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決意
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流星は保育園に今日も笑顔で通う。イヤイヤ期が終わり成長したからか少年になったような気がして頼もしくなってきた。そんな風に思うのは結弦の視線に親としてのフィルターがかかっているからだろうか。それでも、イヤイヤと言われて準備に激しく抵抗されることは一切無くなったことでストレスは無くなり仕事に集中できるのは確かだ。しかし、一難去ってまた一難であり最近は別の悩みに悩まされている。
「お疲れ様です。これ、今日のお昼に皆さんで食べてください。」
そう言って代表や結弦を含めた全員分の弁当を差し入れと称して持ってくるのはスーツを着た要だ。最初に来た時は全員が唖然として高級な弁当に恐縮して受け取った代表は戸惑っていた。しかし、それも数回続けば見慣れてしまい、「あー、いつもの」なんて言って日常のように受け取っている。最初に感じていたはずのよく分からない胸に引っかかる恐怖などどこかに吹っ飛んでしまう。そのうえ、下請けで小さい会社である自分たちのことまで気を遣ってくれるとは誰も思わない。だから、その行為に代表や先輩たちは大いに感動し、要に対する評価はうなぎ登りだ。それとは真逆に、結弦にとっては怪しさしかなく今後のことに不安が膨らむばかりだ。
「結弦、今日は幕の内だぞ。ここの弁当はこの間も貰ったけどうまいんだよな。」
代表は嬉しそうに明るい声で言う。それに続いて先輩たちも弁当に歓喜の声をあげるが、その弾んだ声に気まずさしかない結弦は、はぁ、と覇気のない返事しかできない。その鈍い反応に首を傾げた代表は顔をしかめる。
「どうした?弁当持って来たのか?それとも、魚は嫌いだったか?この間、回転寿司に俺の家族とお前と流星君を連れて行った時に流星君以上にはしゃいでいたのに。」
結弦は子供以上に初めて訪れた回転寿司に舞い上がったことを思い出し恥ずかしくなる。
「いや、それは回転寿司に行ったのは初めてのことだったので。あ、代表、あの時はごちそうさまでした。流星も喜んでいましたし、僕も楽しかったです。」
これ以上恥ずかしい話を続けられても困るので、結弦は後日に言っていたお礼を再度言って誤魔化すことにする。すると、代表は嬉しそうに笑い、結弦の肩を軽く数回優しく叩く。
「いや、気にするな。流星君やお前が喜んでくれたならよかった。また行こうな。俺の子供たちも流星君のことを気に入っていて偶にお前たちに会える日を聞かれたりするから。夫もお前にまた会いたいって。」
「代表の家族には僕もまた会いたいですから、ぜひ誘ってください。次は自分たちの分は僕が支払います。」
代表は同じオメガであることや初めての出産と子育ての先輩という立場なので、相談を仕事の合間にさせてもらうことが多い。そんな代表との関係は自然と深くなり、お互いの家族を連れて外食するのは不思議なことではない。それに不安はあったが、彼のコミュニケーションの高さに負けず劣らず、彼の子供たちは流星が人見知りを発動する前に突っ込んでいっていつの間にか仲良くなっていた。流星も彼らに対してはとても好意的であり、人に対する好き嫌いが激しい彼にしては珍しいが、代表の子供たちが優しい子たちだからでもあるのだろう。その時に会った代表の番であるアルファは物腰の柔らかい人で結弦に対して傲慢な態度をとらない。まるで要のようだ、とその時に結弦は思った。
代表とプライベートな話に気が抜けたのか何も考えずに流星について話している。すぐ気づいて周囲を確認するとすでに要の姿はなく間一髪だったと結弦は胸を撫で下ろす。まさか、先日友明にせっかく流星のことを口止めしたばかりなのに、自分で話してしまうとは思いもよらない。
「大丈夫だよね。」
自分に対して結弦は慰めるばかりだ。
昼になりさっそく差し入れされた弁当に全員が手をつける。
「羽水さんが持ってくる弁当ってどれもうまいよな。」
「ああ、本当に、な。それに、このおかげでうちの奥さんが弁当を作る手間が省けて楽だ、だってさ。」
「みんな言われることは一緒だな。」
