あんなに堅物だった俺を、解してくれたお前の腕が

いちごみるく

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嵐の夜5

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「おい……隼………?」


気が付くと俺は、隼に手を引っ張られ、ソファの上で隼に跨られていた。

「おい隼。何してるんだ……」


俺の焦る声を聞き、隼はトロンとした目を細めたまま、厚くてふっくらした唇に弧を描いた。

その悩殺的な悪魔のような微笑は、間違いなく俺と隼が何度も体を重ねていたときに見てきたものだった。


「ねえ優………久しぶりに、しよ?」


隼は俺の上からそう囁く。


「しようってお前………ここは雨宮と住んでる部屋だろ?」

「そうだよ……だけど、ソファでなら、だいじょうぶ」

「どういうことだ……」

そう言いながらも俺は途中で気づいた。

やはり隼と雨宮は、あの大きなベッドでは既に体を重ねているのだ。


「隼……お前もう、雨宮としたのか?」

ずっと聞きたかったけど聞けなかったこと。

それをこの場の勢いに任せて聞いてみた。


「……うん……したよ……」

再び俺に向けられる妖艶な流し目。

その下にある唇から出たその言葉は、本来であればショックを受ける言葉のはずなのに、この状況で発せられると、なぜだが異常な色気を感じさせた。


「そうか。……よかったか?」

俺も止まらず、気になることを聞き出していた。

「うんー……よかったよーきもちよかったー」


隼は相変わらずフワフワとした意識のまま、俺の質問に答える。


「でもね、優………なんで俺が今日、部屋に呼んだか、まだわかってないの……?」



今見たら、終わりだ。

これまでの理性の糸も完全に切れる。


脳内ではそう瞬時に判断ができた。

しかし、俺は怖いもの見たさのような感覚で、隼の目を見てしまった。


(………来る………!)

そう確信した途端、やはり隼はあの吸い込むような目で俺を捉え、一瞬にして俺の唇を奪った。


ふっくらしていてまるで吸い寄せるような隼の唇は、少し湿っていた。


隼は自分の手で俺の顔を包み、俺に何度もキスをした。

舌を入れてくるかと思えば入れずに、ただ俺の唇を艶っぽく舐めるだけだった。


「……隼………いいのか?お前……」


俺の脳は、もう溶けかけていた。

辛うじて維持してきた倫理観と世間体という理性を繋ぐ糸は、もう擦り切れかけていた。


「……今更だよ優。そんなこと気にするなら……もう俺ら、とっくに終わってる……」


もはや、完全に欲に駆られた妖美な悪魔だった。

隼は一度こうなると、倫理観も世間体も常識も、何もかもが吹っ飛ぶようだ………

隼は俺の上で、欲情した甘美な笑みを浮かべている。











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