百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!

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迷宮探究編

34.カレーと迷宮の話

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「んっふっふ♡」

 ムキッ
 プリンッ

「あーーーむっ♡チュルッ、んむんむ…くっはー!♡カニうんっみゃー♡」

 海風を浴びつつ、私たちは海の恵みを存分に頬張っていた。

「最ッ高!まさかこんな時期にカニが食べられるなんて思ってなかった!」
「甘くて肉厚で身がギュッと締まっていて…むぐむぐ、最高ですね」
「初めて食べたけどカニ味噌って大人の味よね。これはお酒が欲しくなるわ」
「うむ。ではわらわがとっておきの飲み方を教えてやるのじゃ。これは昔、ヒノカミノ国の者から聞いたやり方での。甲羅に清酒を注ぎ、それでちょいと火であっためてやっての。これが…コクコク、ふはー!たまらんのじゃ!…ぉええ!!」
「食欲失せるて。船酔いしてんのに飲んでんじゃねえのじゃロリ」
「マリアさん、ジャンヌさん、殻が剥けましたよ」
「ありがとうシャーリーお姉ちゃんっ」
「もぐもぐ、カニさんおいしいです」

 船をカニの魔物の群れが襲ってきたので、まとめて返り討ちにし、船上はちょっとしたカニパーティーの最中。
 カニっておいしいよねー。
 生でも茹でても焼いても最高なのヤバい。
 特にこのサマークラブは、カニの中でも夏が食べ頃のど真ん中で、旬のカニすらも見劣りするような旨味を持っている。
 しばらく海とはお別れだろうし、魚介は充分に楽しませてもらって、たくさんストックしておこう。

「リコ、見えてきましたよ」
「おー」

 久しぶりドラグーン王国。ただいま我が祖国よーなんて言ってみるよ。
 ほんの二週間ぶりだけど。
 私たちを乗せた船は、無事に航海を終えて王国の南、ユースの街へと到着した。

「んぁー。船旅もいいけど、やっぱ人間は地に足付けてこそだなぁ」
「まったくじゃ…ぉえ」
「皆さん、おつかれさまでした」
「アンドレアさん、今日の日程は?」
「荷下ろしが済んだらユースを出発して、この先にある宿場町で一泊しましょう。その後は野宿で凌ぐことになりますが、約一週間程で王都に到着出来るかと」

 一週間か…予めわかってたことだけど、いざ船旅が終わると途端にめんどくさいな。
 
師匠せんせいの【空間魔法】で一瞬で王都まで行けないかな…チラッ」
「わざとらしい視線を向けるでない。無論造作もないが、怠けることを先に考えるでないわうつけ者め。自分の足で歩かぬか」

 心読むな正論で殴られるの痛いんだから。
 くそぅ、いつか絶対に【空間魔法】覚えてやる。



 荷物を積んだ馬車が7台。
 それに加えてアンドレアさん他、パステリッツ商会関係の人たちの馬車が3台と、付き添いの冒険者用の馬車が3台。
 そこにウルが牽引する私たちの馬車が加わり、合計14台。
 ちょっとした商隊を組んだ私たちはアンドレアさんの指示の下、ユースを出発し、王都を目指し北上した。
 しかし…これがまた退屈で退屈で。
 やることが無さすぎる。
 魔物が現れてはそれを倒し、盗賊が馬車を襲えばそれを退けるのだけど、そこまで強敵ではないので他の冒険者――――グリ…グリ…忘れた――――たちで対処出来るし、ぶっちゃけ私たち必要?まで感じる始末。
 私たちだけなら二、三日でたどり着く道程も、これだけの大所帯ともなればそれなりに足が遅くなる。
 ふむ…

「ドロシードロシー」
「なによ?」
「みんなのご飯と馬のエサに体力増強のポーション混ぜてドーピングしようぜ」
「いい笑顔で言ってることはただの非人道的悪行」

 いいアイデアだと思ったのに。
 ま、せっかくのんびりしてるんなら、私も好きなことをやろうかな。
 まずは新作のソース作りだ。
 海でタコを手に入れて、たこ焼き出来るじゃーんって喜んだんだけど、肝心のソースが出来てなかった。
 たこ焼きに合う甘めのトロッとしたソースの出来がイマイチで、飽食の時代に生きた私の舌に合う味が作れていなかったのだ。
 しかしアイナモアナで収穫した果物がそれを解決する。
 それ単体で完成された味の熟した果物、そこに野菜と香辛料を合わせることで、私はついに納得のいくソースを完成させたのだ!