がつがつと健康が考えられている弁当を食べながら談笑する。幕の内弁当など食べたことが以前の差し入れ以外にないが、確かに結弦も弁当の感想には先輩たちに同意する。それに、これだけ弁当の差し入れに先輩たちが喜んでくれたことで、要と先輩たちとの会話が増えたのは要にとってもプラスだと結弦は思っている。
この弁当で先輩たちの家庭におけるストレスは軽減されるかもしれないが、結弦の職場におけるストレスは大いに高まっている。これからどうすれば、と結弦は危機感を覚え途方に暮れているのが現状だ。
結弦は終業時間になって現場を出て保育園に迎えに行こうと大通りに出たところで路肩に停まっていた車の扉が開く。それは見たことがある車であり、後部座席から降りてきたのはやはり要だ。こんな高級車に覚えがあるのは彼関連以外にあり得ないから、要を見た時にやっぱりと結弦は納得する。結弦は車のことよりも要に意識が持って行かれ、二人の視線は交わったまま沈黙が流れる。まだ三十前で運転手付きの好待遇に驚いたものの彼が羽水家の次男であることを思い出して結弦は納得する。それにしても、ここで足を止める必要などなかったのに、癖でついその場に固まってしまった。
「結弦、久しぶりだな。」
「・・・・・お久しぶりです、羽水さん。」
抑揚のない声をかけてくる要に戸惑い結弦はギュッと拳を握り自分を強く持とうとしながらも、彼に対して声が震え体は緊張で委縮していることが鮮明にわかる。これは第二次性の問題ではなく、要に対して思うところがあるから来るものだ。“さん”付けで要を苗字で呼ぶのは初対面を含めて初めてであり、その瞬間、彼が冷たい空気を纏ったのを結弦は肌で感じ、それがさらに結弦に圧力をかけている。
「少し話があるんだ。」
「っ僕は何もないです。先を急ぐので失礼します!」
「・・・・これで話す気になるか。」
体に鞭を打って走りだそうとしたところで意味深な言葉を放つ要が一度閉めたはずの後部座席のドアをまた開く。何なんだ、と思いつつ見ていると、彼が後部座席から取り出したのは流星だ。流星は結弦を見るといつもの満面の笑みになる。
「ゆーちゃん、パパがむかえにきてくれたの!これでゆーちゃん、ニコニコ。りゅーもうれしい!」
体いっぱい使って流星は嬉しさを全開にして表現する。そんな彼を抱えた要は口角を上げ流星を抱き上げ直す。
「そうだ、流星。これからは家族三人で住むんだ。」
「やったー!」
高い高いをされて流星の機嫌はさらに良くなる。勝手に決められる今後に結弦は腹が立つどころか呆気に取られ何も言えずその場に立ち尽くす。喜ぶ流星に気を良くした要は何度も高い高いをすると、流星は満足したのか首を横に振る。そして、彼を車の後部座席に戻した要は結弦の方に向き直る。そして、後部座席の扉を開いたまま要は秘書のように手でそこを示しており、「話をするだろう?」と語っている彼の目に結弦は唇を噛んで頷く。こんな脅すようなことをする人ではなかったのに、会わない間にこんなことをするようになったのか、と結弦は数年で変わってしまった要に落胆し悲しくなる。
車に乗り結弦と流星は結弦がまだ要の番だった頃に住んでいたマンションの一室に連れて来られた。畳ではない部屋を初めて見る流星は、おおー、と歓声を上げながら探検を始める。相変わらず人が住んでいるとは思えない物の無さと埃一つない整った部屋であり、流星は部屋を周りながら色んな構想を思案している。
「ここ、りゅーちゃんとゆーちゃんがねりゅ!」
「ここ、ごはんたべりゅ!」
「ここ、ふろ、といれ、ここはゆーちゃんがごはんつくりゅ!りゅーちゃんはてちゅだい!」
全ての部屋を周らないと気が済まないのか、一つ一つ指さしながら言っていきやっと一周回って満足した流星は立ち尽くしている結弦の足元にやって来る。
「ゆーちゃん、ここ、おうちとおなじくらい広いね!でも、げんかんに大きなたながないからじーじとばーばのしゃしんおけない。」
さっきまで満開の笑みだったのに、急に俯いて悲しそうに言う流星にその見せる彼の優しさが結弦は嬉しく思う。
結弦はしゃがんで俯く彼の肩に優しく手を置くと彼は顔を上げる。
「大丈夫だよ。小さな棚があるからそこに写真を飾ってもいいし、それが無理なら家から棚ごと持ってきて部屋に飾ることもできるよ。家の中の方が寒くなくていいかもね。」
「っうん!」
