っておい

シロ

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一、Boy(?) Meets Girl(?)

1ー17、どうやら知り合いのようだ。

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 急いで少年幽霊の襟を銜えるとタイラはパソコン教室を走り出た。このときばかりは少年が幽霊でよかったと思う。体重はゼロだし、体格差で引きずっても物質をすり抜けられるので怪我をすることはない。右足が思うように動かない。自分の体重を支えながら走るのも辛かったが、見捨てていきたくなかった。彼が霊体だったのはタイラにとって何よりの助けとなった。廊下を風の如く走り抜けると近くの教室に滑り込み・・・・・・危うく叫びそうになった。
いきなり骨格標本と人体標本が半々の人間が飛び込んできたら誰でも腰を抜かすだろう。襟首を銜えていなかったらとっくに叫び声をあげていたかもしれない。
『・・・武藤殿、こんばんは』
骸骨の部分と臓器の部分が半々な標本と少年幽霊はどうやら知り合いのようだ。
『・・・・・・おまえ、何やってんだ?』
化け猫に襟首を銜えられて引きずられる友達を見た場合、心が現実と認識するまでのタイムラグは相当なものになる。彼はそれをものの十秒足らずで解凍したのだから凄いものだ。
『・・・鬼ごっこ』
『どう見ても違うだろ。その化け猫は何だ。そいつも奴らの仲間か?』
少年幽霊は首を横に振って否定した。
『ふ~ん、どこまで本当なのか』
「拙者、便利屋漢蜀の正社員、タイラでござる」
『便利屋というより探偵だな。何が目的だ?』
「例のパソコンの中に入っているデータを調べに」
本人を目の前にして校舎内に現れる少年幽霊についても調べに来たとは言い辛かった。
『やっぱりあのパソコン何かあるんだな』
武藤の表情が険しくなった。もっとも、変化があったのは肉がある右半分だけだが。
「警察でもまだ知らないことをどうして知っているのでござるか?」
『何でって俺はそいつが原因で死んだんだぜ』
彼の話によると、人体模型に憑依している武藤はつい一週間前までここの生徒だった。
彼が女子達の話に出てきた武藤君本人だと言う。中学のとき不思議研究同好会に所属していたため、彼は人一倍七不思議に興味関心があった。そのため極当然のようにこの学校に伝わる七不思議を調べ始めた。七不思議は夜の学校が舞台。そのため彼はちょくちょく夜中に学校に忍び込んだ。ただ、彼は普通の人並みにしか霊感がなかったので、行く場所行く場所の幽霊を見ることはできなかった。
事故が起こる前日の夜はいつもの方法、昼のうちに開けておいた窓から侵入してパソコン教室に入った。起動させたパソコンから例の死の文字が浮き出たときはマジで興奮した、と語る武藤の瞳はそのときの興奮をまざまざと再現している。
その翌日、コンビニに買い出しに行った帰りに轢き逃げされた。
『確かに週刊誌は読んださ。俺が言うのもなんだがそれが原因で死んだとは思えないし、運転してた奴は明らかに俺を轢き殺そうとしていた。顔すら見えなかったのが悔しい。もし見れてたら呪いを使えたのになー』
残念なのは呪いを使えないことだけらしい。
「証拠はあったでござるか?」
『こいつ自縛霊じゃないからな。俺達と違って学校の敷地外にも出入りができるんだ。でも、俺に関する警察の資料丸ごと持ってきた時は正直ビビッたぞ』
『・・・・・・』
不確定なところもあったが、証拠がないため、事故死で処理されたそうだ。初めて二人が会った時に武藤が自分の事件を調べてほしいと頼んだそうだ。学校に自縛されている武藤は学校敷地内から外に出られない。二人と一匹の口から深いため息が漏れる。


                        続く
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