「私すごい!さすが天才!よっ、お見事!これでおいしいたこ焼きがうわーーーーたこ焼き機が無ーーーーい!!!」
「うるさすぎる…」

 めちゃくちゃ盲点!!
 そうだよ具があっても本体が無きゃダメじゃん!!
 鍛冶屋で丸い窪みの鉄板特注してもらわなきゃ…

「うああ…たこ焼きぃ…」

 私のたこ焼きへの思いは、無惨に儚く散ったのであった。



 しかし!!
 そんなことでめげるリコリスさんではない!!
 たこ焼きがダメなら他の料理を作ればいいじゃないと、私の中のアントワネットが立ち上がる!!

「というわけで♡今日は楽しいスパイス調合だ♡」
「何者かに外部から侵食されているような情緒をしていますね」
「きっと生まれながらに精神が汚染されてるのよ」
「仮にも自分たちの好きな相手にしていい言い草かそれが」

 ドラゴンポートで大量購入した、ラムール特産のスパイス。
 いい感じに調合してカレー作るぞー。
 で、数日かけていい感じに調合出来たスパイスがこちら。

「Oh…ファンタスティック」

 めっちゃカレー粉。
 ここに小麦粉、バター、マンゴーで作ったチャツネを混ぜて…おっしルー出来た。
 さあ試作だ。
 肉、野菜をたっぷり煮込んで…丁寧にアク取りして、ここにルーをぶち込んで…
 うおーめっちゃいい匂いする。

「いい匂い~」
「お腹すきます~」

 マリアとジャンヌがうっとりした顔で鼻をヒクヒクさせてる。
 待ってろよ、今めちゃウマなの作ってやるからな。
 とろみがついてきたら、ここにケチャップとソースを少量。
 これで更にコクがプラスされるのだ。

「リコリスさん、これは?」
「見た目は泥ですけど…なんだか食欲が唆られますね」
「カレーって言ってな、まあ食べてからのお楽しみだ」

 炊きたてご飯にかけて…

「よっしゃ出来たうまそー!リコリスさん特製カレーだ!」

 転生後初…約二十年ぶりのカレーか…
 感慨深すぎる…

「はいそれでは皆さん手を合わせましょ。いっただっきまーす!」
「いただきます」

 パクッ

「うンまぁぁぁぁぁい!!うまっ、うんまぁ!!何これうまぁ!!」
「程よい辛味の中に肉と野菜の旨味…」
「深みのあるスープが米に絡んで…これは口の中が幸せになるわね」
「コクがあってまろやかで、それでいてピリッと引き締まっていて。全てのバランスが完ぺきですね。さすがリコリスさんです」
「うむ、これはよいのう。匙を運ぶ手が止まらなくなりそうじゃ」

 やっば私天才…バーモン○越えたわ…
 自分を褒め称えるワードしか浮かんでこん。
 惜しむらくは福神漬けが無いことか。作ろ。

「あぅ…おいしいけどちょっと辛いかも…」
「お口ヒリヒリですぅ…」
「あ、ゴメン。子どもには辛すぎたか?感覚的には中辛にしたつもりだったけど」

 じゃあ別鍋に果物のぺーストと生クリームを少し加えて、と。

「ほい。これならどう?」
「パク…んん~!すごいすごい!辛くない!さっきのよりおいしくなった!」
「甘くてトロトロでおいしいです!リコリスお姉ちゃんの魔法です!」
「よっしゃ、子どもの舌も鷲掴みにしてやった」
「どれどれ?ふむ、こっちの甘口のものもいけるではないか」
「確かにおいしいんだけど、アタシには物足りないかしら」
「マリアとジャンヌも、大人になったらおいしさがわかるかもしれませんね」