結弦の励ましに流星はまた嬉しそうに笑う。夜ご飯は用意して冷蔵庫にあるようで、冷蔵庫から要が取り出してレンジで温めて並べ始めた時は結弦は目を剥いた。その料理の数々は家政婦が用意したらしいが、それでもこんな風に準備をする姿は初めて見た。あの頃は結弦が主夫であり家事は結弦の仕事と同義なのでそれも当然かもしれない。逆に、彼があの頃も準備をしていたら、それこそおんぶに抱っこ状態だと思うほど彼の準備は手際が良い。
夕食を食べたら眠くなってきたのかうつらうつらとし始めた流星を見て結弦は流星に軽く口をゆすがせると要の方が流星を先に抱えてしまいそのまま部屋に運んだ。要に抱かれる頃にはすでに眠り始めていたのでそのまま夢の中だ。
その様子を結弦が見ていると流星を寝かせて部屋から出てきてドアを閉めた要は流星の前では見せなかった厳しい顔つきを向ける。彼が怒っているのは見て取れるし、それは当然の反応だが、結弦にとっては起きてほしくない未来だったので彼に何を言うか全く決めていない。
「座って話そう。」
彼の言葉に結弦が拒否することはできない。番ではないし要に何かを言われる筋合いはないのに、子供を隠したことが結弦にそうさせている。
椅子に座るのだと思ったが要の要望によりソファで隣同士に座る形になる。
「子供はいつわかったんだ?」
要の声は冷静だ。纏っている雰囲気とのギャップが結弦には恐ろしく、流星の父親について嘘などつけるわけがない。それに、そんなことをしても、要であればきっと流星の父親が自分だと探し当てるに違いない。
「番解消をしようと病院に行った時に検査をして。」
「そうか・・・・・。」
そこで少し沈黙が落ちる。結弦は要が一体何がしたいのかわからないままなので、緊張も伴い時間が止まっているような錯覚さえもしてくる。
「色々と聞きたいことがあるが、今はもう何も聞かないでおくからそんなに緊張するな。流星は優しく良い子に育っているのはお前のおかげだ。過去のことを聞いたからといって彼の為になるわけでもないし、俺たちの為にもならない。けれど、今後は俺らの行動次第だ。だから、俺は流星の為にもお前ともう一度番になって結婚する。」
「・・・・は?」
要の断固たる決意に結弦は何を言われたのかわからずに固まる。思考が飛んでただ何を言えばいいのかひたすら結弦の頭には色んな言葉が巡っている。そんな結弦をフッと要は面白いと言うように笑い、結弦の頬に手を伸ばす。それに結弦は反応しそれを避けようとする。自然と結弦は要と視線が交わり大げさな反応をしてしまったことに顔が熱くなる。
「何を言ってるんだよ!」
ようやく出てきた言葉はそれだけだった。
彼の言葉を理解するのを脳が拒否しているからか、結弦は悲しくないのに、むしろ要のこちらを嘲笑うような行動に怒りしか湧いてこないのに涙が出る。それに対して、要は何も反応することもなく淡々と言葉を紡いでいる。
「何か異論があるのか?もう一度再婚しようと言っているんだ。もちろん、俺とお前は番にもなる。離婚理由はお前がつまらないと言った生活だったが、今度はあの子が一緒だからそんな風に思う暇はないだろう。今後もお前が育てればいい。家にはまだ報せていないが、おそらくそう長い間隠せることじゃない。だが、それはこっちで何とかする。今度こそ、お前を俺から離れさせはしない。お前に何と言われてもいいし、お前が俺に対して何の感情を抱いていなくても俺の傍にいるなら、お前が俺に帰属するなら、それで構わない。もうお前の同意は必要ない。」
真剣な眼差しと段々熱の籠っている言葉に結弦は気圧される。要はその言葉を最後に結弦に迫ってきてキスをしてくる。数年ぶりに受けた唇から伝わる自分ではない誰かの体温は心地良くて“もっと”、“もっと”、と体の中から求めてしまう。生まれ持った性なのか、それとも、心の中にある欲望なのか、結弦には分からない。
「っん、っん。」
「結弦、結弦。」
キスの合間にどれだけ名前を呼ばれたのかわからない。それだけ結弦の頭は酸欠でボーっとしていたから何も考えられないでいる。ただ、結弦は要の温もりを受け止めて口の中に入っている舌を受け入れているだけだ。
やっと気が済んだのか、キスが終わる。結弦の呼吸は乱れているのに、要は一切そんなことはない。以前であれば、要よりも結弦の方が体力がないのは体格から想像できたが、結弦の職業は体を使う作業であるのでデスクワークが多い要より運動していることを考えると結弦の中に少しだけ悔しさが出る。これも現実逃避ではあるが、そうしなければこの予想外な展開に彼の頭はついて行けないのだ。
「なんで・・っそんなに・・・っ体力、あるの?」
