っておい

シロ

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三、調査は進行して・・・いない!?

3ー15、関わりがあるとわかった。

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 青年はすまなそうに笑った。
「ここは私等が借りている部屋なのだが」
「そ、そうでござった」
「では、不法侵入でいいかな?」
タイラに向けられた手には拳銃が握られていた。狙いは額の真ん中。
「えっと、シリュウ隊員。これはいったい?」
「家主に無断侵入。暗殺者と判断して射殺されても文句は言えないでしょう?」
顔は滅茶苦茶いい笑顔なのだが、彼の目だけは笑っていなかった。
「シリュウ隊員、危険でござる!それが何だかわかってるのでござるか?」
「使い方は熟知している。安心してくれ」
人差し指がゆっくり動く。音はなかった。ただ、何か小さい塊が高速でそばを通り過ぎ、後ろの壁に埋まった。
「ちょ、シリュウ隊員?!こんなところで撃つと危ないでござるよ」
どうしてこの人から撃たれたのか。何で昔の仲間に銃を向けられないといけないのか。タイラはどうしてこんな状況になってしまったのかわからず混乱した。
「大丈夫だ。サイレンサーも付いている。何も問題ないだろう?」
銃口がしっかりと自分の眉間に狙いを定められている時点でタイラにとって十分問題ありである。シリュウの表情はまだ穏やかだが、それ故に考えが読めなかった。このままでは本気で撃ちかねない。
「それに私はもう隊員ではない。すまないが呼び方を変えてくれないか?」
そう言われてもタイラにとってシリュウは父親と共に戦場に立っていた武人。つまり、身分が上の人である。どう呼べば失礼にならないだろうか?
そういえば、孟起も隊員と呼ばれるのを嫌がっていた。タイラが知っている彼らは父親の昔話の中の人物で、父上と共に激戦を戦ってきた人物だ。身分は自分より上と感じてしまう。二人がそう呼ばれるのを嫌うのは昔と身分も立場も違うからだろう。あの世界は崩壊したのだから、今は身分など関係ない。
しかし、そうなると何と呼べばいいのだろうか?タイラは困った。昔の名前が表記は違えどそのまま今の名前になっているので呼びづらいのだ。雲長や玄劉なら気にせず呼べるのだろうが、タイラの場合そうもいかない。いくら相手がいいと言っても割り切れないところがある。今の年ならタイラの方が上だが、生まれる前から生きているのもまた事実。脱出した際の時流壁の歪みによる矛盾の一つだ。
「え、で、では、子龍さん?」
とりあえず、さん付けで呼んでみる。さり気なく漢字表記で。
「おや、何処でばれたのか。まぁ、ばれてしまっては仕方がないか。いいよ、それで」
これでかまわないらしい。孟起はこれでも怒ったため、あまり呼ばないようにしている。
「いろいろ聞きたいのだが、とりあえず、それ、向けないでほしいでござる」
先程から向けられている物の威圧感でどうも落ち着くことのできないタイラだった。
「そうだな。面と向かって話すのは初めてなのにこの状況ではちょっと無粋か」
銃を懐に仕舞うと子龍は押入れから座布団を取り出してタイラに座るように進めた。
そして、先程調べた時は空だった棚からお茶の葉入れと急須と湯呑み二つを取り出し、これまたどこからか取り出したヤカンで火の魔法を使いお湯を沸かし始めた。家具がないのではなく必要最小限に節約し、その最小限も魔法で隠していたようだ。
「そうだ、タイラ、お腹はすいていなか?」
「え、何ででござる?」
「サードがシチューを作ったのだが、二人には多すぎてな。私もこれから食事にしようと思っていたところだ。よかったら食べていかないか」
これまたどこからか現れた鍋が子龍の手に何時の間にか持たれていた。
「サードって昨晩学校であったあのサードでござるか!?」
「そうだが」
これでサードが彼らと関わりがあるとわかった。

                                続く
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