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手掛かりの1つ
物思いに耽る
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「──というワケだが、ここまで良いなぁ~?」
一般科目、3時限目。ここ、化学室で行われているのは、文字通り化学の授業。
ここまでは何ら問題ないとして、唯一の問題が、享受している教師にある。
教壇の上に立ち、指示棒を手にしている女──椎名梅。
何でも前歴が警視庁の武警課……それも、尋問部の出身らしい。どのような経緯でここに来たのかは知らないが、教務課の中でも四宮に次いで危うい教師の1人だ。
そんな彼女はシワだらけのワイシャツを羽織っており、帯銃していることを隠しもせずに葉巻を吸っている。
……というか、それ。見た目的に明らかに市販のモノじゃないだろ。何処から入手してきた。
とまぁ、そんな彼女は──尋問部という肩書きを持つに相応しい功績を残している。
警視庁でも処理しきれなかった凶悪犯罪者は全て椎名のところに渡され、彼女に尋問を受けた犯罪者は、情報を素直に吐き出してしまうらしい。
噂では、椎名は催眠術の使い手とされており、また、彼女自身もそれを否定するような素振りは見せていなかった。
謎多き女である。
そんな風に俺は椎名の経歴を反芻しながら、黙々と授業を受けている反面──昨日起きた、決闘。そこで美雪が告白した、襲撃の理由について考えていた。
曰く、『《鷹宮》・《仙藤》の双方に、君たち《雪月花》を優位な位置に立たせるための情報がある』と聞いたから……らしい。
だからこそ、
『2つの異能者組織の支部に赴き、アタシたちはそれにアクセスしようとした』のだという。
まぁ、彼女らの計画はどっちにしろ失敗に終わっていただろうが──。
その大きな理由として、マスターデータがある。
これは限られた人間のみが使用・閲覧が可能な代物であり、決して分家筋や他の異能者組織が弄れるモノでもないのだ。
セキュリティ云々ではなく、物理的に、回線が繋がっていないのだから。
どうしても見たいというのなら、直接本部に赴き、俺や桔梗、彩らの幹部のパソコンにアクセスし、回線を繋げねばならない。
だがセキュリティは万全であり、指紋から虹彩からバッチリ揃っている。鉄壁の要塞と言っても過言ではない。
だから、今回の襲撃──《雪月花》の戦科部隊が起こした騒動は、全くもって無意味となる。
その落とし前やらは他の部署に任せるとして、重要なのは、その出処だ。
自分たちの属する組織がどんなものであれ、他組織より上位だと示すメリットは、数限りなくある。
そして、《鷹宮》や《仙藤》はその規模・歴史・《長》の異能──その他諸々においてあらゆるものを基盤として、異能者のトップに立ち続けてきている。
古来より、何百何千と。
だからそれを上回りたいと思うのは、分からなくもない。2大異能者組織の、天下。それを自分のものに出来たらどれだけ良いだろうか──。
まるで、かつての戦国大名が想っていた事と酷似しているかもしれない。
──戦国、大名……か。
その言葉に、ふと思い当たる。
確かに《長》という大名を筆頭に、私の天下だ俺の天下だと組織間で取り合いをしていたのは事実。そして、今も陰ながらそれは続いている。
だが、国内最大規模の異能者組織、《鷹宮》が天下を治めて何百年。以来、無謀な争いは鎮火してきた。
しかし、陰ながら続いている……というのは、反体制派による活動に他ならない。
数ヶ月に起きた、俺を狙った暗殺者らの襲撃。
あれは自組織の反乱分子が起こした事件で、他異能者組織が起こした事件ではない。
つまり、他組織の中にも少なからず、我が天下を──というならず者がいるんだろうね。まぁ、良いんだけどさ。
……っと、話題が大幅にズレた。ヤバイヤバイ。
確かに、確かに彼女らが求める情報ならある。マスターデータがそうだ。その中にある、代々の異能者の家系、系譜。それが全てを物語っている。
《仙藤》も、《鷹宮》も、彼女ら《雪月花》も。その全てを萃めた、究極に近い情報の集大成。
《鷹宮》がトップに立つのに『血筋の古さ』があるのならば、それを上回る情報があれば、《雪月花》は俺たちより上位だと知らしめられることになる。
しかし、今の俺たちにとってそんな情報はどうでもいい。彼女らが執着している順位でさえ、気にしない。我ら異能者組織の意は、
『異能者という異端の存在。それを、秘匿し続けること』
だがしかし。それは異能者の『祖』である《鷹宮》や《仙藤》の事情。他の組織がどう思うかは別だ。
それこそ、その情報を求めて来る可能性だって、数限りなくある。
だから余計な争乱を招かぬように、異能者組織は、《長》や《姫》らは、その情報自体を秘匿し続けてきた。
知っているのは代々の《長》か、その側近のみ。
すなわち、《雪月花》がこれを知るには──《鷹宮》、もしくは《仙藤》の誰かから、その情報を聞き出さなくてはいけない。
「まーた造反者か離反者か......」
しかも、今回は上層部ということは確定している。ターゲットは非常に狭い人数に絞られた。
《鷹宮》か、或いは身内である《仙藤》か。どちらにせよ、膿は排出しなければならない。
……仕事が増えそうだ。
~to be continued.