息を必死に取り込みながら結弦は要を睨む。結弦の上に乗っている彼は小さく笑って余裕な態度を崩さない。それがまた、結弦には苛立つ。
「さぁ。仕事で色んなところを回るからか。サラリーマンは電車移動が基本で歩くことが多い。電車じゃないと会社から経費として認めてもらえないんだ。」
「そうなのか。」
要の返答のおかげで少し休めて結弦の息は落ち着く。しかし、彼の話には結弦も一瞬驚かされるも、このマンションまで送られたのは運転手付き車なのでそんな簡単に騙されることはない。
「嘘?じゃあ、どうして運転手付きの車で待っていたの?」
要は平然と肩を竦める。
「お前も一度乗ったことがあるだろ?あれは俺が家から与えられている車だ。あの運転手は俺付きの秘書だな。プライベート用の方だが。」
「・・・・なるほど。」
結弦は少しだけ過去を思い出し、確かに学生の頃に一度だけ要と外出した際に乗ったのはあの車だった気がしてくる。そうは言っても、記憶にあるのは車に乗ったことだけで車種は覚えていないし、運転手もそういう人がいると思っただけで容姿までは覚えていないので、可能性があるしか結弦には言えない。
しかし、それにしても結弦には全く想像もできない世界だ。それを聞いただけでも、いかに結弦は違う世界の住人と一緒に暮らしていたのかわかる。それなのに、なぜかその彼が今から番になるとか、再婚とか言い出しているのは結弦にとって疑問でしかない。
そんなことを考えている間に、要が許可もなく結弦のシャツを脱がそうと裾に手をかけてくるので間一髪で止める。それに彼は顔をしかめて「なんだよ。」と苛立つように言う。
「なんだよ、じゃないよ。僕はイエスとは言っていないだろ!何、勝手に脱がそうとしているの!?」
「さっき俺は言ったよな?同意は必要ないって。お前が俺から離れなければそれでいいと。」
要はその言葉を体現するかのように結弦が手で押さえているシャツを無理やり脱がせ、そのままシャツごと手を縛り、結弦の口を自分のそれで塞ぐ。その瞬間、再度結弦は何も考えられなくなり、それと同時に要の手が乳首に対して最初から摘んだりして強い刺激を与えてくる。こんなに感じるものなのかと結弦は困惑するが、今考えてみれば、これまで結弦が要とこういう行為をしたのは番になった時も含め結弦の発情期だけだ。だから、こんな平常な結弦が刺激に対して驚くのも無理はない。発情期の時は意識が飛んでいて行為中に口走った言葉なんかは断片的に覚えているものの、受けた刺激や快楽はほとんど覚えていないのだ。
その与えられる快楽に結弦は力を振り絞って体を左右に振って抗う。その強い抵抗に怯んだのか少し要が離れたので結弦は彼を睨みつける。
「やめて!僕はもうオメガじゃない!」
息を乱しながらも放った結弦の言葉は要に届き、彼は目を丸くする。
「僕は番解消の手術を受けてから発情期が来なくなったんだ。だから、君と、いや、君以外も含めて誰とも番になることはない!」
その言葉は結弦の本心だ。結弦はオメガとしてアルファに囲われるしかないのがオメガに生まれた者の宿命と思っていたが、今はオメガでありながらも懸命に働き家族とも幸せそうに生きている代表を間近に見て来たから多くの道があると信じている。代表には番がいるが、彼は番であるアルファに養われているわけではなく、お互いを尊重し支え合っている。代表は地に足を着いて歩いている人だ。そんな彼に憧れないオメガなどこの世界にいないだろう。
無表情になった要がゆっくりと離れていく。解放された結弦はゆっくりと起き上がり服を正す。何を考えているのか分からない要がゆっくりと結弦の方に視線を向ける。
「発情期は本当に来ないのか?」
改めて確認され結弦はゆっくりと頷く。異常に甘い物を食べたくなったりはするが、手術をして数年が経っても以前のような衝動に襲われたことはない。それはアルファの子供を産んだから役目を終えたともとれるが、医師からもホルモンの検査結果上"ほぼベータ"と言われている。結弦にはこれまでの常識が通用しないが今の方が社会で生きやすいので、その宣告を受けた時に心が軽くなった。
「そうか。」
それだけ呟いた要は目を閉じて何かを考えているのかしばらく沈黙する。少し長めの沈黙の後、要は結弦と目を合わせる。
「番ではなくてもお前はここに住むことは約束してもらう。再婚もしてもらう。」
「は?」
何のために?
