ヒロインちゃんがんばる!

名無色

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乙女ゲーム風の王子様は……

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「あれ、シリカ先生じゃないですか?」

まだ誰もいない教室についた頃に声をかけられる。
シリカ!先生!やっばり先生だ!と声をかけた人に心の中で感謝する。

最初に私が“先生の髪”って言ったとき変な反応しただけで否定も肯定もしなかったから不安だった~よかった~。

なんか初対面の印象的に間違えても答え教えてくれなくて、後々間違えて呼んでるのを誰かに見られて笑われてから気付くパターンなのかもとか考えてた。

ほら、たまにある、俺は肯定はしてないこいつが勝手に勘違いしたみたいなこというやつ。

話聞いてなかったのもバレたのかと………いやそこはバレてると思うけど、普通にこの学校の生徒で…とかの説明受けていて、それなのに先生呼びしてたらどうしようかと。

「ああ、お前か。ちょうどいい所にきたな。」
「??何かお手伝いすることでもありますか?」

そう言いながら廊下の向こう側から歩いてくる人に目を向け、固まる。

すっごくテンプレ中のテンプレみたいな容姿すぎる!

金髪碧眼の如何にもな感じのキラキラ王子様顔。
いや嫌いじゃないよ?テンプレって大事よ?

勿論その姿も頭の中にある一人の立ち絵と一致する。
しかもそれは、確か夢鍵のメインヒーロー枠だったはず。

攻略対象の中でも一番先頭に書かれていたり、パッケージで攻略対象が描かれる時必ずいたり、集合絵だと真ん中とかヒロインに一番近い所に描かれたりする枠だ。

私のやっていた新しい方の乙女ゲームだと、そのメインヒーロー枠は攻略制限でガッチガチに固められたりしていて、メインヒーロールートが真相ルートになっていて、一番面白い、ヒロインちゃんとのカップリングが最高!と推しやすい内容になっていることが多かった枠のキャラ。

でも乙女ゲーものの小説だとただのアホなんだよね……たぶんこれ王子様でしょ?

なんかあれ、悪役令嬢であるヒロインの婚約者なのに、蔑ろにしてヒロインちゃんときゃっきゃしたりしてる。

乙女ゲームの王族頭いい人の方が多いと思うんだけど、どうしてそうなったのか、ほんと。

第一でも第二でも王族は割としっかりと教育を受けているというのが王族系の枠の魅力の一つなはず。

王族として残酷な一面を持っていて、そこの苦悩とか性格の歪みとかそういうのを出してきたり。

もちろん軽く王子様です、というのも普通によくある。

けど婚約者いること珍しいし、蔑ろになんてそんな……。

あれ、でも今私がその悪役令嬢を蔑ろにするきっかけ?理由?みたいな立場のヒロインだった。

…………え、私ただの顔だけタイプなら普通に受け入れる自信ないんだけど。

「こいつの魔力検査してこい。他の奴らと一緒にするのは危険だ。」

えー、先生私のことなんだと………。
というか魔力検査??教室まで来たのに私だけまた別行動?

どう考えても贔屓されてるパターン。何これヒロインパワー??

それにこの如何にもな王子様にとか完全に周りから嫌われるやつじゃないですかー!やーだー!

「………ということですか?」
「………フィリア」
「…………へ?」

やっばいまた考え事してた話聞いてなかった。
とりあえず顔だけ向けてニコニコ~と笑顔を作る。

あ、そういえば話無視したけどもしかして自己紹介のタイミング??
私まだ名乗ってなくない!?それで呼ばれた??

「あ、私はフィリア・フェルノって言います!よろしくお願いしますね!先輩!」
「…………うん、よろしくね?」

セーフ!!これセーフだよね?いけてる?問題ない?
危ないもう少しでがん無視したのバレるところだった。

ちゃんと名前名乗ったし、よし、いやよくない!!

彼が名乗っていたとしたら、私また名前聞き逃した!!??

シリカ先生の時に学ぼうよ私ー!!
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