っておい

シロ

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三、調査は進行して・・・いない!?

3ー30、闇に落ちる。

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 バイクをすっ飛ばし、孟起は三笠公園へと向かいつつ、引っかかった事を考えていた。
人の癖はそう簡単に抜けるものではない。サードが前回と同じように自らが望んで孟起と会おうとするならば、お互いが公平な立場であることの証明として『一対一で会いましょう。』とか、『私も単独で参ります。』とか言ってもいいはずだ。それに話があるとも言っていない。それに、警戒深い子龍たちが壊滅したとはいえ敵拠点である高校の近くで待ち合わせに使うとは思えなかった。彼らならこっちに負担をかけないように漢蜀から近過ぎず遠過ぎない場所を選ぶはずだ。しかも、人がいないとわかりきっているところを。
七海公園と違って夜の三笠公園は浮浪者や酔っ払いがよく眠っている。密会には相応しくない。声は確かにサードだった。なら、答えは・・・・・・。
「おーい、来てやったぞ」
公園の入り口にバイクを止め、公園内に入る。三笠公園は子供用の動物を模した遊具があり、小さな林の中に続く散歩コースがある少し広めの公園だった。おじいちゃんやおばあちゃんの散歩コース、子供達の遊び場、犬の散歩もマナーを守れば許されている。夜はたまに酔っ払いが寝ているし、浮浪者の棲家にもなっている。ともかくこの公園は毎日人が絶えない。その代わり余り手入れをされていない木々や下草がうっそうと茂っているため隠れ待つには丁度いい場所だ。入る前から中から人の気配が感じられた。
「・・・・・・一人じゃない。十人はいるな」
しかも、殺気を帯びている。全員?いや、例外が一人。
「・・・・・・本当に独り。ご迷惑をおかけします」
茂みの中からサードが姿を現した。初対の時と同様、男の制服を着て、長い黒髪を首の後ろあたりで縛っている。
「別にいいって。こっちも会いたかったしな。どうかしたのか?」
「・・・・・・」
「顔色が悪いのは体調・・・ではなく、精神面の方か。例えば・・・・・・」
サードが出てきた茂みに視線を向ける。
「後ろから脅している赤の他人のせいとか」
「・・・・・・」
「ほぉ、俺たちの存在に気がついてたか?」
「殺気を隠しきれてないし、茂みから銃口が丸見えだ。気付くなと言うほうが無茶だと思うが?」
男が拳銃を持っていない方の手を上げると茂みに隠れていた他の男達が姿を現した。どの男も黒服に身を包み、目にはサングラスをかけている。それぞれ手にした拳銃を孟起に向けた。
「サードには向けていないと言うことは人質か?」
仲間かとは思わなかった。黒い瞳が悲しみで満ちているのがわかったから。
「ああ、こいつと一緒にいた男なら牢屋の中でお寝んねしてるぜ。さて、おまえはそっちの組織が撤退する材料になってもらおうか」
男達が距離を縮める。とりあえず、お決まりのパターンとして手を上げた。
「武器は持ってないって」
「ほう、丸腰単身で会いにくるとはな。こいつはおまえらにとっても敵じゃなかったのか。ああ、単に馬鹿なだけか」
サードが顔を孟起から逸らした。表情は風に揺れる銀の髪に隠れて見えない。
「悪いが、殺人をするほど愚かじゃないんでな」
「そうかよっ」
後頭部を拳銃で強打され、孟起の意識が闇に落ちる。最後に彼が見たのは夜闇に消えてしまいそうな夜海の瞳だった。



敵の組織に捕まった孟起。サードや子龍は何を考えているのか?
 そして、玄劉は期限に間に合うのか?
                                 次回を待て

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