そんな言葉が頭を過るが彼の体から圧力をかけてくるようで結弦は先の言葉を紡ぐことができない。
「それが流星とお前が一緒に暮らせる条件だ。お前が今までと同じように子育ても働くこともできるが、お前の家はここ以外にはない。」
「それを拒否したら僕からあの子を取り上げるのか?」
「・・・。」
何も言わない要だが、その目を見るだけで返事はすでにわかっている結弦はもはや条件を飲むしかない。もし、裁判にでもなれば、結弦が勝てない可能性の方が高いからだ。そもそも、弁護士を付けるお金など毎日の生活が精一杯の結弦には用意できるはずもない。
「わかった。それで、君が納得してくれるなら。」
結弦は要の断れない提案を受け入れる。しかし、結弦がそうしたのは確かに今後のことも含まれるが、何より彼に抱かれた流星が初対面である要を見て敬慕を前面に出して”パパ”と呼んだからだ。そして、それに要が微笑んでいたから。
「お疲れ様です。これ、今日のお昼に皆さんで食べてください。」
そう言って代表や結弦を含めた全員分の弁当を差し入れと称して持ってくるのはスーツを着た要だ。最初に来た時は全員が唖然として高級な弁当に恐縮して受け取った代表は戸惑っていた。しかし、それも数回続けば見慣れてしまい、「あー、いつもの」なんて言って日常のように受け取っている。最初に感じていたはずのよく分からない胸に引っかかる恐怖などどこかに吹っ飛んでしまう。そのうえ、下請けで小さい会社である自分たちのことまで気を遣ってくれるとは誰も思わない。だから、その行為に代表や先輩たちは大いに感動し、要に対する評価はうなぎ登りだ。それとは真逆に、結弦にとっては怪しさしかなく今後のことに不安が膨らむばかりだ。
「結弦、今日は幕の内だぞ。ここの弁当はこの間も貰ったけどうまいんだよな。」
代表は嬉しそうに明るい声で言う。それに続いて先輩たちも弁当に歓喜の声をあげるが、その弾んだ声に気まずさしかない結弦は、はぁ、と覇気のない返事しかできない。その鈍い反応に首を傾げた代表は顔をしかめる。
「どうした?弁当持って来たのか?それとも、魚は嫌いだったか?この間、回転寿司に俺の家族とお前と流星君を連れて行った時に流星君以上にはしゃいでいたのに。」
結弦は子供以上に初めて訪れた回転寿司に舞い上がったことを思い出し恥ずかしくなる。
「いや、それは回転寿司に行ったのは初めてのことだったので。あ、代表、あの時はごちそうさまでした。流星も喜んでいましたし、僕も楽しかったです。」
これ以上恥ずかしい話を続けられても困るので、結弦は後日に言っていたお礼を再度言って誤魔化すことにする。すると、代表は嬉しそうに笑い、結弦の肩を軽く数回優しく叩く。
「いや、気にするな。流星君やお前が喜んでくれたならよかった。また行こうな。俺の子供たちも流星君のことを気に入っていて偶にお前たちに会える日を聞かれたりするから。夫もお前にまた会いたいって。」
「代表の家族には僕もまた会いたいですから、ぜひ誘ってください。次は自分たちの分は僕が支払います。」
代表は同じオメガであることや初めての出産と子育ての先輩という立場なので、相談を仕事の合間にさせてもらうことが多い。そんな代表との関係は自然と深くなり、お互いの家族を連れて外食するのは不思議なことではない。それに不安はあったが、彼のコミュニケーションの高さに負けず劣らず、彼の子供たちは流星が人見知りを発動する前に突っ込んでいっていつの間にか仲良くなっていた。流星も彼らに対してはとても好意的であり、人に対する好き嫌いが激しい彼にしては珍しいが、代表の子供たちが優しい子たちだからでもあるのだろう。その時に会った代表の番であるアルファは物腰の柔らかい人で結弦に対して傲慢な態度をとらない。まるで要のようだ、とその時に結弦は思った。
代表とプライベートな話に気が抜けたのか何も考えずに流星について話している。すぐ気づいて周囲を確認するとすでに要の姿はなく間一髪だったと結弦は胸を撫で下ろす。まさか、先日友明にせっかく流星のことを口止めしたばかりなのに、自分で話してしまうとは思いもよらない。
「大丈夫だよね。」
自分に対して結弦は慰めるばかりだ。
昼になりさっそく差し入れされた弁当に全員が手をつける。
「羽水さんが持ってくる弁当ってどれもうまいよな。」
「ああ、本当に、な。それに、このおかげでうちの奥さんが弁当を作る手間が省けて楽だ、だってさ。」
「みんな言われることは一緒だな。」
がつがつと健康が考えられている弁当を食べながら談笑する。幕の内弁当など食べたことが以前の差し入れ以外にないが、確かに結弦も弁当の感想には先輩たちに同意する。それに、これだけ弁当の差し入れに先輩たちが喜んでくれたことで、要と先輩たちとの会話が増えたのは要にとってもプラスだと結弦は思っている。
