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3日目 ダメ元で株をやってみる。

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「本当に何しようかなぁ。」
僕は思わず寝ぼけた頭でそう言ってしまった。そしたら
「株っ!」
と、お母さんが部屋、というか砦に突っ込んできた。「コキ」って音が骨からしたぞ。一応僕は病人なんだから気をつけてくれよ。
「し、締め切りは?」
と、半ば潰されながら僕は聞いた。
「昨日の夜から今日の朝にかけて終わらせた。」
とサラッと超人的なことを言う。1日で終わる物なのかよ。まあどうでもいいけどね。
「そ、それはいいとして、何しに来たの?」
「儲け話よ。」
「え、儲かるの?」
「儲かるかどうかはあなた次第!」
お母さんはどこかのテレビ番組の売り文句のようなことを言って1枚の紙を出す。
その紙には『株で儲けよう!!』とだけ書いてあった。そのためだけに印刷したのかよ。逆にすげえな。
「え、それだけのために印刷したの?」
「もちろん!」
アホなのか?我が親に言うのはあまり良くないと思うけどマジでこれが、社内でトップクラスの仕事量のキャリアウーマンなのか?
「儲け方を教えてください。」
「任せなさーい。」
と言ってお母さんがやっと砦という名の布団から降りてくれた。あー重かった。
「まず安くて最近上がりかけてる株を買います。いつか値上がりしたら儲かる。」
うん。端的すぎて分からん。ただ、要するに安いところを買っとけば爆死しても損がないし、上がればラッキーってことか。
「なんかわかった気がする…」
「さすがじゃない!」
「うん。テンション高すぎない?」
「株よ!株!」
株がどうしたんだよ。
「株はアドレナリンを出すのよ!」
「麻薬かよ…」
「まあやってみなさい。私は締め切り間近だから帰るわね。」
終わったんじゃなかったのかよ。まあ静かになるからいいか。
「じゃあ、また今度。」
「また明日ね!」
明日も来るのかよ。騒がしくなるな…
「ま、また明日。」
て、お母さんが部屋を出たあと僕は少し悩んだ。
「株か…儲かるかどうかは別としてやってみるか。」
と、パソコンを開き、株価を統計するアプリを開く。
株価が低い会社は…と。おっと?こことかいいんじゃないか?A社か。150円、先日が140円、その前が126円だって?それはなかなかいいのか?とりあえず買ってみるか一株だけ…と思ったけどまあ勢いが大事だ10株くらい買うか。
「…決断に1時間もかけるなよ。」
つい、つぶやいてしまった。まあ思い切って買ったと言っても1500円だからね。たいしたことないね。
そういえばご飯とかってもうそろそろなくなってきたよな…僕は家出たくないしネットで買うか…最近は便利になったものだ。
「とりあえず『サトウのごはん』を一箱とレトルトとか缶詰とかを適量…」
こんな生活でいいのだろうか?おっと株価が更新されたようだ。
「おっ!157円だって⁉︎」
おっとついつい声に出してしまった。けどこの1時間で7円はでかい。10株で70円…やっぱり微妙だな。けど明日が楽しみだな。
っていうかまた昼ごはん抜きかよ。もう3時じゃないか。7時には寝たいからあと4時間でもう一社分株を買うか。どれどれ…
 B社 490円
 C社 3045円   これは論外だな
 D社 320円
おっと、D社はいいんじゃないか?320円で先日、先々日と上がってるしこれ買うか…10株。
ま、とりあえず寝ながら株価見つつご飯食べるか…
「おやすみなさい。」
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