 だね。
 それはそれとして、このカレーおいしすぎ。
 おかわりしよーっと。あ、ちょっと【熟成】使って二日目カレーにしちゃお。
 おほほほー♡うめ、うめ♡

「また興味深いものを作っていますね、リコリスさん」
「おお…なんとも目敏い…」
「こんないい香りをさせておいて、"目敏い"も何もないでしょう」

 嗅ぎ取ったのはカレーの匂いか、それとも金の匂いか。
 どっちでもいいか。

「はあ…食べます?辛いのと甘いのがありますよ」
「ご相伴になります。では辛い方を失礼して。ふむ、ふむ…これは…。リコリスさん」
「はいリコリスです」
「王都に着いたら店を出しましょう。私の威信をかけて王都一の繁盛店にしてみせますから」
「嘘やん」
「ワーグナー、こっちへ」
「はい!」

 専属料理人のワーグナーさんにカレーを食べさせると。

「うっ、ぐすっ…!」

 泣いた。おいしすぎて。

「さすが先生…先生に師事したことは間違いではありませんでした…。これが先生の世界…食の歴史が動く瞬間に立ち会えた幸運に感謝を…!!」
「いや、まあ、はい」
「ワーグナー、リコリスさんをオーナーにレストランを出店します。そこで総料理長として働いてもらおうと思うのですが、やる気はありますか?」
「もちろんです!!願ってもありません!!先生の料理を世に広めるためにも、是非とも協力させてください!!先生、不肖非才の身ではありますが、今後とも精進したく存じます!どうかよろしくお願いいたします!!」
「店舗はパステリッツ商会が所有している空き店舗を流用しましょう。看板と改装は王都に着き次第すぐに手配を。スタッフは」
「任せてください!信頼出来る友人たちがいます!調理も接客も問題ありません!皆すぐ先生の料理に心酔することでしょう!」
「トントン拍子で話が決まりすぎな件」

 カレー作っただけなんだが?

 その場のノリと勢いだけで終わるだろうと思いきや、アンドレアさんもワーグナーさんも本気で、私は王都で店を出すことになった。
 とは言え常駐は出来ないので、レシピを幾つか提供し、ワーグナーさん伝いに他の料理人に伝授する…みたいな感じになると思う。
 食材の手配や宣伝も全てパステリッツ商会が手配してくれるので、私は本当にレシピを教えるだけのお仕事になりそう。
 レシピねえ…カレーとオムライスとハンバーグ、それにパスタとか?デザートも必要だから、プリンとかパフェも並べたい。
 うーん、考える分にはすごく楽しそうだ。

「何をしてもお金に繋がるわねあんたの行動って」
「金のなる木と呼んでくれたまえ」
「いいの?たぶんどっちかって言ったら蔑称に入る部類だと思うけど」
「フフッ、それだけ人の目には魅力的に映るのでしょう。私たちのように」
「そうそうそういうことよ。シャーリーわかってるわーめっちゃ良いこと言うじゃん。褒めて遣わす」
「ありがたき幸せです」
「あんまり甘やかすと付け上がるんじゃぞ」
「うるさし!甘やかせ!」
「のう?」

 いいじゃんダメ人間になるまで甘やかしてくれたって!ふんっ!
 なんてやり取りがありつつも、足は順調に前へと進み。
 私たち一行は長い道のりを経て王都へと到着した。



「王都ー!」
「大きな街ですー!」

 この国一番の都会に、妹たちはキョロキョロしてる。
 フフフ、可愛いんだからまったく。

「皆さん、一ヶ月弱の護衛依頼を受けていただき、まことにありがとうございます。心ばかりの謝礼金をご用意しましたので、どうぞお受け取りください」

 一人当たり金貨4枚。
 一ヶ月近く拘束されたことを考えても、手取りにしては充分すぎる額だ。

「長いようで短い付き合いだった」
「えっと…スケルトンの上位種の…」
大熊の顎グリズリーファングのジョーだ!!」
「ああ、そうそう。…そうだっけ?まあいっか。なに、お前らはもう行くの?」
「おれらはドラゴンポートを拠点にしてるからな。早く帰ってやらねえと、シースミスの婆さんも心配するだろうしよ」
「そうか。シースミスさんによろしく言っといてよ。長生きしてねって」
「あの婆さんもうすぐ百だぞ」