この弁当で先輩たちの家庭におけるストレスは軽減されるかもしれないが、結弦の職場におけるストレスは大いに高まっている。これからどうすれば、と結弦は危機感を覚え途方に暮れているのが現状だ。
結弦は終業時間になって現場を出て保育園に迎えに行こうと大通りに出たところで路肩に停まっていた車の扉が開く。それは見たことがある車であり、後部座席から降りてきたのはやはり要だ。こんな高級車に覚えがあるのは彼関連以外にあり得ないから、要を見た時にやっぱりと結弦は納得する。結弦は車のことよりも要に意識が持って行かれ、二人の視線は交わったまま沈黙が流れる。まだ三十前で運転手付きの好待遇に驚いたものの彼が羽水家の次男であることを思い出して結弦は納得する。それにしても、ここで足を止める必要などなかったのに、癖でついその場に固まってしまった。
「結弦、久しぶりだな。」
「・・・・・お久しぶりです、羽水さん。」
抑揚のない声をかけてくる要に戸惑い結弦はギュッと拳を握り自分を強く持とうとしながらも、彼に対して声が震え体は緊張で委縮していることが鮮明にわかる。これは第二次性の問題ではなく、要に対して思うところがあるから来るものだ。“さん”付けで要を苗字で呼ぶのは初対面を含めて初めてであり、その瞬間、彼が冷たい空気を纏ったのを結弦は肌で感じ、それがさらに結弦に圧力をかけている。
「少し話があるんだ。」
「っ僕は何もないです。先を急ぐので失礼します!」
「・・・・これで話す気になるか。」
体に鞭を打って走りだそうとしたところで意味深な言葉を放つ要が一度閉めたはずの後部座席のドアをまた開く。何なんだ、と思いつつ見ていると、彼が後部座席から取り出したのは流星だ。流星は結弦を見るといつもの満面の笑みになる。
「ゆーちゃん、パパがむかえにきてくれたの!これでゆーちゃん、ニコニコ。りゅーもうれしい!」
体いっぱい使って流星は嬉しさを全開にして表現する。そんな彼を抱えた要は口角を上げ流星を抱き上げ直す。
「そうだ、流星。これからは家族三人で住むんだ。」
「やったー!」
高い高いをされて流星の機嫌はさらに良くなる。勝手に決められる今後に結弦は腹が立つどころか呆気に取られ何も言えずその場に立ち尽くす。喜ぶ流星に気を良くした要は何度も高い高いをすると、流星は満足したのか首を横に振る。そして、彼を車の後部座席に戻した要は結弦の方に向き直る。そして、後部座席の扉を開いたまま要は秘書のように手でそこを示しており、「話をするだろう?」と語っている彼の目に結弦は唇を噛んで頷く。こんな脅すようなことをする人ではなかったのに、会わない間にこんなことをするようになったのか、と結弦は数年で変わってしまった要に落胆し悲しくなる。
車に乗り結弦と流星は結弦がまだ要の番だった頃に住んでいたマンションの一室に連れて来られた。畳ではない部屋を初めて見る流星は、おおー、と歓声を上げながら探検を始める。相変わらず人が住んでいるとは思えない物の無さと埃一つない整った部屋であり、流星は部屋を周りながら色んな構想を思案している。
「ここ、りゅーちゃんとゆーちゃんがねりゅ!」
「ここ、ごはんたべりゅ!」
「ここ、ふろ、といれ、ここはゆーちゃんがごはんつくりゅ!りゅーちゃんはてちゅだい!」
全ての部屋を周らないと気が済まないのか、一つ一つ指さしながら言っていきやっと一周回って満足した流星は立ち尽くしている結弦の足元にやって来る。
「ゆーちゃん、ここ、おうちとおなじくらい広いね!でも、げんかんに大きなたながないからじーじとばーばのしゃしんおけない。」
さっきまで満開の笑みだったのに、急に俯いて悲しそうに言う流星にその見せる彼の優しさが結弦は嬉しく思う。
結弦はしゃがんで俯く彼の肩に優しく手を置くと彼は顔を上げる。
「大丈夫だよ。小さな棚があるからそこに写真を飾ってもいいし、それが無理なら家から棚ごと持ってきて部屋に飾ることもできるよ。家の中の方が寒くなくていいかもね。」
「っうん!」
結弦の励ましに流星はまた嬉しそうに笑う。夜ご飯は用意して冷蔵庫にあるようで、冷蔵庫から要が取り出してレンジで温めて並べ始めた時は結弦は目を剥いた。その料理の数々は家政婦が用意したらしいが、それでもこんな風に準備をする姿は初めて見た。あの頃は結弦が主夫であり家事は結弦の仕事と同義なのでそれも当然かもしれない。逆に、彼があの頃も準備をしていたら、それこそおんぶに抱っこ状態だと思うほど彼の準備は手際が良い。
夕食を食べたら眠くなってきたのかうつらうつらとし始めた流星を見て結弦は流星に軽く口をゆすがせると要の方が流星を先に抱えてしまいそのまま部屋に運んだ。要に抱かれる頃にはすでに眠り始めていたのでそのまま夢の中だ。
