173 / 217
20頁
4
しおりを挟む
「…あっ……隼くん……だめよいきなり…」
抱かれていた腕を菜摘さんの背中に回すと、彼女は僕の思考を見抜いたかのように軽く体を離した。
「だってもう2週間もこうして二人きりになれなかったんだよ……次だって、いつ二人になれるのか分かりやしない…」
「ごめんね隼くん。私のほうが忙しかったせいよ。」
「だから今のうちに菜摘さんとくっつきたい。…だめ?」
「あっ…かわいい…隼くん…そんな顔はずるいわ」
「菜摘さんの方こそいつも可愛いよ。そんなに可愛い顔して僕のこと抱きしめておいて、服を脱がせちゃだめなんてそれこそズルいよ…」
「隼くん、溜まってるのね」
「溜まってる、って何?」
「私と会えない間、1人でしなかったの?」
「……うん。菜摘さんと一緒がよかったから…」
「ふふ。隼くん本当に可愛い。大好きよ。……おいで」
そう言って目をつぶりながら尖らせた菜摘さんの唇に、僕は吸い寄せられるように自分の唇を重ねた。
この瞬間の痺れるような感覚は、菜摘さんに教えてもらったものだ。
一瞬にして全身が蕩けるような感覚も、菜摘さんのおかげで知った。
彼女は勉強以外にも、本当に色んなことを教えてくれる。
彼女と付き合ってから、僕は人生の経験値が倍以上に増えたような感じがする。
だけど、菜摘さんがまた教師に戻ったら、僕以外の沢山の子どもたちに色んなことを教えていくのだろうか…。
授業、部活、行事、普段の生活…
色んな場面で、子どもたちを成長させる為に菜摘さんは指導していくのだろうか……。
僕はそんな彼女の姿を見てみたい気もしたし、一方でその姿を想像した途端、改めて彼女は大人の社会人なんだということを意識した。
それは菜摘さんを少し遠い存在のように感じさせた訳でもなく、むしろ、何故かすごく身近な存在に近づいたような感じがした。
これまで僕の中での菜摘さんは、僕の彼女でありながら、どこか現実離れしたような存在だったからかもしれない。
まるで美しい女神のような、世俗から離れた存在。
そして彼女のそういった面を強調していたのは、仕事をしていなかったということもあるのだろう。
世俗を離れて1人緑に囲まれたアパートに住み、朝早く起きて夜に寝るという"一般的"な生活リズムに縛られず、趣味の料理や読書、映画鑑賞などをして生きる。
そしてほとんど外を出歩かず、時々僕たち小学生と遊んでくれる……
「普通の大人」とは違う生活を送っている彼女に、僕はどこか神聖さを感じていたまでもある。
しかしそれが教師という、日常的に接している身近な存在になると聞いたから、急に彼女に俗っぽさを帯びさせたのかもしれない。
だけどその俗っぽさは、彼女の新たな一面を開花するような期待が含まれていた。
だから、僕は彼女の教師復帰計画を心から応援したいと思った。
抱かれていた腕を菜摘さんの背中に回すと、彼女は僕の思考を見抜いたかのように軽く体を離した。
「だってもう2週間もこうして二人きりになれなかったんだよ……次だって、いつ二人になれるのか分かりやしない…」
「ごめんね隼くん。私のほうが忙しかったせいよ。」
「だから今のうちに菜摘さんとくっつきたい。…だめ?」
「あっ…かわいい…隼くん…そんな顔はずるいわ」
「菜摘さんの方こそいつも可愛いよ。そんなに可愛い顔して僕のこと抱きしめておいて、服を脱がせちゃだめなんてそれこそズルいよ…」
「隼くん、溜まってるのね」
「溜まってる、って何?」
「私と会えない間、1人でしなかったの?」
「……うん。菜摘さんと一緒がよかったから…」
「ふふ。隼くん本当に可愛い。大好きよ。……おいで」
そう言って目をつぶりながら尖らせた菜摘さんの唇に、僕は吸い寄せられるように自分の唇を重ねた。
この瞬間の痺れるような感覚は、菜摘さんに教えてもらったものだ。
一瞬にして全身が蕩けるような感覚も、菜摘さんのおかげで知った。
彼女は勉強以外にも、本当に色んなことを教えてくれる。
彼女と付き合ってから、僕は人生の経験値が倍以上に増えたような感じがする。
だけど、菜摘さんがまた教師に戻ったら、僕以外の沢山の子どもたちに色んなことを教えていくのだろうか…。
授業、部活、行事、普段の生活…
色んな場面で、子どもたちを成長させる為に菜摘さんは指導していくのだろうか……。
僕はそんな彼女の姿を見てみたい気もしたし、一方でその姿を想像した途端、改めて彼女は大人の社会人なんだということを意識した。
それは菜摘さんを少し遠い存在のように感じさせた訳でもなく、むしろ、何故かすごく身近な存在に近づいたような感じがした。
これまで僕の中での菜摘さんは、僕の彼女でありながら、どこか現実離れしたような存在だったからかもしれない。
まるで美しい女神のような、世俗から離れた存在。
そして彼女のそういった面を強調していたのは、仕事をしていなかったということもあるのだろう。
世俗を離れて1人緑に囲まれたアパートに住み、朝早く起きて夜に寝るという"一般的"な生活リズムに縛られず、趣味の料理や読書、映画鑑賞などをして生きる。
そしてほとんど外を出歩かず、時々僕たち小学生と遊んでくれる……
「普通の大人」とは違う生活を送っている彼女に、僕はどこか神聖さを感じていたまでもある。
しかしそれが教師という、日常的に接している身近な存在になると聞いたから、急に彼女に俗っぽさを帯びさせたのかもしれない。
だけどその俗っぽさは、彼女の新たな一面を開花するような期待が含まれていた。
だから、僕は彼女の教師復帰計画を心から応援したいと思った。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる