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一、Boy(?) Meets Girl(?)
1ー14、見えてもおかしくはない。
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ヒョイと机に飛び乗ると邪魔にならない場所からパソコンの画面を覗き、タイラは三度目の驚愕に見舞われた。人より長い人生を過ごしてきたタイラだが、これだけ短時間で何度も驚きに見舞われた経験はなかった。
パソコンの画面がめまぐるしく変化していくのも、それを打ち出している細く綺麗な指の動きも速すぎてタイラの目に追えない。だから、絶えず変化する画面に映る文字が何と書かれているかわからない。いや、それどころか、見たことないアルファベットと数字の羅列で頭が痛くなりそうだ。それが次第に何かの形になっていく気がしてならなかった。
感心して眺めていると少年幽霊のタイピングがピタリと止まった。
「どうした、ヒィッ」
画面の文字が死の形を形成していた。思わず叫びそうになり、タイラは慌てて前足で口を押さえた。少年幽霊も少しの間だけ動きを止めたが、タイラが驚いている間にさらにパソコンの操作を続けた。死を形成する赤いアルファベットが別の並びに変わり、それが別の文字に変えられ、数字に変化し、また並びが変わる。その文字は多くの国を旅してきたタイラでもまだ見知らぬ文字も含まれていた。真剣に画面を見ていた少年幽霊は胸ポケットから取り出した手帳に文字を書き写し始める。
「わかるのなら、何と書いてあるか教えてもらえると助かるでござる。拙者、そこに書かれたことが知るためにここに来たのでござるよ」
すると、少年幽霊は不思議そうに首をかしげた。表情に変化がないから読みにくいが、なんとなく言いたいことがわかるから不思議だ。
「あ、拙者は便利屋漢蜀の正社員のタイラ。けして、怪しい妖怪猫ではないでござる」
自分の言葉で自分が傷付くのは妙な気分だが、今は何よりも情報がほしい。
しかし、少年幽霊はハッキリと首を横に振ってキッパリハッキリ拒否された。
「何故でござる」
『・・・・・・』
何かを言おうとして口を開いたが、すぐに閉じてしまった。変化しない無の表情に妙な引っ掛かりを感じたとき、首輪型携帯の着信音が鳴った。ピッと通話ボタンを押した途端。
『タイラ、パソコン室にいるなら注意しろ。魔物がそっちに向かってる』
孟起の声が飛び出すと同時に教室の壁が破壊され、怪物が壁を突き破ってきた。
咄嗟に少年のシャツの襟を銜え、タイラはその場から飛び退く。咄嗟の判断で二人は直撃を避けられたが、例のパソコンは大破してしまう。これでは情報を引き出すのは不可能だ。破壊したのが魔物なので孟起が持っている修復用の道具を使えばまだ何とかなる。
『・・・友香殿、申していた、ゴジラ?』
銀の子鈴のような声がタイラの魂に直接響いた。魔獣の場の気が濃くなったため、気同士の繋がりが強くなって魂のシンクロが高まった状態になったのだろう。そのため、言葉にしたいと、言いたいと思ったことが声に出さなくても通じるようになったのだ。言葉が通じない者同士が会話できる状態になったと思えばいい。魂の言葉に国境もないから。
「あれのどこをどう見たらそんな答えが出るのでござるか!?」
パニックに陥ってもおかしくない状態で少年幽霊は随分落ち着いてはいる。しかし、この状況で頓珍漢なことを考えているようだ。
ズングリとした楕円形の体に水掻きがついた太く短い足。頭の上には人型にも見える触覚が魔物の動きに合わせてユラユラ揺れ、その先端の房の部分からどす黒い瘴気が滲み出している。
あの不細工で寸胴の魔物をかの有名な怪獣王ゴジラと見間違えるとは。この少年幽霊、どうやら本物を見たことがないようである。もしくは冷静を装っていても内心はパニック状態・・・・・・には見えない。真顔での発言であった。あの見事なキーボード捌きを持つので知らない年代ではないはずだが。
『・・・父上、兄上、たくさん、食べる。鍋、美味しい?』
心の言葉なのに何故文になっていないのだろうか。心の言葉も普通の会話と同じで文になっている。独り言を単語だけで呟く人がいないのと同じだ。心の言葉=自分の考えなのだから。それに、少年幽霊は自分がタイラと話しをしていることに驚く素振りを見せていない。本当は言葉を話せるのではとタイラは思った。
物質体を持つタイラは物質体を持たない少年幽霊と違って瘴気による影響が少ないのだ。これくらいの瘴気で心の均衡が崩れる心配はない。
「いや、不味いと・・・・・・そもそも食べれるものではないでござる」
『鮟鱇?』
「いやいやいや、大きさも生息場所も全然違うでござる!」
訂正、この少年の思考はやはりどこかずれている。確かに異世界の魔物や魔族と戦った経験のあるタイラには常識でも、それらと一切無縁のない生活を送る一般人にとってこれが普通の感想なのかもしれない。
そう考えかけたタイラだったが、奥歯に物が詰った感じに疑問を抱いた。何だろうか。このどことなく漂う不自然な感覚は・・・・・・。タイラが真剣に悩んでいる間も少年は物珍しそうに巨大鮟鱇、タイラにもそうにしか見えなくなってしまったものを眺めている。
『・・・洗濯。汚れ、取れる?』
おそらく、魔物の身体を包む瘴気のことを言っているのだろう。魔物を倒す方法で最も確実なのは瘴気を打ち消すことである。身に纏っている瘴気は魔物の生命維持の源。人間で言えば宇宙服にあたる。浄化してしまえば後は勝手に消滅してくれる。普通の人間には見えないものだが、霊体である幽霊となった者なら見えるらしい。瘴気は霊体が腐ったような物だと説明する人もいるくらいだ。見えてもおかしくはない。
『・・・漂白剤、キレイキレイ』
「・・・・・・そんな方法で取れるなら誰も苦労はしないでござるよ」
もし、それが実行できるなら、陰陽士や退魔士は洗濯屋に転職しなければならなくなる。キャッチフレイズは『どんな染みでも真っ白に』・・・・・・全然様にならない。
「・・・・?」
少年幽霊は小首を傾げた。どうやら、わからないときはそうすることが習慣付いているらしい。
「セヴァーニブル産水陸兼用の魔物、エバ。動きは鈍いが鱗が硬くて攻撃が効きにくい厄介な奴でござる」
『・・・包丁?』
「だから、魚じゃないでござる」
『・・・・・・』
「銛でも無理でござるよ」
『・・・光、予兆?』
慌てて振り向くとエバの頭上の触覚が発雷しているのに気がついた。太腿に力を加え、タイラは放たれた雷撃の矢と少年の間に飛び出す。尻尾を振ると風が唸り、タイラの前に厚い空気の層を形成する。雷の矢と風のシールドがぶつかり合い、どちらとも四散した。
パチパチと拍手をされ、タイラは照れくさくなった。
「なんの、拙者はまだまだでござる」
実際タイラはまだまだだった。
続く
パソコンの画面がめまぐるしく変化していくのも、それを打ち出している細く綺麗な指の動きも速すぎてタイラの目に追えない。だから、絶えず変化する画面に映る文字が何と書かれているかわからない。いや、それどころか、見たことないアルファベットと数字の羅列で頭が痛くなりそうだ。それが次第に何かの形になっていく気がしてならなかった。
感心して眺めていると少年幽霊のタイピングがピタリと止まった。
「どうした、ヒィッ」
画面の文字が死の形を形成していた。思わず叫びそうになり、タイラは慌てて前足で口を押さえた。少年幽霊も少しの間だけ動きを止めたが、タイラが驚いている間にさらにパソコンの操作を続けた。死を形成する赤いアルファベットが別の並びに変わり、それが別の文字に変えられ、数字に変化し、また並びが変わる。その文字は多くの国を旅してきたタイラでもまだ見知らぬ文字も含まれていた。真剣に画面を見ていた少年幽霊は胸ポケットから取り出した手帳に文字を書き写し始める。
「わかるのなら、何と書いてあるか教えてもらえると助かるでござる。拙者、そこに書かれたことが知るためにここに来たのでござるよ」
すると、少年幽霊は不思議そうに首をかしげた。表情に変化がないから読みにくいが、なんとなく言いたいことがわかるから不思議だ。
「あ、拙者は便利屋漢蜀の正社員のタイラ。けして、怪しい妖怪猫ではないでござる」
自分の言葉で自分が傷付くのは妙な気分だが、今は何よりも情報がほしい。
しかし、少年幽霊はハッキリと首を横に振ってキッパリハッキリ拒否された。
「何故でござる」
『・・・・・・』
何かを言おうとして口を開いたが、すぐに閉じてしまった。変化しない無の表情に妙な引っ掛かりを感じたとき、首輪型携帯の着信音が鳴った。ピッと通話ボタンを押した途端。
『タイラ、パソコン室にいるなら注意しろ。魔物がそっちに向かってる』
孟起の声が飛び出すと同時に教室の壁が破壊され、怪物が壁を突き破ってきた。