 マジでか。

「縁があったらまた会おうぜ」
「安心しろ。利にならねえ縁は結ばん主義だ」
「ハッハッハ!お前じゃなかったらいい女だったよ。じゃあなリコリス」

 何言ってんだ。
 私だからいい女なんだろーが。

「ったく」
「リコリスさん。私はこれから商会に顔を出しますが、皆さんはどうなさいますか?」
「とりあえず宿だけ取ってきます。その後は街をブラブラしようかな。妹たちが今にも走り出しそうなんで」
「それでは今日のところはお休みいただいて、明日、空き店舗を待ち合わせに、細かな打ち合わせといきましょう。店舗は東大通りの一番街、広場の前にありますのですぐにわかるかと」
「わかりました。それじゃ」

 ひとまず自由時間か。
 みんな疲れてるだろうし、今日はゆっくりしよう。
 次の目的地を決めるのは、もう少し後でもいいかな。

「んじゃー宿探すか」
「リコ、ちょっといいですか?」
「んぁ?」
「王都に帰ってきたので、一応女王陛下に挨拶をしておかないと」

 大賢者の体面的なね。大変ですな。
 
「ほいほい。行ってら」
「あなたも登城するに決まってるでしょう」
「なんでじゃ?」
大賢者わたしを連れ出したのはどこの誰ですか?」
「……いやお前自分でついて行くって決めたんじゃ――――」
「行きますよ」

 有無言わせねえじゃんこいつ。

「お姉ちゃんお城行くの?私も行きたい!」
「私も!」
「おー一緒に行くか。いいよね?」
「ええ、もちろん。みんなはどうしますか?」
「アタシはいいわ。めんどうだし」

 まあ、エルフの皇女様って立場を隠してるんだもんな。
 致し方なし。

「シャーリーは?」
「やめておきます。王都で仕事をしたことも少なくないので」

 めっちゃいい笑顔で返された。
 まあ、元とはいえ暗殺者だもんな。
 顔バレを防ぐ意味でも目立つ行動は避けた方がいいに決まってる。

師匠せんせいは行く?」
「人の王になど興味は無い。わらわは妾で適当にしておるよ」
「協調性が欠片も無いな…」
「では私はリルムさんたちを連れて宿を取っておきましょう」
「じゃあ私は、ゲイルを連れてテイマーギルドに行ってくるわ。夕方またここに集合しましょう」

 てなわけで、私たちはそれぞれで行動することになった。
 登城か…女王陛下に会うのは気が重いけど、久しぶりにリエラに会いたいし。
 いっちょ気合い入れて行くか。



 ――――――――



 従魔も泊まれる宿を早々に見つけた私は、予定の時刻まで街を散歩することにした。
 まさかこうして王都を堂々と歩くときが来ようとは…などという可笑しさを覚えながら、行き交う人々が笑い合っている様を目に留める。
 ああ、ダメですね。
 一人でいると陰鬱なことばかり考える。

「気分を変えないと」

 と、近くにあった服飾の店に入ってみた。

「いらっしゃいませー」

 普段着からドレスまで幅広く取り扱っていて、客層は貴族から平民まで幅広い。
 流行りの服の良し悪しはわかりかねるけども、服を作るうえで勉強になる。
 これくらいなら自分で作っても大差は無さそうだと、布地と糸を買って店を出る。
 すると、路地に入ろうとしていた少女と肩がぶつかり、私は抱えていた荷物を落とした。

「すみま――――」
「ひいぃ!すみませんすみませんすみません!日陰者のくせにぶつかってすみません!お母さんのお腹からやり直します!」

 軽く肩が触れたくらいのものだったけれど、少女はまるで人でも殺してしまったかのような勢いで、地べたに頭を擦りつけて謝罪してきた。

「頭を上げてください。ぶつかったのはこちらなので、そんなに謝らなくても」
「い、いえっ、わ、わた、私が不注意だったので…ほ、ほんとにすみません…生きてて」
「いえ、あの、大丈夫ですか?」
「ははは、はい。で、では…し、失礼しましゅ…ます」