その様子を結弦が見ていると流星を寝かせて部屋から出てきてドアを閉めた要は流星の前では見せなかった厳しい顔つきを向ける。彼が怒っているのは見て取れるし、それは当然の反応だが、結弦にとっては起きてほしくない未来だったので彼に何を言うか全く決めていない。
「座って話そう。」
彼の言葉に結弦が拒否することはできない。番ではないし要に何かを言われる筋合いはないのに、子供を隠したことが結弦にそうさせている。
椅子に座るのだと思ったが要の要望によりソファで隣同士に座る形になる。
「子供はいつわかったんだ?」
要の声は冷静だ。纏っている雰囲気とのギャップが結弦には恐ろしく、流星の父親について嘘などつけるわけがない。それに、そんなことをしても、要であればきっと流星の父親が自分だと探し当てるに違いない。
「番解消をしようと病院に行った時に検査をして。」
「そうか・・・・・。」
そこで少し沈黙が落ちる。結弦は要が一体何がしたいのかわからないままなので、緊張も伴い時間が止まっているような錯覚さえもしてくる。
「色々と聞きたいことがあるが、今はもう何も聞かないでおくからそんなに緊張するな。流星は優しく良い子に育っているのはお前のおかげだ。過去のことを聞いたからといって彼の為になるわけでもないし、俺たちの為にもならない。けれど、今後は俺らの行動次第だ。だから、俺は流星の為にもお前ともう一度番になって結婚する。」
「・・・・は?」
要の断固たる決意に結弦は何を言われたのかわからずに固まる。思考が飛んでただ何を言えばいいのかひたすら結弦の頭には色んな言葉が巡っている。そんな結弦をフッと要は面白いと言うように笑い、結弦の頬に手を伸ばす。それに結弦は反応しそれを避けようとする。自然と結弦は要と視線が交わり大げさな反応をしてしまったことに顔が熱くなる。
「何を言ってるんだよ!」
ようやく出てきた言葉はそれだけだった。
彼の言葉を理解するのを脳が拒否しているからか、結弦は悲しくないのに、むしろ要のこちらを嘲笑うような行動に怒りしか湧いてこないのに涙が出る。それに対して、要は何も反応することもなく淡々と言葉を紡いでいる。
「何か異論があるのか?もう一度再婚しようと言っているんだ。もちろん、俺とお前は番にもなる。離婚理由はお前がつまらないと言った生活だったが、今度はあの子が一緒だからそんな風に思う暇はないだろう。今後もお前が育てればいい。家にはまだ報せていないが、おそらくそう長い間隠せることじゃない。だが、それはこっちで何とかする。今度こそ、お前を俺から離れさせはしない。お前に何と言われてもいいし、お前が俺に対して何の感情を抱いていなくても俺の傍にいるなら、お前が俺に帰属するなら、それで構わない。もうお前の同意は必要ない。」
真剣な眼差しと段々熱の籠っている言葉に結弦は気圧される。要はその言葉を最後に結弦に迫ってきてキスをしてくる。数年ぶりに受けた唇から伝わる自分ではない誰かの体温は心地良くて“もっと”、“もっと”、と体の中から求めてしまう。生まれ持った性なのか、それとも、心の中にある欲望なのか、結弦には分からない。
「っん、っん。」
「結弦、結弦。」
キスの合間にどれだけ名前を呼ばれたのかわからない。それだけ結弦の頭は酸欠でボーっとしていたから何も考えられないでいる。ただ、結弦は要の温もりを受け止めて口の中に入っている舌を受け入れているだけだ。
やっと気が済んだのか、キスが終わる。結弦の呼吸は乱れているのに、要は一切そんなことはない。以前であれば、要よりも結弦の方が体力がないのは体格から想像できたが、結弦の職業は体を使う作業であるのでデスクワークが多い要より運動していることを考えると結弦の中に少しだけ悔しさが出る。これも現実逃避ではあるが、そうしなければこの予想外な展開に彼の頭はついて行けないのだ。
「なんで・・っそんなに・・・っ体力、あるの?」
息を必死に取り込みながら結弦は要を睨む。結弦の上に乗っている彼は小さく笑って余裕な態度を崩さない。それがまた、結弦には苛立つ。
「さぁ。仕事で色んなところを回るからか。サラリーマンは電車移動が基本で歩くことが多い。電車じゃないと会社から経費として認めてもらえないんだ。」
「そうなのか。」
要の返答のおかげで少し休めて結弦の息は落ち着く。しかし、彼の話には結弦も一瞬驚かされるも、このマンションまで送られたのは運転手付き車なのでそんな簡単に騙されることはない。
「嘘?じゃあ、どうして運転手付きの車で待っていたの?」
要は平然と肩を竦める。
