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一、Boy(?) Meets Girl(?)
1ー25、毛布を引き剥がした。
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『サード、無事か』
『キャー、いい男!』
ドアを開けた途端跳びついてきた香月先生を青年幽霊は持ち前の反射神経で避けた。反動で壁の向こうまで通過した香月先生を追おうとした二人だったが、次第に近くなる靴の音で止めた。
『御免御免。いい男だからついね。あら残念、もう行っちゃうわけ』
『この子が世話になりました。私たちはこれにてお暇いたします』
お辞儀をすると二人は窓から飛び出した。すぐに窓に駆け寄った香月先生だったが、二人の姿はすでに夜闇の彼方に消えて見えなかった。
『不思議な二人ね。兄弟かしら』
窓から出て行くほど急がなくてもいいのにとウットリと物思いに耽っていたときだった。
「タイラ、ここか」
『ちょっと、今いいとこなのに邪魔しないでよ』
修正、物思いでなく妄想のようである。勢いよく振り返った香月先生は孟起を見て、
『またしてもいい男』
とまたしても目をハートにする。孟起は特に気にすることなくベッドの上で寝ているタイラを見つけると拳骨で殴った。
「いきなり何するでござるか」
「気持ちよく寝てるんじゃねー。あいつら行っちまったじゃねーか」
「へ、行ってしまったんでござるか・・・・・・」
ガクリと項垂れるタイラの背には居た堪れないほどの哀傷が刻まれている。
「なんだ、失恋でもしたのか。そんなもので一々落ち込んでたら次のチャンスを掴み損ねるぞ」
「振られてなどいないでござる。ただ・・・・・・」
「ただ、何だよ」
「初恋の人が男の子ってどうよ、って落ち込んでいるのでござる」
布団の中でウジウジしているタイラが鬱陶しくなり毛布を引き剥がした。
「男の癖に何時までもいじけてるんじゃねー。それで百過ぎてるって言われても誰も信じねーぞ。第一、おまえ、趣味悪」
「何を言うでござる。あんな可愛い子、偶然でしか出会えない天然記念物級でござるよ」
「あれが獣人の好みなのか。俺は絶対に御免だ。あんなのが大量発生した光景なんか誰が見るか」
「何を言うでござる。華奢な身体に雪のような肌は美人の条件でござる」
「確かに白いし細かったが、骨だからだろ。半分は赤かったじゃないか。血管とか内臓とか出てるし」
三分ほどの沈黙の時が流れる。
「骨って、誰のことを言ってるでござる」
「おまえの好きな奴、武藤じゃねーのか。妖怪と幽霊ってのもありかなーと思ったんだが」
皮肉を込めた笑みを向けるとタイラはサーッと一気に青ざめた。
「全然違うでござる」
フーッと毛を逆立てるタイラの目は気味の悪い事を言うなと怒っている。
ここで問題、武藤君にたいして無礼なのは誰でしょう?
答え、どちらも無礼です。
続く
『キャー、いい男!』
ドアを開けた途端跳びついてきた香月先生を青年幽霊は持ち前の反射神経で避けた。反動で壁の向こうまで通過した香月先生を追おうとした二人だったが、次第に近くなる靴の音で止めた。
『御免御免。いい男だからついね。あら残念、もう行っちゃうわけ』
『この子が世話になりました。私たちはこれにてお暇いたします』
お辞儀をすると二人は窓から飛び出した。すぐに窓に駆け寄った香月先生だったが、二人の姿はすでに夜闇の彼方に消えて見えなかった。
『不思議な二人ね。兄弟かしら』
窓から出て行くほど急がなくてもいいのにとウットリと物思いに耽っていたときだった。
「タイラ、ここか」
『ちょっと、今いいとこなのに邪魔しないでよ』
修正、物思いでなく妄想のようである。勢いよく振り返った香月先生は孟起を見て、
『またしてもいい男』
とまたしても目をハートにする。孟起は特に気にすることなくベッドの上で寝ているタイラを見つけると拳骨で殴った。
「いきなり何するでござるか」
「気持ちよく寝てるんじゃねー。あいつら行っちまったじゃねーか」
「へ、行ってしまったんでござるか・・・・・・」
ガクリと項垂れるタイラの背には居た堪れないほどの哀傷が刻まれている。
「なんだ、失恋でもしたのか。そんなもので一々落ち込んでたら次のチャンスを掴み損ねるぞ」
「振られてなどいないでござる。ただ・・・・・・」
「ただ、何だよ」
「初恋の人が男の子ってどうよ、って落ち込んでいるのでござる」
布団の中でウジウジしているタイラが鬱陶しくなり毛布を引き剥がした。
「男の癖に何時までもいじけてるんじゃねー。それで百過ぎてるって言われても誰も信じねーぞ。第一、おまえ、趣味悪」
「何を言うでござる。あんな可愛い子、偶然でしか出会えない天然記念物級でござるよ」
「あれが獣人の好みなのか。俺は絶対に御免だ。あんなのが大量発生した光景なんか誰が見るか」
「何を言うでござる。華奢な身体に雪のような肌は美人の条件でござる」
「確かに白いし細かったが、骨だからだろ。半分は赤かったじゃないか。血管とか内臓とか出てるし」
三分ほどの沈黙の時が流れる。
「骨って、誰のことを言ってるでござる」
「おまえの好きな奴、武藤じゃねーのか。妖怪と幽霊ってのもありかなーと思ったんだが」
皮肉を込めた笑みを向けるとタイラはサーッと一気に青ざめた。
「全然違うでござる」
フーッと毛を逆立てるタイラの目は気味の悪い事を言うなと怒っている。
ここで問題、武藤君にたいして無礼なのは誰でしょう?
答え、どちらも無礼です。
続く
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