『平凡』を求めている俺が、チート異能を使ったりツンデレお嬢様の執事になるのはおかしいと思うんだが

水無月彩椰

文字の大きさ
38 / 57
手掛かりの1つ

物思いに耽る

しおりを挟む
「──というワケだが、ここまで良いなぁ~?」


一般科目オルディナーレ、3時限目。ここ、化学室で行われているのは、文字通り化学の授業。
 ここまでは何ら問題ないとして、唯一の問題が、享受している教師にある。

教壇の上に立ち、指示棒を手にしている女──椎名梅しいなうめ
 何でも前歴が警視庁の武警課……それも、尋問部の出身らしい。どのような経緯でここに来たのかは知らないが、教務課の中でも四宮に次いで危うい教師の1人だ。
  
そんな彼女はシワだらけのワイシャツを羽織っており、帯銃していることを隠しもせずに葉巻を吸っている。
 ……というか、それ。見た目的に明らかに市販のモノじゃないだろ。何処から入手してきた。 

とまぁ、そんな彼女は──尋問部という肩書きを持つに相応しい功績を残している。
 
警視庁でも処理しきれなかった凶悪犯罪者は全て椎名のところに渡され、彼女に尋問を受けた犯罪者は、情報を素直に吐き出してしまうらしい。
 噂では、椎名は催眠術ヒプノシスの使い手とされており、また、彼女自身もそれを否定するような素振りは見せていなかった。
 謎多き女である。

そんな風に俺は椎名の経歴を反芻しながら、黙々と授業を受けている反面──昨日起きた、決闘。そこで美雪が告白した、襲撃の理由について考えていた。
 曰く、『《鷹宮》・《仙藤》の双方に、君たち《雪月花》を優位な位置に立たせるための情報がある』と聞いたから……らしい。

だからこそ、

『2つの異能者組織の支部に赴き、アタシたちはそれにアクセスしようとした』のだという。
 まぁ、彼女らの計画はどっちにしろ失敗に終わっていただろうが──。

その大きな理由として、マスターデータがある。
 これは限られた人間のみが使用・閲覧が可能な代物であり、決して分家筋や他の異能者組織が弄れるモノでもないのだ。
 セキュリティ云々ではなく、物理的に、回線が繋がっていないのだから。

どうしても見たいというのなら、直接本部に赴き、俺や桔梗、彩らの幹部のパソコンにアクセスし、回線を繋げねばならない。
 だがセキュリティは万全であり、指紋から虹彩からバッチリ揃っている。鉄壁の要塞と言っても過言ではない。

だから、今回の襲撃──《雪月花》の戦科部隊が起こした騒動は、全くもって無意味となる。
 その落とし前やらは他の部署に任せるとして、重要なのは、その出処だ。

自分たちの属する組織がどんなものであれ、他組織より上位だと示すメリットは、数限りなくある。
 そして、《鷹宮》や《仙藤》はその規模・歴史・《長》の異能──その他諸々においてあらゆるものを基盤として、異能者のトップに立ち続けてきている。
 古来より、何百何千と。

だからそれを上回りたいと思うのは、分からなくもない。2大異能者組織の、天下。それを自分のものに出来たらどれだけ良いだろうか──。
 まるで、かつての戦国大名が想っていた事と酷似しているかもしれない。

──戦国、大名……か。

その言葉に、ふと思い当たる。

確かに《長》という大名を筆頭に、私の天下だ俺の天下だと組織間で取り合いをしていたのは事実。そして、今も陰ながらそれは続いている。
 だが、国内最大規模の異能者組織、《鷹宮》が天下を治めて何百年。以来、無謀な争いは鎮火してきた。
 しかし、陰ながら続いている……というのは、反体制派による活動に他ならない。

数ヶ月に起きた、俺を狙った暗殺者らの襲撃。
 あれは自組織の反乱分子が起こした事件で、他異能者組織が起こした事件ではない。

つまり、他組織の中にも少なからず、我が天下を──というならず者がいるんだろうね。まぁ、良いんだけどさ。

……っと、話題が大幅にズレた。ヤバイヤバイ。

確かに、確かに彼女らが求める情報ならある。マスターデータがそうだ。その中にある、代々の異能者の家系、系譜。それが全てを物語っている。

《仙藤》も、《鷹宮》も、彼女ら《雪月花》も。その全てを萃めた、究極に近い情報の集大成。
 《鷹宮》がトップに立つのに『血筋の古さ』があるのならば、それを上回る情報があれば、《雪月花》は俺たちより上位だと知らしめられることになる。

しかし、今の俺たちにとってそんな情報はどうでもいい。彼女らが執着している順位でさえ、気にしない。我ら異能者組織の意は、

『異能者という異端の存在。それを、秘匿し続けること』

だがしかし。それは異能者の『祖』である《鷹宮》や《仙藤》の事情。他の組織がどう思うかは別だ。  
 それこそ、その情報を求めて来る可能性だって、数限りなくある。  

だから余計な争乱を招かぬように、異能者組織は、《長》や《姫》らは、その情報自体を秘匿し続けてきた。 
 知っているのは代々の《長》か、その側近のみ。

すなわち、《雪月花》がこれを知るには──《鷹宮》、もしくは《仙藤》の誰かから、その情報を聞き出さなくてはいけない。
 

「まーた造反者か離反者か......」


しかも、今回は上層部ということは確定している。ターゲットは非常に狭い人数に絞られた。
 《鷹宮》か、或いは身内である《仙藤》か。どちらにせよ、膿は排出しなければならない。

……仕事が増えそうだ。


~to be continued.
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

人生の攻略本を拾いました~彼女の行動がギャルゲー感覚で予測できるので、簡単にハーレム……とおもいきや誰かが死んでしまうらしい~

星上みかん(嬉野K)
恋愛
ギャルゲーマスターに攻略本を与えた結果。 この作品は、 【カクヨム】 【ノベルアップ+】 【アルファポリス】 に投稿しております。 ☆ 会話が苦手で、女性と楽しく話すなんて縁がない主人公。 ある日『人生の攻略本』と書かれた本を拾う。その本には学校でもトップクラスの美少女4人の攻略法が示されていた。まるで未来予知のように、彼女たちの行動が示されていたのである。 何を言えば好感度が上がるのか。どの行動をすれば告白されるのかまで、詳しく書かれていた。 これを使えば簡単に彼女およびハーレムが作れる、と浮足立つ主人公。 しかし攻略本を読み進めていくと、どうやらとあるキャラクターが死んでしまうようで。 その人の死は回避したい。しかし誰が死んでしまうのかはわからない。 ということで、全員と仲良くならないといけない。 仕方がなく、やむを得ず、本意ではないけれどハーレムを作ることになってしまう。 あくまでも人命救助に必要なだけですよ。

処理中です...