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9ー6、カメ、内緒話に誘われる
エターナニル魔法学園特殊クラス
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食堂の一角、窓際の長机に大量の料理が所狭しと並べられている。本来なら12人掛けの席についているのは時間が遅かったためもありイスカとレイカだけだった。レイカの長旅の話を肴にお酒を・・・・飲んでいる訳ではないので安心してほしい。穏やかな会話を楽しみながら食事をする二人の元に太い影が現れた。ずんぐりとした体は人工的で機械的だ。白で揃えられた学園のロボットとは違い、赤茶色であり、モノアイであり、構造も異なっている。しかし、イスカとレイカにはこっちの方が見慣れていた。
「ロイズはんお久しぶりどす」
特殊クラスの年長者であり、研究生であり、魔法ロボットを私用している生徒だ。本体はまた研究室に引き篭もっているのだろう。本体は鋼人で、根っからの研究者気質である。
「あら、今日はロンいないの?」
「アイツナラ部屋デ寝テル」
「あら、珍しい。別の用事じゃないんだ」
「マァ、頼ミ事ナノニハ変ワラナイガ」
薬関係なのだろうか。彼は魔法薬の研究をしている。ロンはその試飲をしていると前に聞いたことがある。薬が効かない体質だとも言っていた。どうやって結果を出しているのか気になる。
「それで何の用?あたし達見ての通り食事中なんだけど?」
和気藹々とした食事を中断されてイスカは少し怒っているようだ。
「ほら」
ロイズが投げて寄越した物をレイカは受け取る。慌てたため箸でキャッチしてしまった。イスカは器用ねと拍手してくれたが、非常に行儀の悪いことである。黒の革紐の先に透明な結晶がかけられている。庶民的な一品だ。
「綺麗ね」
「ロイズはんが作ったんどすか?」
「マァナ」
手先が器用なのは知っていたが、こういった細工事もできるらしい。花を模っていて、故郷の桜によく似ている。しかし、何故レイカにくれたのだろうか?誕生日は12月31日なのでもう半年くらい前になる。ロイズは入学祝をくれるような人柄でもない。
「明日一日ソレヲツケテロ。誰ニ何ヲ言ワレテモ外スナ」
そう言うとロイズは足早に去っていった。
「あいつ、これ渡すためだけに女子寮に入ってきたのかしら」
意外と度胸あるのね、と言っているイスカの方が鋼の精神の持ち主であると思うレイカだった。明かりに翳してみるが、透明な石でできている以外にわかることはなさそうだ。ポケットに入れようとしたが、扇の鏡部分に傷が付いては大変である。ペンダントなので首に掛けておくことにした。長さは丁度いい。
「どう?」
「特に変な感じはせぇへんなぁ」
お互い最後の皿へ手を伸ばす。血のように赤い苺のショートケーキだ。雪のように白いクリームを口に運ぶ。にへらっと笑い合うとそれはすぐに二人の胃袋に入っていった。
「さて、あとは部屋に帰ってからにしましょ」
肩を組んできたイスカに部屋の場所を尋ねる。109号室だと言われ、ああ、前と同じ部屋なんだと思う。
「それに聞かれたくないし」
イスカとレイカがいた机を片付け始めたロボットを見ながらイスカが耳元で囁く。ちょっと重い肩が凝らないか心配しながら、レイカは素直にイスカのエスコートに従った。
続く
「ロイズはんお久しぶりどす」
特殊クラスの年長者であり、研究生であり、魔法ロボットを私用している生徒だ。本体はまた研究室に引き篭もっているのだろう。本体は鋼人で、根っからの研究者気質である。
「あら、今日はロンいないの?」
「アイツナラ部屋デ寝テル」
「あら、珍しい。別の用事じゃないんだ」
「マァ、頼ミ事ナノニハ変ワラナイガ」
薬関係なのだろうか。彼は魔法薬の研究をしている。ロンはその試飲をしていると前に聞いたことがある。薬が効かない体質だとも言っていた。どうやって結果を出しているのか気になる。
「それで何の用?あたし達見ての通り食事中なんだけど?」
和気藹々とした食事を中断されてイスカは少し怒っているようだ。
「ほら」
ロイズが投げて寄越した物をレイカは受け取る。慌てたため箸でキャッチしてしまった。イスカは器用ねと拍手してくれたが、非常に行儀の悪いことである。黒の革紐の先に透明な結晶がかけられている。庶民的な一品だ。
「綺麗ね」
「ロイズはんが作ったんどすか?」
「マァナ」
手先が器用なのは知っていたが、こういった細工事もできるらしい。花を模っていて、故郷の桜によく似ている。しかし、何故レイカにくれたのだろうか?誕生日は12月31日なのでもう半年くらい前になる。ロイズは入学祝をくれるような人柄でもない。
「明日一日ソレヲツケテロ。誰ニ何ヲ言ワレテモ外スナ」
そう言うとロイズは足早に去っていった。
「あいつ、これ渡すためだけに女子寮に入ってきたのかしら」
意外と度胸あるのね、と言っているイスカの方が鋼の精神の持ち主であると思うレイカだった。明かりに翳してみるが、透明な石でできている以外にわかることはなさそうだ。ポケットに入れようとしたが、扇の鏡部分に傷が付いては大変である。ペンダントなので首に掛けておくことにした。長さは丁度いい。
「どう?」
「特に変な感じはせぇへんなぁ」
お互い最後の皿へ手を伸ばす。血のように赤い苺のショートケーキだ。雪のように白いクリームを口に運ぶ。にへらっと笑い合うとそれはすぐに二人の胃袋に入っていった。
「さて、あとは部屋に帰ってからにしましょ」
肩を組んできたイスカに部屋の場所を尋ねる。109号室だと言われ、ああ、前と同じ部屋なんだと思う。
「それに聞かれたくないし」
イスカとレイカがいた机を片付け始めたロボットを見ながらイスカが耳元で囁く。ちょっと重い肩が凝らないか心配しながら、レイカは素直にイスカのエスコートに従った。
続く
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