エターナニル魔法学園特殊クラス

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エターナニル魔法学園特殊クラス

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 とりあえず職員室までの道にある建物を紹介してもらう。中世的だった建物はすっかり近未来的になっていた。説明してもらわなければあれが体育館だとわからなかったくらいに変わっている。管理方法も変化していて、ゴーレムや魔法生物によって行われている。未来のロボット社会を想像すれば近いものになるだろう。最先端をいっていること以外、特にこれといった新しいことはなかった。外観は大いに変わっていたが。
「ここが職員室だよ」
開けてもらったドア(自動ドアではないらしい)の向こうにいた二人の美男とバチッと視線が合った。見知らぬ金髪緑眼のエルフと見覚えのある黒髪赤眼のダークエルフだ。ダークエルフの方はリング先生に間違いないが、エルフの方は誰だろう。リルク先生に似ているが、彼は男性だった。
「レイカだな」
「緊張しなくても連絡は貰っているよ」
合唱したら凄く響き合いそうだと思う。音に聞き惚れて肝心な内容が頭に入ってこない。
「おい」
目の前で手を叩かれてレイカは酔いから戻ってきた。
「長旅で疲れているのか?」
「それだけではないんじゃないか?」
「とりあえず自己紹介だけしておこうか」
またボーっとし始めたレイカにエルフが苦笑する。その様子をダークエルフがおかしそうに眺めていた。
「魔法学園にようこそ、レイカ。通常クラスの担任となるリムルだ」
「実技担当のリングだ。長い付き合いになりそうだな」
握手をする。慌てたため同時になってしまった。
「リトア、すまないが彼女を学生寮まで送っていってくれないか?」
「寮の中は同室の奴が案内してくれるさ」
「はい、わかりました」
「失礼しました」
職員室から出てハッと気が付く。先程何と言われた?通常クラスの担任はリルク先生ではないか?どこか似ていたが、目や髪の色とか雰囲気とかで、容姿は確かに男の人だった。
「リトア先輩!」
「どうしたの?顔真っ青だよ」
「リルク先生って居はりますか?」
「いないかな」
「リルクさんって知り合いにおらへんか?」
「知り合いではないけれど歴史上の有名人としてなら。4000年前に進攻してきた魔物を食い止めた人だよ」
「どのくらい有名なんどす?」
「学び舎で教えるくらいかな」
日本で言うなら小学校の歴史の教科書に載るレベルの他国の偉人である。世界的有名人ではないか!しかし、4000年前に活躍した人ともなると、エルフでも生きているかどうかわからない。
「レイカちゃん学び舎行ってなかったの?」
「う、うん。諸事情で」
実は異世界人ですなんて口が裂けても言えない。
「僕も記憶がないから似たようなものだったかな。大丈夫だよ。そういう子も偶にいるから追加授業があるから」
僕も受けたんだとリトアは苦笑しながら話す。どうやらまた生活に影響が出るほどの記憶喪失だったようだ。
「リトア先輩はこの学園好きどすか?」
「う~ん、単なる好きというよりは感謝もしているかな。孤児院に入る訳にもいかなかったし、病院に居続ける訳にもいかなかったから。居場所を作ってくれたのがここの先生達だったんだ。彼らにはとても感謝しているよ」
人間年齢に見てリトアは15、6歳くらいだろうか。たしかに孤児院に入るにしては育っている。だが、働くには圧倒的に知識が足りない。この様子では保護者はまだ見つかっていないのだろう。
「ここが女子寮だよ。隣が男子寮になるかな」
洋館に似た双棟がそびえ立っていた。近未来的になっていた校舎とは異なり、前の時にレイカが半年暮らしていた場所は彼女の記憶のままだった。扉の前で手を振っている人物にレイカは跳び付かれた。
「レイカ、遅いなんて聞いてないよ!」
大量の涙を流しながら押し付けてきた頭を詫びを込めながら撫でる。ツインテールになった赤い髪が頭の動きに合わせてユラユラと揺れた。
「ごめんなぁ。うちもこんなに遅くなるなんて思わんかったんよ」
「独りだけの二人部屋は広過ぎるんだー」
「これから狭くなるなぁ」
「大歓迎よ。リトア先輩もありがとう。本当に感謝し足りないわ」
「嬉しいのは分かるけれど僕は案内しただけだよ。待望のルームメイトが無事に着いてよかったね。それじゃあ」
人のいい笑みでそう言うとリトアは男子寮に入っていった。
「本当に心配したのよ。もう来ないんじゃないかと思ったわ」
「ちょっと大げさやあらへんか?」
「それなんだけど」
グゥッと大きな音が鳴った。イスカとレイカは見つめ合って、同時にヘラッと笑った。
「先にご飯にしましょ。ここの学食は相変わらず絶品よ」
「絶品と言えば、エルフの保存食美味しかったなぁ。お土産に少し貰ったからあとで食べへん?」
仲良く手を繋いで食堂に向かう二人に周囲の人は温かな視線を送るのだった。

                                 続く

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