っておい

シロ

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四、また、共に・・・

4ー1、封じは基本

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 銃で後頭部を強打されてからかなりの時間経って目覚めたことを孟起が後悔することはなかった。最近睡眠不足だったのは事実だったし、睡眠は最初に受けた授業中のみといっても過言ではなかった。調査中もちょっとした待ち時間にて油断していると寝てしまいそうだったくらいだ。無理やり起こそうとした形跡もないので、思えば、この調査の燐片らしきことは一ヶ月くらい前からあったのではないか。
魔物が出るからという理由だったが、思えば同じ気を持つ魔物ばかり出会った。拠点潰しもだいたいその頃から頻繁になっていたように思う。
寝たら頭がすっきりした。どうせ、拉致られている時は目隠しをされていただろうから起きていても変わりなかったはずだ。なら、その分を睡眠に使った方が利口である。孟起はそう結論付けた。
おかげで十分な睡眠が取れた。その変わりに少し痛い。いや、頭痛はこの状況からではなく、どうやらよほど強く殴られたため瘤ができたらしい。
「ったく、手加減ぐらいしろって」
怒鳴っても仕方がないので呟く程度にした。頭は痛むが、それ以外に体調が悪くなったところはない。どうやら投薬はされてないようだ。
見回したところコンクリートの壁と鋼鉄のドアしかない殺風景の部屋で、窓すらない。あるとしたら自分を固定している鎖くらいだ。かなり太い鎖で、孟起の両腕を拘束している。かなり頑丈に作られているらしく力任せではびくともしなかった。解錠の術を知っているので焦って暴れる必要はない。
心身を落ち着けるため、深く息を吸い、タバコを吸っている感覚でゆっくりと吐き出す。場所の特定ができなかったのは悔しいが、それも魔法を使えばすぐに調べられるからどうってことない。
だが、孟起はすぐに自分の考えが甘かったことに気付いた。ご丁寧に魔法封じの呪が部屋中になされている。要は四方に置かれた白い小石。解呪は小石を動かせばいいだけの簡単なものだが、角にしっかりとはまっていて試しに足で投げた靴は当たりすらしなかった。
「ま、普通に考えてばれてるよな」
二日前に魔法で戦闘したばかりだし、拠点潰しの時も景気よく魔法を使っていた。学校に魔獣を召喚した魔族もまだ倒してない。これで魔法使いがいないと思っているなら、どうしょうもないお気楽ものか、哀れを通り越した真性の馬鹿だ。
ジャラリ
暗闇で鎖の音だけが響く。先程も足が動かせた。どうやら固定されているのは鎖に繋がれた手首だけのようだ。だからといて魔法を封じられていてはできることは限られる。
今のところ孟起は何もすることがない=暇だった。孟起が動かなければ吐く息以外の大気の動きがない部屋の中で音がするはずがない。自分が動いてないとすれば答えは一つだ。
音のした方に目を向けると暗闇に人の気配を感じた。すぐに気付けなかったのはそれだけ気配が希薄だったためだ。よく見えないが、自分以外の人間が確かにいる。


                              続く
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