36 / 52
異戦雪原
~常軌を逸した―パズル~
しおりを挟む
「―長、どう言う事か説明を」
「文字通り、だ。そのままの意味だよ」
本部の『長』の部屋。その机に俺は腰かけ、結衣さんからの問いに返答する。向かいにあるソファーにはお嬢様とリサ。そして、側近の彩と結衣さんが座っている。
「そもそもよ。あの条件じゃ、アタシや彩乃ちゃんが手助け出来ないじゃないの!あの小娘の能力は不明......なのに、やろうっていうの?アンタはただの人間よ?」
「ただの人間とは酷いねぇ。だいたいお前らも人間だろうに」
「ご主人様は立派なお方ですよ。ですから、どうか気を鎮めて下さいませ」
「大丈夫だよ、リサ。落ち着いてるから」
結衣さんは頭に血が上ったか。テーブルを叩き、ただ俺に向かって怒鳴るだけ。
お嬢様はそれに危険を感じたのか。自身の異能でテーブルを創造して、自分ごと結衣さんから少し離した。そして、
「志津二。承諾したって事は......勝算はあるの?」
と言ってきた。
「......ふむ」
勝算、ねぇ。てっきり、
『今夜のご飯何かしら?』
かと思ってたんだけど。意外だね。
「私ってそこまで食い意地ないからね!?」
「心読めるんですか。凄いですねー、お嬢様」
さすがは万能と呼ばれる本家筋。......っと、話がズレた。
「勝算なんて、手段を選ばなければ―無限にありますよ」
「......無限?ご主人様、それは―」
「さぁ、ルール確認を兼ねて条件を復唱。リサ、何だったっけ?」
小首を傾げるリサに、異雪から出された『条件』を復唱させる。これは作戦会議のためであり、ルール確認のためでもある。
「『時間と場所は異戦雪原側が指定する』『その他一切の縛りは設けない』『失神するか、降参するかで敗北』」
「うん。諸君、これに気付くことはあるかな?」
俺のこの言葉に、部屋にいる全員が頭上にはてなマークを浮かべた。なら、ヒント。
―手段を選ばなければ、無限にある。
つまり、だ。
「その他一切の縛りは設けない......。これね?」
「結衣さん、正解。改めて聞いてみれば―穴だらけだろう?このルールは」
縛りはない。故に、
「俺が戦車で乗り込もうが、空爆をしようが、あの時見たく武器林を創ろうが―全て、構わない」
「え、戦車なんか持ってたの?」
「昔、はですね。戦時中は自家用車並に戦車とか戦闘機とか保有してましたし。そう考えれば、今の鷹宮は平和だなー」
今は火器の規制が厳しくなってるからキツいけどね。 昔はバンバン生産してました。主に財閥面の力で。
「怖っ......!」
自分で食いついといて。何ですかその反応は。
「恐らく、異雪側は自分たちに有利な条件を突き付けて―事前に連絡してくる。『受け入れられないなら、この話はなかった事に』ってね」
さぁ、やっと本題に入ったぞ。ここからだ。
「でも......どうするの、志津二。また武器林無双?」
「それはダメね。相手の異能が分からない分、闇雲に行動に移すのは危険よ。それに、相手が用意したフィールドに行く事自体間違いよ」
「......そう。もしも相手が自身が用意したフィールドに来るとしたら、どうする?」
まぁ、まず。
「......罠、ですか」
そう。周囲に部下を配置するなり、それこそ武器林で奇襲を掛けるなり。
「なら、時間もそうなの?」
「古典的ですが、地の利。太陽を背に、とか。真夜中に、とか」
「影を作ってその中を移動したり、ステルス系の異能なんて十分有り得るわね」
「さすが、2人とも専門家ねぇ。本家筋の私より志津二の方が知ってるっていうのがムカつくけど」
それはあなたの姿勢しだいですよ。
知りたいのなら、詳しくみっちり教えてあげます。
「やっぱり最初に不利な条件を飲んだ時点で負けだったのでしょうか......」
うーん、と思案するリサとお二方。彩は我関せずといった感じで、ポーカーフェイス。
―地の利、時の利を美雪に与え、罠があるから近付けない。それを異能なしの俺がどうやって対抗しようか―。
「『アンタとアタシの闘い』......か」
「......志津二?」
アンタとアタシの闘い―なるほど。本当に日本語ってのは難しいね。そのニュアンス1つで、全く違う意味に思わせられる。
こんな簡単なロジックに嵌るとは―。これを狙ってやったのなら、美雪は相当な策士だらうな。ウチに欲しいくらいだ。
幸か不幸か、対抗案は浮かんだ。
常識という固定概念......それを、ぶち壊すほどの。
「......ご主人様、楽しそうですが―案が浮かびましたか?」
「あぁ。伊勢美雪もあっと言うほどの、素晴らしいアイディアが浮かんだよ」
だがそれには、あと1つ。あと1つだけ、ピースが足りない。決行というパズルを完成させるだけの、ピースが。
そしてそれは、既に俺の手中にある。
「......彩。お前が必要だ」
~Prease to the next time!
「文字通り、だ。そのままの意味だよ」
本部の『長』の部屋。その机に俺は腰かけ、結衣さんからの問いに返答する。向かいにあるソファーにはお嬢様とリサ。そして、側近の彩と結衣さんが座っている。
「そもそもよ。あの条件じゃ、アタシや彩乃ちゃんが手助け出来ないじゃないの!あの小娘の能力は不明......なのに、やろうっていうの?アンタはただの人間よ?」
「ただの人間とは酷いねぇ。だいたいお前らも人間だろうに」
「ご主人様は立派なお方ですよ。ですから、どうか気を鎮めて下さいませ」
「大丈夫だよ、リサ。落ち着いてるから」
結衣さんは頭に血が上ったか。テーブルを叩き、ただ俺に向かって怒鳴るだけ。
お嬢様はそれに危険を感じたのか。自身の異能でテーブルを創造して、自分ごと結衣さんから少し離した。そして、
「志津二。承諾したって事は......勝算はあるの?」
と言ってきた。
「......ふむ」
勝算、ねぇ。てっきり、
『今夜のご飯何かしら?』
かと思ってたんだけど。意外だね。
「私ってそこまで食い意地ないからね!?」
「心読めるんですか。凄いですねー、お嬢様」
さすがは万能と呼ばれる本家筋。......っと、話がズレた。
「勝算なんて、手段を選ばなければ―無限にありますよ」
「......無限?ご主人様、それは―」
「さぁ、ルール確認を兼ねて条件を復唱。リサ、何だったっけ?」
小首を傾げるリサに、異雪から出された『条件』を復唱させる。これは作戦会議のためであり、ルール確認のためでもある。
「『時間と場所は異戦雪原側が指定する』『その他一切の縛りは設けない』『失神するか、降参するかで敗北』」
「うん。諸君、これに気付くことはあるかな?」
俺のこの言葉に、部屋にいる全員が頭上にはてなマークを浮かべた。なら、ヒント。
―手段を選ばなければ、無限にある。
つまり、だ。
「その他一切の縛りは設けない......。これね?」
「結衣さん、正解。改めて聞いてみれば―穴だらけだろう?このルールは」
縛りはない。故に、
「俺が戦車で乗り込もうが、空爆をしようが、あの時見たく武器林を創ろうが―全て、構わない」
「え、戦車なんか持ってたの?」
「昔、はですね。戦時中は自家用車並に戦車とか戦闘機とか保有してましたし。そう考えれば、今の鷹宮は平和だなー」
今は火器の規制が厳しくなってるからキツいけどね。 昔はバンバン生産してました。主に財閥面の力で。
「怖っ......!」
自分で食いついといて。何ですかその反応は。
「恐らく、異雪側は自分たちに有利な条件を突き付けて―事前に連絡してくる。『受け入れられないなら、この話はなかった事に』ってね」
さぁ、やっと本題に入ったぞ。ここからだ。
「でも......どうするの、志津二。また武器林無双?」
「それはダメね。相手の異能が分からない分、闇雲に行動に移すのは危険よ。それに、相手が用意したフィールドに行く事自体間違いよ」
「......そう。もしも相手が自身が用意したフィールドに来るとしたら、どうする?」
まぁ、まず。
「......罠、ですか」
そう。周囲に部下を配置するなり、それこそ武器林で奇襲を掛けるなり。
「なら、時間もそうなの?」
「古典的ですが、地の利。太陽を背に、とか。真夜中に、とか」
「影を作ってその中を移動したり、ステルス系の異能なんて十分有り得るわね」
「さすが、2人とも専門家ねぇ。本家筋の私より志津二の方が知ってるっていうのがムカつくけど」
それはあなたの姿勢しだいですよ。
知りたいのなら、詳しくみっちり教えてあげます。
「やっぱり最初に不利な条件を飲んだ時点で負けだったのでしょうか......」
うーん、と思案するリサとお二方。彩は我関せずといった感じで、ポーカーフェイス。
―地の利、時の利を美雪に与え、罠があるから近付けない。それを異能なしの俺がどうやって対抗しようか―。
「『アンタとアタシの闘い』......か」
「......志津二?」
アンタとアタシの闘い―なるほど。本当に日本語ってのは難しいね。そのニュアンス1つで、全く違う意味に思わせられる。
こんな簡単なロジックに嵌るとは―。これを狙ってやったのなら、美雪は相当な策士だらうな。ウチに欲しいくらいだ。
幸か不幸か、対抗案は浮かんだ。
常識という固定概念......それを、ぶち壊すほどの。
「......ご主人様、楽しそうですが―案が浮かびましたか?」
「あぁ。伊勢美雪もあっと言うほどの、素晴らしいアイディアが浮かんだよ」
だがそれには、あと1つ。あと1つだけ、ピースが足りない。決行というパズルを完成させるだけの、ピースが。
そしてそれは、既に俺の手中にある。
「......彩。お前が必要だ」
~Prease to the next time!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる
グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。
彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。
だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。
容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。
「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」
そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。
これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、
高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる