108 / 217
14頁
6
しおりを挟む
「それにしても、このトッピングのクリームってどうして溶けないの?きれいに色も付いてるし。不思議」
「それはね、バタークリームだから簡単に溶けないのよ。色がついてるのは食紅を使っているから。バターに牛乳と粉砂糖と食紅を混ぜれば、そういう感じのクリームが作れるのよ。」
「なるほど…!すごいなあ…今度作ってるところも見てみたい!」
「そうね、今度隼くんも作ってみる?今日作ったお菓子はどれもそんなに難しくないものだし。」
「うん!作ってみたい!」
菜摘さんと話しながら、僕は貰ったお菓子を頬張っていた。
こうして少しずつ二人の時間が増えていって、共有する趣味も増えていくのが嬉しかった。
「隼くん、モテそうだから実はチョコ貰ったんじゃない?」
「えっ……!」
不意に菜摘さんに言われた言葉に驚いてしまった。
自分でも予想すらしていなかったが、誰かから貰ったことを菜摘さんに言うべきかどうか迷った。
「………」
「その沈黙は、肯定だな??」
「……っ!」
「分かりやすいわねぇ~隼くんは。…いいのよ別に。貰ったなら貰ったって言ってくれても。」
「……うん、貰った。」
「やっぱりね!誰から?」
「それが、分かんないんだよね……。帰ろうとしたら、靴棚に入ってたんだ。名前も書いてなかったし。」
「なるほどぉー。こっそり隼くんのことを好きな女子からだろうね。誰からか分からないようだと返事のしようも無いから困るわよね。」
菜摘さんの言葉に僕は頷きながら、思いの外菜摘さんが気を悪くしていないことに少し驚いていた。
「……あの、菜摘さん……その……」
「……もしかして隼くん、チョコ貰った話をすれば私が嫉妬すると思った?」
「えっ!……あ、う…うん。嫉妬というか何というか…あんまりいい気持ちはしないかなって…」
「まさか!むしろ、隼くんの良さをわかってくれる女の子がいると思うと嬉しいわ。」
「そ、そうなんだ…」
「なあに?嫉妬して欲しかったの?」
「いや…そういう訳じゃ…ないんだけど……」
菜摘さんの少し意地の悪い顔は、まるで僕の心を見透かしているような気がして、思わず目を逸らしてしまった。
確かに僕は、菜摘さんに嫉妬されてみたかったのかもしれない。
それは普段、僕が菜摘さんに嫉妬することの方が圧倒的に多いからということもあるだろう。
また、菜摘さんも僕に嫉妬してくれることが、僕と同じくらい好きでいてくれていることの証明にもなると漠然と考えていたからでもあろう。
僕はそんな自分の思惑に、少し恥ずかしくなった。
誰か分からないとは言えども、僕にチョコをくれた子の好意をまるでそのような道具みたいに考えていることになるからだ。
「……そりゃ少しはね?もちろん、ほんの少しはモヤっとしたわよ。でも……いい大人が小学生相手に嫉妬丸出しなのも、どこか恥ずかしいじゃない。」
「そんな……全然恥ずかしくないよ。恋愛に、年齢なんて関係ないって教えてくれたのは菜摘さんでしょ?それなら、嫉妬することに関しても年齢なんて関係ないんじゃ……」
「まあ、それもそうね。…でも隼くんの良さをわかってくれる女の子がいて嬉しいっていうのも本心よ?」
菜摘さんの気持ちを聞けば聞くほど、僕は自分の幼さを省みざるを得ず、どんどん恥ずかしさが増していくのだった。
「それはね、バタークリームだから簡単に溶けないのよ。色がついてるのは食紅を使っているから。バターに牛乳と粉砂糖と食紅を混ぜれば、そういう感じのクリームが作れるのよ。」
「なるほど…!すごいなあ…今度作ってるところも見てみたい!」
「そうね、今度隼くんも作ってみる?今日作ったお菓子はどれもそんなに難しくないものだし。」
「うん!作ってみたい!」
菜摘さんと話しながら、僕は貰ったお菓子を頬張っていた。
こうして少しずつ二人の時間が増えていって、共有する趣味も増えていくのが嬉しかった。
「隼くん、モテそうだから実はチョコ貰ったんじゃない?」
「えっ……!」
不意に菜摘さんに言われた言葉に驚いてしまった。
自分でも予想すらしていなかったが、誰かから貰ったことを菜摘さんに言うべきかどうか迷った。
「………」
「その沈黙は、肯定だな??」
「……っ!」
「分かりやすいわねぇ~隼くんは。…いいのよ別に。貰ったなら貰ったって言ってくれても。」
「……うん、貰った。」
「やっぱりね!誰から?」
「それが、分かんないんだよね……。帰ろうとしたら、靴棚に入ってたんだ。名前も書いてなかったし。」
「なるほどぉー。こっそり隼くんのことを好きな女子からだろうね。誰からか分からないようだと返事のしようも無いから困るわよね。」
菜摘さんの言葉に僕は頷きながら、思いの外菜摘さんが気を悪くしていないことに少し驚いていた。
「……あの、菜摘さん……その……」
「……もしかして隼くん、チョコ貰った話をすれば私が嫉妬すると思った?」
「えっ!……あ、う…うん。嫉妬というか何というか…あんまりいい気持ちはしないかなって…」
「まさか!むしろ、隼くんの良さをわかってくれる女の子がいると思うと嬉しいわ。」
「そ、そうなんだ…」
「なあに?嫉妬して欲しかったの?」
「いや…そういう訳じゃ…ないんだけど……」
菜摘さんの少し意地の悪い顔は、まるで僕の心を見透かしているような気がして、思わず目を逸らしてしまった。
確かに僕は、菜摘さんに嫉妬されてみたかったのかもしれない。
それは普段、僕が菜摘さんに嫉妬することの方が圧倒的に多いからということもあるだろう。
また、菜摘さんも僕に嫉妬してくれることが、僕と同じくらい好きでいてくれていることの証明にもなると漠然と考えていたからでもあろう。
僕はそんな自分の思惑に、少し恥ずかしくなった。
誰か分からないとは言えども、僕にチョコをくれた子の好意をまるでそのような道具みたいに考えていることになるからだ。
「……そりゃ少しはね?もちろん、ほんの少しはモヤっとしたわよ。でも……いい大人が小学生相手に嫉妬丸出しなのも、どこか恥ずかしいじゃない。」
「そんな……全然恥ずかしくないよ。恋愛に、年齢なんて関係ないって教えてくれたのは菜摘さんでしょ?それなら、嫉妬することに関しても年齢なんて関係ないんじゃ……」
「まあ、それもそうね。…でも隼くんの良さをわかってくれる女の子がいて嬉しいっていうのも本心よ?」
菜摘さんの気持ちを聞けば聞くほど、僕は自分の幼さを省みざるを得ず、どんどん恥ずかしさが増していくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる