エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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10ー1、カメ、答え合わせをする

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 試験、それは物の性質や力などをためすこと。特に、人の知識・能力を調べるために、問題を出して答えさせること。学生の目標はそれらの試験を達成して次へ繋ぐことである。ここ、魔法学園でも試験は学生達の高い壁として行く手に立ち塞がる。しかも、一学期に三回もある。そして今、その第一弾を乗り越えようと足掻く全校生徒の中に、イスカ、レイカ、ロン、リトアの姿があった。滑らかに走るレイカのペンの先は止まることはない。動かざること山の如しなイスカのペンは紙にシミを作ってばかりだった。
 キーンコーンカーンコーン
「終わった!」
イスカの歓喜の声が教室に響く。やれやれと言った顔でテスト用紙を整理し終えたリルク先生は教室から出て行った。
「イスカはんほとんど寝てはったけれど大丈夫?」
「書けるところは書いたもん。ロンはどうだった?」
「・・・ばっちり」
彼の場合、ばっちりカンニングできたと言っている気がしてならない。ここ魔法学園のテストでは運も力の実力の内。見張りの先生にばれなければ、生徒同士が協力して答えを教えあったりしてもいいのである。
「あーあ、あたし達には関係ないか」
一学期の第一試験を受けるのはこれで3回目。
「答え覚えちゃった」
「・・・同じく」
「うん、せやね」
記憶が消えない時間の巻き戻しを喰らっている三人には簡単すぎるテストだった。テスト範囲が変わらないのに、同じ授業を何度も受けているからだ。
「選択問題が5割占めていると楽よね」
「そこ、毎回微妙に違うぇ」
「え?か、な、た、の、せ、か、い、で。じゃないの?」
「・・・あ、な、た、の、じ、か、い、で」
「うちもそれやった」
「うう、でも3割は当たってる感じだし何とかなる」
一桁しか取れなかった前回と前々回よりはましだという結論に達したようだ。レイカも不自由なく文字が読めるようになった。元来勉強好きであるのもあり彼女は学年高得点が期待できそうだ。
「で、何でロイズはいないの?」
誰もいない席に視線を移す。窓際一番端の席は初夏の日差しを浴びまくって暑そうだ。
「彼、いちお研究生やから」
足りない単元は魔法倫理のみ。一年生で受ける単位を彼が何故習得していないのかはわからないが、彼が在学している理由はとりあえずそれだけである。
「一時限目のテストには居はったやろ」
「むぅ、何か納得いかない」
「・・・・・・」
ロンが暑さで溶けている。万能性に評判があるロンも暑さには勝てないようだ。ひょっとしてあたしの方が強いんじゃないかしら、とイスカはその様子を見ていた。ミミなら周辺温度を下げることができる。イスカがやると教室丸焼けができあがる。食堂に行くけれど一緒に行くかと尋ねたが、返事はないただの屍のようだ状態だった。仕方がないのでその場に残して二人は食堂に向かった。いつものように大量のメニューを頼み、席に着く。
「しかし、時間が巻き戻るのって全く同じになるんじゃないのね」
「せやなぁ」
テスト問題の微妙な違い。リムル先生の不在とリルク先生の存在。リトア先輩の依頼進捗状況。
「あと、ロイズの態度も微妙に違うのよね」
最初の時は結構手伝ってくれた印象がある。彼が協力的でない時にはロンもそんなに活動的ではない感じもした。
「俺がどうかしたか?」
聞きなれた機械音混じりの声ではなく、完全肉声だったので反応が遅れた。この二人が座っているテーブルにしれっと寄ってきて席に着いた鋼人こそがロイズである。授業も自作のロボットで受けているくらいの出不精で、本人が学食にくることも珍しい。周囲のザワツキを完全に無視して彼は持ってきたカレーライスを口に運んだ。
「ん、故郷の時には世話になったわねって話してたのよ」
「せやなぁ」
「あー、何気にすんな」
普段の彼なら労働料金の請求が始まるのだが、それがない。そして、妙に機嫌がいい。これは絶対に何かあった。
「何かいいことでもあったの?」
「時機にわかる」
「じゃあ、待つわ」


                           続く
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