 少女は落ちた荷物を拾い渡してくれて、最後までペコペコとお辞儀した後、風のように走り去ってしまった。

「王都には変わった方がいらっしゃるのですね」

 しかし、いくら不注意だったとはいえ、私が人にぶつかったくらいで押し負けるとは。
 平和ボケというやつでしょうか。
 また歩を進めようとして、

「これは…」

 地面に何かが落ちているのに気が付いた。

「……目?」

 明らかに人間のものでないそれ。
 魔物の素材がこんなところに置かれているはずはない。
 先ほどの少女が落としていったのでしょうか。
 こんなものを放置していては騒ぎになるだろうと、懐にしまってみましたが。

「何者だったのでしょう、あの子」



 ――――――――



「よしっ、無事に登録出来たわねゲイル」
『…………』

 ツンツンと角で腕をつついてくる。
 アタシと二人きりのときくらい喋ったらいいのに。

「まだまだ時間はあるし、どこかでゆっくりお茶でもしましょうか」

 ツンツン
 
「フフッ、じゃあ適当なお店で…あっ、あそこなんて良さそうね」

 そこそこ繁盛してそうな喫茶店から、甘い香りが漂ってくる。
 看板には蜂蜜を使った焼き菓子と紅茶がオススメとあった。

「ハニーヴェイル…へえ、蜂蜜の専門店ですって。ゲイル、蜂蜜は好き?」

 ツンツンツンツン

「すごい突いてくるじゃない…。あなた甘いもの好きだったのね。いいわ、ここにしましょ」

 店に入ろうとした矢先。

「くォらー!!どこ行ったバカ師匠ー!!」

 道の向こうから怒号を放ちながら、髪の短い女の子が走ってきた。

「そろそろ約束の時間だっていうのに…逃げやがってあの腐れキノコ…!!おらー出てこーい!!いるのはわかってんだぞー!!」

 借金取り?
 なんなんだろうか。
 辺りを見渡していた女の子は、ふとアタシと目を合わせた。

「そこの女の子!」
「誰が女の子よこれでも歳上よ」
「え?あ、ゴメンなさい…?あの、この辺で髪の長い女性を見かけませんでしたか?」
「髪の長い女なんてその辺を振り返れば何人もいるわよ」
「じゃなくてこう、ジメジメして私湿気食べて生きてますみたいな…受肉したレイスみたいな…森の奥に生える苔に足が生えたみたいな」

 どんな女よそれ。
 魔物の討伐を請け負ってるって話かしら。

「生憎だけど心当たりは」
「ん?わー!パンツァービートルだ!」
「聞きなさいよ」
「すごい初めて見た!大きい!カッコいい!」

 ツンツン
 言われて満更でもないらしく、ゲイルは女の子の肩を突いた。

「うわぁすごい硬い!たくましい!お姉さんの従魔?ください!」
「ナメんな小娘」
「うう、残念…。ってそうじゃない!!それじゃお姉さん!!うぉーどこだ師匠ー!!」

 一通り騒いでどこかへ行ったけど、なんだったのかしら。
 変な人がいるわね、王都って。
 なんて言ってるアタシは、変な人代表みたいな奴についてきてるわけなんだけど。



 ――――――――



 いやー…相変わらずでっかい城ですなぁ。
 前に来たときは余裕なくてあちこち見てられなかったけど…

「メイドさんたち美人~♡ウヘヘヘ、朝から晩までお世話されたいなぁ~♡」
「女王陛下の前でも同じ態度を執ったら今度こそ不敬で断罪しますからね。この手で」
「お城広い!大きい!キレイ!なんかいい匂いする!」
「絵本の中みたいです!」

 マリアとジャンヌははしゃぎっぱなし。
 子どもには楽しい…というか目新しい場所のようで、庭や廊下一つにも目を輝かせている。
 ハッハッハ、可愛い子たちめ。
 二人がいれば女王陛下の謁見も緊張しなくてすむわー。