咄嗟に少年のシャツの襟を銜え、タイラはその場から飛び退く。咄嗟の判断で二人は直撃を避けられたが、例のパソコンは大破してしまう。これでは情報を引き出すのは不可能だ。破壊したのが魔物なので孟起が持っている修復用の道具を使えばまだ何とかなる。
『・・・友香殿、申していた、ゴジラ?』
銀の子鈴のような声がタイラの魂に直接響いた。魔獣の場の気が濃くなったため、気同士の繋がりが強くなって魂のシンクロが高まった状態になったのだろう。そのため、言葉にしたいと、言いたいと思ったことが声に出さなくても通じるようになったのだ。言葉が通じない者同士が会話できる状態になったと思えばいい。魂の言葉に国境もないから。
「あれのどこをどう見たらそんな答えが出るのでござるか!?」
パニックに陥ってもおかしくない状態で少年幽霊は随分落ち着いてはいる。しかし、この状況で頓珍漢なことを考えているようだ。
ズングリとした楕円形の体に水掻きがついた太く短い足。頭の上には人型にも見える触覚が魔物の動きに合わせてユラユラ揺れ、その先端の房の部分からどす黒い瘴気が滲み出している。
あの不細工で寸胴の魔物をかの有名な怪獣王ゴジラと見間違えるとは。この少年幽霊、どうやら本物を見たことがないようである。もしくは冷静を装っていても内心はパニック状態・・・・・・には見えない。真顔での発言であった。あの見事なキーボード捌きを持つので知らない年代ではないはずだが。
『・・・父上、兄上、たくさん、食べる。鍋、美味しい?』
心の言葉なのに何故文になっていないのだろうか。心の言葉も普通の会話と同じで文になっている。独り言を単語だけで呟く人がいないのと同じだ。心の言葉=自分の考えなのだから。それに、少年幽霊は自分がタイラと話しをしていることに驚く素振りを見せていない。本当は言葉を話せるのではとタイラは思った。
物質体を持つタイラは物質体を持たない少年幽霊と違って瘴気による影響が少ないのだ。これくらいの瘴気で心の均衡が崩れる心配はない。
「いや、不味いと・・・・・・そもそも食べれるものではないでござる」
『鮟鱇?』
「いやいやいや、大きさも生息場所も全然違うでござる!」
訂正、この少年の思考はやはりどこかずれている。確かに異世界の魔物や魔族と戦った経験のあるタイラには常識でも、それらと一切無縁のない生活を送る一般人にとってこれが普通の感想なのかもしれない。
そう考えかけたタイラだったが、奥歯に物が詰った感じに疑問を抱いた。何だろうか。このどことなく漂う不自然な感覚は・・・・・・。タイラが真剣に悩んでいる間も少年は物珍しそうに巨大鮟鱇、タイラにもそうにしか見えなくなってしまったものを眺めている。
『・・・洗濯。汚れ、取れる?』
おそらく、魔物の身体を包む瘴気のことを言っているのだろう。魔物を倒す方法で最も確実なのは瘴気を打ち消すことである。身に纏っている瘴気は魔物の生命維持の源。人間で言えば宇宙服にあたる。浄化してしまえば後は勝手に消滅してくれる。普通の人間には見えないものだが、霊体である幽霊となった者なら見えるらしい。瘴気は霊体が腐ったような物だと説明する人もいるくらいだ。見えてもおかしくはない。
『・・・漂白剤、キレイキレイ』
「・・・・・・そんな方法で取れるなら誰も苦労はしないでござるよ」
もし、それが実行できるなら、陰陽士や退魔士は洗濯屋に転職しなければならなくなる。キャッチフレイズは『どんな染みでも真っ白に』・・・・・・全然様にならない。
「・・・・?」
少年幽霊は小首を傾げた。どうやら、わからないときはそうすることが習慣付いているらしい。
「セヴァーニブル産水陸兼用の魔物、エバ。動きは鈍いが鱗が硬くて攻撃が効きにくい厄介な奴でござる」
『・・・包丁?』
「だから、魚じゃないでござる」
『・・・・・・』
「銛でも無理でござるよ」
『・・・光、予兆?』
慌てて振り向くとエバの頭上の触覚が発雷しているのに気がついた。太腿に力を加え、タイラは放たれた雷撃の矢と少年の間に飛び出す。尻尾を振ると風が唸り、タイラの前に厚い空気の層を形成する。雷の矢と風のシールドがぶつかり合い、どちらとも四散した。
パチパチと拍手をされ、タイラは照れくさくなった。
「なんの、拙者はまだまだでござる」
実際タイラはまだまだだった。
続く
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