けた。
今この瞬間が、確かなものなのだと受け入れているかのように。
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