しろがねの大賢者、アルティ=クローバー様!!御登城!!」
「面を上げよ」

 うおおおお…女王陛下の圧やべえええ…!
 まだ何もやってませんが…?
 ヴィルストロメリア=ジオ=ドラグーン、国の女王陛下は今日も切れ長の目がお美しい。
 その隣には娘である第一王女、リエラ=ジオ=ドラグーンが鎮座している。
 目が会うと、ヒラヒラと小さく手を振ってくれた。
 ……可愛すぎるな後でチューしよ。

「久しいな。リコリス=ラプラスハート」
「あ、どうもお久しぶりでございます。女王陛下に於かれましては本日もご機嫌麗しゅう」
「つまらぬ世辞はいい。そっちの娘らは?」
「旅すがら、私たちの妹になりました」
「マリアです!」
「ジャンヌです!」

 うーん元気いっぱいの挨拶100万点☆

「快活でよい。どれ、近くに来るといい」
「私?」
「話の流れが濁流すぎる…。マリアとジャンヌに決まってるでしょう…」

 わかっとるけども。
 女王陛下は妹たちを呼んで頭を撫でた。

「幼子と触れ合う機会など久しく無かったが、こうして傍にいるとこうも和むものか」
「エヘヘ、くすぐったぁい」
「ほわァ~ってなっちゃいます~」
「フフフ」
「ズルいですお母様。私も撫でたいのを我慢していますのに」
「後にせよ」

 おお…子ども好きとは意外だな。
 ついでに私のことも撫で撫でしてくれてもええんやで?

「女王様、私もこのキレーな椅子座りたいなぁ」
「私も座ってみたいですー」
「マリア?!ジャンヌ?!」
「おいあの妹たち可愛い顔でエグチぃお願いしだしたぞ」

 臣下騒然としてんじゃねーか。
 さすがの女王陛下も怒っちゃうぞ。

「思う存分座るがよい」
「「わーい!」」

 嘘だろ。

「へ、陛下!」
「構わぬ。椅子などただの飾りだ。我がいる所こそが玉座足り得る」
「は、はぁ…」
「お姉ちゃーん!すごい!私女王様!」
「この椅子カッチカチでお尻痛いです…」
「お、おお…」

 我が妹たちよ…
 お姉ちゃんたちはハラハラしっぱなしじゃよ…?



 その後、ひとしきり遊んで満足したらし妹たちと共に、私たちは執務室へと通された。
 部屋の中には女王陛下とリエラ、それに大臣のダニエル=ナセリさんと、宰相のエミリアン=ディーファンタルさん、それから騎士団長のジベール=ファルシーさんが同席している。
 お菓子と紅茶を出されてるけど、なんだか重苦しい雰囲気。
 楽しい話ではなさそうだというこっちの心境を察したのか、女王陛下は世間話から切り出した。

「事ある毎に報告は受けていたが、自由にやっているようだな。とは言っても、聞こえてくる話は半ば英雄譚のようだが。ルムの街の人身売買事件の解決、フィルナーチアでの暗殺者ギルド撃退、ドラゴンポートのスケルトン発生の沈下…百合の楽園リリーレガリアか…結成して約三月で、よくもまあこれだけの事件に巻き込まれるものだ」

 いやぁ、ほんそれ。
 事件体質だよね私。
 横でアルティは、あなたが事件に首を突っ込んでいるだけでは?みたいな顔してるの気の所為だよね☆

「ローレンス公爵にパステリッツの頭目とも浅からぬ仲と聞いた。最近ではアイナモアナ公国の君主から爵位を賜ったらしいではないか」
「耳聡すぎる…まあ、ひとえに私の人間性と人徳及び魅力によるものです。エヘッ」
「何にせよ、このタイミングでお前たちが戻ってきたのは幸運だな」

 めっちゃ無視される…って思ってたら、女王陛下は神妙な顔で言った。

「今から話すことは、王家から百合の楽園リリーレガリアに対し直々の依頼と受け取ってもらって構わない」
「依頼?」
「リエラの婿探しとかならダメですよ?それなら私と明るい家庭を築いて幸せに暮らしまあ゛ぁーすみませんゴメンなさいほっぺた千切れちゃうからぁぁぁ!!」
「失礼しました。続きをお願いします」
「ここで聞いた話は他言無用ということを念頭に置いてもらう。……王都の西部、カルバッキアの森にて、警ら中の兵士が迷宮ダンジョンの発生を確認した」
迷宮ダンジョン?」
「どこかで聞いたような…」

 腕を組んで首を傾げると、アルティがヒソヒソと囁いた。

「昔私たちが魔物の群れに襲われたことがあったでしょう?その原因となった可能性のあるものです」
「ほぉ…。えっ、ていうかヒソヒソされるとお耳が幸せになっちゃうんだけどー♡」
「じゃあもう一回…食い千切りますよ」
「ゴメンなさいマジメになりましゅ…」

 次から次へと…どうやら私は、本当に事件体質らしい。
 借りてきた猫みたいに大人しくなって、私は事のあらすじに耳を傾けた。
 おおリベルタスよ、もう少しくらい平和な日常パートがあってもいいんだよ?って小さく息をついてから。



 迷宮ダンジョン
 突如として世界のどこかに現れる、この世ならざる世界のこと。
 未だ誰もその全容は把握しておらず、わかっているのは、迷宮ダンジョン内は文字通り迷宮のようにフィールドが広がっていて、発生した迷宮ダンジョンによって地理も地形も異なるということ。
 無数に魔物が湧き、絶えず侵入者を襲うということ。
 足を踏み入れれば生きて帰れる保証が無い死への入り口。
 かつて私たちが魔物の群れを相手にしたときも、これが近くに発生していたかもしれないらしいことを後から聞かされた。
 かもしれないというのは、迷宮ダンジョンは自然に発生することもあれば、また人知れず自然に消えていくものらしく、そのスパンも一定じゃないから。
 結局あのときは、その存在を確認出来なかった。

迷宮ダンジョンって怖いところなんだね」
「怖いです」

 お菓子を頬張りながら言っても緊張感無いぞ妹たち。
 ただ実際のところ、魔物が湧くだけなら脅威にもならないというのが、私の見解でもある。

迷宮ダンジョンの魔物は、地上に湧く魔物とは一線を画して強く、また凶暴だ。油断は死を招くことに繋がる」

 とは言ってもだ。
 仮に子どもの頃のあの魔物たちが迷宮ダンジョンから出てきたものだとしても、当時5歳の私でも何とか出来たレベルだしな。
 死にかけたのは置いといて。

「こう言ったら変ですけど、普通に魔物が湧くのと大して変わらないように思えるんですけど」
「魔物が外に出てきたくらいなら、いちいち大賢者を擁する冒険者に話を聞かせるものか」
「と言うと?」
迷宮ダンジョンは魔物に、人間でいうところの加護に似た力を与える。しかしそれは内での話。迷宮ダンジョン内で強さを得た魔物も、外に出れば一介の魔物と何ら変わらぬ」

 環境バフ的な?
 ん?だとしたらおかしくない?

「じゃあなんで、魔物は迷宮ダンジョンから出てくるんですか?弱くなるなら出てくるメリットなんか無いでしょ?」
「そのとおりだ。しかし、稀に例外が存在する。迷宮ダンジョン内で強さを得た魔物さえ怯え竦む、より強力な魔物……迷宮皇ダンジョンマスターと呼ばれる魔物が生まれた場合だ」

 迷宮皇ダンジョンマスターね…

「ようは住む場所を追われて…みたいなことか。普通の魔物が出てくるより、そいつが出てくる方が厄介そう」
迷宮皇ダンジョンマスター迷宮ダンジョンによって主と定められた特異個体。迷宮ダンジョンの外に出てくることはありえないのです」

 リエラが捕捉してくれたけど、それなら一層わからない。

「なら実害は魔物だけってことでしょ?それも自然に消滅するなら、こっちから構う必要なんて無いんじゃない?確かに出てくる魔物の数によっては、何かしら手を打たなきゃだろうけど」
迷宮ダンジョンは予知出来ぬ災害。しかし同時に恵みでもある」
「恵み?」

