野獣に餌付けしてしまったらしい

ハル

文字の大きさ
1 / 30

キャリアウーマンだけど癒しは大事

しおりを挟む
 大学卒業後大企業勤務

 親戚からは羨ましがられる、社会に合った人生だと自負している。それを裏付けるように月に一度一人でだけど鉱物の焼肉か鍋、寿司のどれかを食べに行ける。そんな順風満帆な生活を送っていると思っている。

「都築さん、この件なんですけど。」

 会社の後輩で新人が質問に来たのでそれに対応した。これも先輩としての務めとして全うしていたつもりだったし、なるべく分かりやすく教えていたからか、後輩たちからの評判は上々と自負している。

「都築さん、かっこいいよね。」
「都築さんってキャリアウーマンを絵にかいたみたい。」

 なんて、声が聞こえてしまうのも日常だ。

 それに自分の中でやる気も上がるのはしょうがない。これほどに自分のポテンシャルを上げてくれるエネルギー源は他にないだろう。

「ありがとうございます。都築さん。対応してみます。」

 教えていた後輩は自分の席に戻って行く。

 今日も今日とて職場では完璧なキャリアウーマンだ。帰り際に上司からも次のプロジェクトのチームリーダーを任された。今のプロジェクトでもチームリーダー補佐だったので前回の業務内容を認められたという証拠だ。それと同時に給料が上がることを示している。それだけで気持ちはうなぎ登りだが、それをなるべく表現しないようにいつものようににこやかに笑ってお礼を言って会社を出る。

「やったー!昇給が決定だ。」

 帰った会社が借り上げている賃貸アパートの一室で帰り道のコンビニで買った惣菜と炊いてあるごはんを食べながらあの時に喜べなかった分だけ喜んだ。ウーロン茶を片手に誰もいない空を切るが乾杯をする。
 惣菜は油っぽいものが苦手なのでブロッコリーの和え物やサラダラーメンなどのあっさりとしたものだ。たまになら揚げ物も食べるが、ほとんどはこういった野菜類が多い。ただ、コンビニは揚げ物よりもこういった惣菜の方が高いために本当なら自炊なのだが、こういう時は楽してもいいと思う。

「うん、今日も私は頑張ったよ。」

 夕飯を食べながら一日の疲労を癒す。
 夕食後はお風呂に入って足上げ開脚をして一日の足の疲労を軽減させてからiPadを開いてイヤホンを耳にセット、そして、動画を再生させる。
 もちろん、アニメだ。別にフィギュアを集めたり漫画を何冊も購入したりはしないのだけど、アニメ情報だけは必ずチェックして、それを動画サイトの月額を払ってでも見ている。オタクかもしれないけど、好きなものは好きなのだから止められないし、これがあるから仕事を頑張れるのかもしれない。確かに周囲からの褒め言葉もモチベーションを上げているのだけど、これは別の、そう、私にとっては心臓を動かしているに近い感覚で止めてはいけない。

「うう、かっこいい。」

 そして、アニメの良い部分は何度も再生して聞いてしまう。

「あれ、もう11時過ぎている。」

 そんなことをしていれば、あっという間に時間は経っていたのですぐに動画を消して寝る。

 キャリアウーマンとなるためにはこうした努力も大切。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

城内別居中の国王夫妻の話

小野
恋愛
タイトル通りです。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

婚約破棄を喜んで受け入れてみた結果

宵闇 月
恋愛
ある日婚約者に婚約破棄を告げられたリリアナ。 喜んで受け入れてみたら… ※ 八話完結で書き終えてます。

彼が指輪を嵌める理由

mahiro
恋愛
顔良し、頭良し、一人あたり良し。 仕事も出来てスポーツも出来ると社内で有名な重村湊士さんの左薬指に指輪が嵌められていると噂が流れた。 これはもう結婚秒読みの彼女がいるに違いないと聞きたくもない情報が流れてくる始末。 面識なし、接点なし、稀に社内ですれ違うだけで向こうは私のことなんて知るわけもなく。 もうこの恋は諦めなきゃいけないのかな…。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...