一般科目、3時限目。ここ、化学室で行われているのは、文字通り化学の授業。
ここまでは何ら問題ないとして、唯一の問題が、享受している教師にある。
教壇の上に立ち、指示棒を手にしている女──椎名梅。
何でも前歴が警視庁の武警課……それも、尋問部の出身らしい。どのような経緯でここに来たのかは知らないが、教務課の中でも四宮に次いで危うい教師の1人だ。
そんな彼女はシワだらけのワイシャツを羽織っており、帯銃していることを隠しもせずに葉巻を吸っている。
……というか、それ。見た目的に明らかに市販のモノじゃないだろ。何処から入手してきた。
とまぁ、そんな彼女は──尋問部という肩書きを持つに相応しい功績を残している。
警視庁でも処理しきれなかった凶悪犯罪者は全て椎名のところに渡され、彼女に尋問を受けた犯罪者は、情報を素直に吐き出してしまうらしい。
噂では、椎名は催眠術の使い手とされており、また、彼女自身もそれを否定するような素振りは見せていなかった。
謎多き女である。
そんな風に俺は椎名の経歴を反芻しながら、黙々と授業を受けている反面──昨日起きた、決闘。そこで美雪が告白した、襲撃の理由について考えていた。
曰く、『《鷹宮》・《仙藤》の双方に、君たち《雪月花》を優位な位置に立たせるための情報がある』と聞いたから……らしい。
だからこそ、
『2つの異能者組織の支部に赴き、アタシたちはそれにアクセスしようとした』のだという。
まぁ、彼女らの計画はどっちにしろ失敗に終わっていただろうが──。
その大きな理由として、マスターデータがある。
これは限られた人間のみが使用・閲覧が可能な代物であり、決して分家筋や他の異能者組織が弄れるモノでもないのだ。
セキュリティ云々ではなく、物理的に、回線が繋がっていないのだから。
どうしても見たいというのなら、直接本部に赴き、俺や桔梗、彩らの幹部のパソコンにアクセスし、回線を繋げねばならない。
だがセキュリティは万全であり、指紋から虹彩からバッチリ揃っている。鉄壁の要塞と言っても過言ではない。
だから、今回の襲撃──《雪月花》の戦科部隊が起こした騒動は、全くもって無意味となる。
その落とし前やらは他の部署に任せるとして、重要なのは、その出処だ。
自分たちの属する組織がどんなものであれ、他組織より上位だと示すメリットは、数限りなくある。
そして、《鷹宮》や《仙藤》はその規模・歴史・《長》の異能──その他諸々においてあらゆるものを基盤として、異能者のトップに立ち続けてきている。
古来より、何百何千と。
だからそれを上回りたいと思うのは、分からなくもない。2大異能者組織の、天下。それを自分のものに出来たらどれだけ良いだろうか──。
まるで、かつての戦国大名が想っていた事と酷似しているかもしれない。
──戦国、大名……か。
その言葉に、ふと思い当たる。
確かに《長》という大名を筆頭に、私の天下だ俺の天下だと組織間で取り合いをしていたのは事実。そして、今も陰ながらそれは続いている。
だが、国内最大規模の異能者組織、《鷹宮》が天下を治めて何百年。以来、無謀な争いは鎮火してきた。
しかし、陰ながら続いている……というのは、反体制派による活動に他ならない。
数ヶ月に起きた、俺を狙った暗殺者らの襲撃。
あれは自組織の反乱分子が起こした事件で、他異能者組織が起こした事件ではない。
つまり、他組織の中にも少なからず、我が天下を──というならず者がいるんだろうね。まぁ、良いんだけどさ。
……っと、話題が大幅にズレた。ヤバイヤバイ。
確かに、確かに彼女らが求める情報ならある。マスターデータがそうだ。その中にある、代々の異能者の家系、系譜。それが全てを物語っている。
《仙藤》も、《鷹宮》も、彼女ら《雪月花》も。その全てを萃めた、究極に近い情報の集大成。
《鷹宮》がトップに立つのに『血筋の古さ』があるのならば、それを上回る情報があれば、《雪月花》は俺たちより上位だと知らしめられることになる。
しかし、今の俺たちにとってそんな情報はどうでもいい。彼女らが執着している順位でさえ、気にしない。我ら異能者組織の意は、
『異能者という異端の存在。それを、秘匿し続けること』
だがしかし。それは異能者の『祖』である《鷹宮》や《仙藤》の事情。他の組織がどう思うかは別だ。
それこそ、その情報を求めて来る可能性だって、数限りなくある。
だから余計な争乱を招かぬように、異能者組織は、《長》や《姫》らは、その情報自体を秘匿し続けてきた。
知っているのは代々の《長》か、その側近のみ。
すなわち、《雪月花》がこれを知るには──《鷹宮》、もしくは《仙藤》の誰かから、その情報を聞き出さなくてはいけない。
「まーた造反者か離反者か......」
しかも、今回は上層部ということは確定している。ターゲットは非常に狭い人数に絞られた。
《鷹宮》か、或いは身内である《仙藤》か。どちらにせよ、膿は排出しなければならない。
……仕事が増えそうだ。
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