「お前も一度乗ったことがあるだろ?あれは俺が家から与えられている車だ。あの運転手は俺付きの秘書だな。プライベート用の方だが。」
「・・・・なるほど。」
結弦は少しだけ過去を思い出し、確かに学生の頃に一度だけ要と外出した際に乗ったのはあの車だった気がしてくる。そうは言っても、記憶にあるのは車に乗ったことだけで車種は覚えていないし、運転手もそういう人がいると思っただけで容姿までは覚えていないので、可能性があるしか結弦には言えない。
しかし、それにしても結弦には全く想像もできない世界だ。それを聞いただけでも、いかに結弦は違う世界の住人と一緒に暮らしていたのかわかる。それなのに、なぜかその彼が今から番になるとか、再婚とか言い出しているのは結弦にとって疑問でしかない。
そんなことを考えている間に、要が許可もなく結弦のシャツを脱がそうと裾に手をかけてくるので間一髪で止める。それに彼は顔をしかめて「なんだよ。」と苛立つように言う。
「なんだよ、じゃないよ。僕はイエスとは言っていないだろ!何、勝手に脱がそうとしているの!?」
「さっき俺は言ったよな?同意は必要ないって。お前が俺から離れなければそれでいいと。」
要はその言葉を体現するかのように結弦が手で押さえているシャツを無理やり脱がせ、そのままシャツごと手を縛り、結弦の口を自分のそれで塞ぐ。その瞬間、再度結弦は何も考えられなくなり、それと同時に要の手が乳首に対して最初から摘んだりして強い刺激を与えてくる。こんなに感じるものなのかと結弦は困惑するが、今考えてみれば、これまで結弦が要とこういう行為をしたのは番になった時も含め結弦の発情期だけだ。だから、こんな平常な結弦が刺激に対して驚くのも無理はない。発情期の時は意識が飛んでいて行為中に口走った言葉なんかは断片的に覚えているものの、受けた刺激や快楽はほとんど覚えていないのだ。
その与えられる快楽に結弦は力を振り絞って体を左右に振って抗う。その強い抵抗に怯んだのか少し要が離れたので結弦は彼を睨みつける。
「やめて!僕はもうオメガじゃない!」
息を乱しながらも放った結弦の言葉は要に届き、彼は目を丸くする。
「僕は番解消の手術を受けてから発情期が来なくなったんだ。だから、君と、いや、君以外も含めて誰とも番になることはない!」
その言葉は結弦の本心だ。結弦はオメガとしてアルファに囲われるしかないのがオメガに生まれた者の宿命と思っていたが、今はオメガでありながらも懸命に働き家族とも幸せそうに生きている代表を間近に見て来たから多くの道があると信じている。代表には番がいるが、彼は番であるアルファに養われているわけではなく、お互いを尊重し支え合っている。代表は地に足を着いて歩いている人だ。そんな彼に憧れないオメガなどこの世界にいないだろう。
無表情になった要がゆっくりと離れていく。解放された結弦はゆっくりと起き上がり服を正す。何を考えているのか分からない要がゆっくりと結弦の方に視線を向ける。
「発情期は本当に来ないのか?」
改めて確認され結弦はゆっくりと頷く。異常に甘い物を食べたくなったりはするが、手術をして数年が経っても以前のような衝動に襲われたことはない。それはアルファの子供を産んだから役目を終えたともとれるが、医師からもホルモンの検査結果上"ほぼベータ"と言われている。結弦にはこれまでの常識が通用しないが今の方が社会で生きやすいので、その宣告を受けた時に心が軽くなった。
「そうか。」
それだけ呟いた要は目を閉じて何かを考えているのかしばらく沈黙する。少し長めの沈黙の後、要は結弦と目を合わせる。
「番ではなくてもお前はここに住むことは約束してもらう。再婚もしてもらう。」
「は?」
何のために?
そんな言葉が頭を過るが彼の体から圧力をかけてくるようで結弦は先の言葉を紡ぐことができない。
「それが流星とお前が一緒に暮らせる条件だ。お前が今までと同じように子育ても働くこともできるが、お前の家はここ以外にはない。」
「それを拒否したら僕からあの子を取り上げるのか?」
「・・・。」
何も言わない要だが、その目を見るだけで返事はすでにわかっている結弦はもはや条件を飲むしかない。もし、裁判にでもなれば、結弦が勝てない可能性の方が高いからだ。そもそも、弁護士を付けるお金など毎日の生活が精一杯の結弦には用意できるはずもない。
「わかった。それで、君が納得してくれるなら。」
結弦は要の断れない提案を受け入れる。しかし、結弦がそうしたのは確かに今後のことも含まれるが、何より彼に抱かれた流星が初対面である要を見て敬慕を前面に出して”パパ”と呼んだからだ。そして、それに要が微笑んでいたから。
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