 話によると、迷宮ダンジョンは魔物を生み出すのと同じく、様々な資源を人々に齎すとのこと。
 水、木材、鉱物、骨董品アンティーク…中には魔力マナを大量に含んだ宝具アーティファクトと呼ばれるアイテムも含まれ、その価値は物によっては城さえ買えるんだとか。
 そして、

迷宮皇ダンジョンマスターを倒せば、計り知れない財宝を手に入れることが出来る」

 へーすごーいなるほどねー。

「……え?私たちに危険を冒して迷宮ダンジョンに潜って何かいろいろ持って帰ってこいって話してます?」
「察しがいいな。まさしくそのとおりだ」

 鬼かよ。

「先ほども言ったとおり、迷宮ダンジョンの出現はどんな魔法使いにも予見出来ない。これを逃せば次はいつ現れるとも限らん。危険は重々承知だが、それを補って余りある価値が迷宮ダンジョンにはある。かと言って並の冒険者には荷が重く、国防を担う騎士団だけでは手が足りぬ。そんな時にタイミングよく、お前たちが戻ってきたというわけだ」
「ざっくりと、必要なのは私たちというか大賢者アルティのような気がしますけど」
「否定はしない。が、お前たちを並の冒険者と呼ぶのも違うだろう。どうだ?引き受けてはもらえないか?」

 うーん…
 そりゃあ謝礼ありきなんだろうけど、ぶっちゃけめんどくさい…
 まったく興味が無いわけじゃないにしても、話に全然利を感じないんだよなぁ。

「楽しそうだね、私行ってみたい!」
「私も!」
「そうは言うけどねえ…」
「ルムの街に新たに衛兵を補充させたのはこの私なんだがな」

 女王陛下は、途端にそんなことを言い出した。

「そこの幼子二人を冒険者として登録する特例を、最終的に許可したのも私だ」
「そ、それはどうも…」
「何分苦労させられたのは記憶に新しい」

 したり顔で恩を売ってくるじゃん…

「いやでも、私たちもそれだけ頑張ってるし…」
「謝礼の他、迷宮ダンジョン内で得た資源及びアイテムの一部はそちらに譲ろう」

 ピクッ

「ほ、ほぉ~…」
「リコ、顔」

 アイテムは…そうだなぁ…
 見つかれば魅力的だ…

「けど…私たちだけじゃさすがに手に負えないかも…みたいな」
「微塵も思ってはいないだろうが、私とて人手を妥協したつもりはない。騎士団の他、もう二名ばかり応援を要請している」
「応援?」
「そろそろ来るはずだが」

 女王陛下が扉に目を向けたとき。

「ひいいいいいい!!はな、離してぇぇぇ…!!お城怖いぃおうち帰るぅ…!!本当に無理だから…無理すぎて無理故に無理で無理無理無理無理無理無理ぃ!!」
「ここまで来て往生際が悪い…ああもう絨毯掴まないで!この…いや力強っ!この、離し、ちょっ…その手切り落とすぞウジ虫!」

 扉の外から悲鳴と罵声が轟いて、二人の人物が部屋に入ってきた。

「すみません、お待たせしまし、たっ!!」
「ひぐっ!」

 短いオレンジ髪をして、おでこに小さな傷をつけた女の子が、片や腰まである髪の少女を床に投げ飛ばした。

「うちの先生があちこち逃げ回るもので、連れてくるのに苦労してしまいました。宮廷魔法使いサリーナ=レストレイズ、ただいま参上いたしました」
「ご苦労。さて、リコリス=ラプラスハート」
「?」
「この娘が、今しがた話したもう一人の応援だ」

 少女はビクッと身体を震わせると、サリーナと名乗った女の子の後ろに素早く回った。

「あ、あの、えと…すみません…。私なんかが…喋って…。エヴァ=ベリーディース……あの、奈落ならくの、大賢者って…呼ばれて…しゃす」

 オドオドと、最後まで小さく早口で。
 少女は世界で最も権威ある称号を名乗った。
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加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
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世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

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