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エピローグ
2話 メル
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帝国東部に位置するターラン領の宿屋に着いて数日が過ぎていた。
他国の王子であった俺は身を隠して生活するものだと思っていたが自意識過剰だった。小国の王子のことなんて自国の一部の人物くらいしか知らない。「ルー様も帝国の王子の顔を知らないでしょ」と真顔でメルに返されたときは恥ずかしさで穴があったら入りたかった。宿屋を借りる際も「ベッド1つの部屋で大丈夫ですよ」とからかわれた。
メルは俺のことを弟のように扱う。初めて会ったのは5年前で給仕として16歳のときにやって来た。商家のウェザー家の娘らしい。
メルの行儀見習いも兼ねていたので2人1セットでの行動が多かった。5つ年上であるメルの方がテーブルマナーも算術も先に出来るようになり追いかけるようにして勉学に励んだ。お風呂も休憩の時間も一緒で弟よりもメルといた時間の方が長い。こうして帝国に同行してくれるメルを俺自身も姉のように慕っている。
「メル、食事が済んだら外に行かないか?」
「どこに行かれるのでしょう?」
「冒険者ギルドに行って見ようかと思って。身分証代わりになるし、当面の資金は大丈夫とはいえ稼ぎ口があるに越したことがないだろ」
乗せられた馬車には衣服や武器、金銭が積まれていたのでメルの給金の心配はない。
食事も終わり冒険者ギルドに向かった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。お客様は初めてですか?」
「登録をさせて貰いたくて」
受付のお姉さんが丁寧にシステムの説明をしてくれた。冒険者にはランクがありGからSで階級分けがされていて、階級に合った任務を受けさせてくれる。
いわゆるよく聞いたことのあるやつだ。
後で問題になってもまずいので本名で登録したが特に問題は無くメルの言った通りだった。王子とはなんだったのだろうか。
登録も済み掲示板で任務を探していると"士官候補生募集中"の張り紙を見つけた。士官学校に3年通いのちに軍務に就くようだ。入学金や月謝は辞めずに卒業する前提で免除され給料が貰える。
「メル、これだよ」
「どうされたのですか?」
「この張り紙。俺は士官学校に行くよ」
「冒険者はどうするのですか?それに帝国の軍人になるのですよ。ゴア様が聞いたらなんというか」
メルは戸惑っていた。承知していいものだろうか。
「ゴアについてはおいおい考えるよ。冒険者もいずれ役に立つときがあるだろ。まずは入学試験を受けよう」
「ルー様は言い出したら聞かないので仕方ありません。その代わり条件があります。私も入学させてもらいますから」
思いつきで決めたがなにも給料だけが目的ではない。能力と知識の習得はマルス王国をいずれ取り戻すときに役に立つ。軍を掌握出来れば穏便にだって出来るかもしれない。
こうして2人は帝国の士官学校の入学試験を受けることになった。
他国の王子であった俺は身を隠して生活するものだと思っていたが自意識過剰だった。小国の王子のことなんて自国の一部の人物くらいしか知らない。「ルー様も帝国の王子の顔を知らないでしょ」と真顔でメルに返されたときは恥ずかしさで穴があったら入りたかった。宿屋を借りる際も「ベッド1つの部屋で大丈夫ですよ」とからかわれた。
メルは俺のことを弟のように扱う。初めて会ったのは5年前で給仕として16歳のときにやって来た。商家のウェザー家の娘らしい。
メルの行儀見習いも兼ねていたので2人1セットでの行動が多かった。5つ年上であるメルの方がテーブルマナーも算術も先に出来るようになり追いかけるようにして勉学に励んだ。お風呂も休憩の時間も一緒で弟よりもメルといた時間の方が長い。こうして帝国に同行してくれるメルを俺自身も姉のように慕っている。
「メル、食事が済んだら外に行かないか?」
「どこに行かれるのでしょう?」
「冒険者ギルドに行って見ようかと思って。身分証代わりになるし、当面の資金は大丈夫とはいえ稼ぎ口があるに越したことがないだろ」
乗せられた馬車には衣服や武器、金銭が積まれていたのでメルの給金の心配はない。
食事も終わり冒険者ギルドに向かった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。お客様は初めてですか?」
「登録をさせて貰いたくて」
受付のお姉さんが丁寧にシステムの説明をしてくれた。冒険者にはランクがありGからSで階級分けがされていて、階級に合った任務を受けさせてくれる。
いわゆるよく聞いたことのあるやつだ。
後で問題になってもまずいので本名で登録したが特に問題は無くメルの言った通りだった。王子とはなんだったのだろうか。
登録も済み掲示板で任務を探していると"士官候補生募集中"の張り紙を見つけた。士官学校に3年通いのちに軍務に就くようだ。入学金や月謝は辞めずに卒業する前提で免除され給料が貰える。
「メル、これだよ」
「どうされたのですか?」
「この張り紙。俺は士官学校に行くよ」
「冒険者はどうするのですか?それに帝国の軍人になるのですよ。ゴア様が聞いたらなんというか」
メルは戸惑っていた。承知していいものだろうか。
「ゴアについてはおいおい考えるよ。冒険者もいずれ役に立つときがあるだろ。まずは入学試験を受けよう」
「ルー様は言い出したら聞かないので仕方ありません。その代わり条件があります。私も入学させてもらいますから」
思いつきで決めたがなにも給料だけが目的ではない。能力と知識の習得はマルス王国をいずれ取り戻すときに役に立つ。軍を掌握出来れば穏便にだって出来るかもしれない。
こうして2人は帝国の士官学校の入学試験を受けることになった。
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