っておい

シロ

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一、Boy(?) Meets Girl(?)

1ー26、バチバチと火花が散る。

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「なんだ、サードの方かよ。ま、頑張れ」
「やる気のない応援貰っても嬉しくないでござる。それに、拙者たち黒虎族は考えが古く、今でさえも同姓同士の恋愛は御法度でござる」
獣人族の間では同姓間の結婚はすでに一般化している。他の世界、タイラとその父親が最初に移住していたエターナニルでの話しだが。
「そんなの気にしてるからおまえは何時までも彼女すらできないんだ。それに、もう一人の青年幽霊なら体系的に当てはまるが、サードなら関係ないだろ」
「へ、サードは男の子でござるよ。学ランを着ていたし」
タイラの言葉に孟起は頭を抱えた。
「タイラ、女装を知ってるか?」
「もちろんでござる。男性が女性の装いをすることでござろう。それとこれとどこに関係があるでござるか?」
「・・・・・・それがわかってるなら、その逆もあるとなんで考えないんだ」
ただいま タイラ 思考中 ・・・。
「だって、学ラン着ていたら普通男子だと思うでござる。サードはどっちにも見える中性的な容姿でござったし」
「だったらなおさら都合の良い方に考えろ。中間なら女にも見えたんだろう。意図的に男服を着る女性もいるんだ。おまえは当たって砕け散るくらいが丁度いいんだよ」
「いや、散るのはちょっと・・・・・・。それなら、孟起はどうなのでござるか?」
「俺は当たられるほうだな。女には不自由してないし、振る事はあっても自分から声をかけたことなんかねーよ」
そっちのほうが質が悪いでござるとタイラは呟く。
「じゃあ、そなたは彼女にちょっかいを出さないのでござるな」
「あと五年もしたら九十八パーセント出してるな」
あと二%はサードが太ったときのための保険だろうか?この場合、抜け目がないと言うべきなのか。
「まてよ、育つのを待ちながらってのも楽しいか。あいつなんだし、期待は十二分にできるな。計画再開するか」
失言したとタイラが思ってもすでに後の祭りだ。
「拙者が先に目をつけたでござる」
「選ぶのはサード、だろ」
思わぬ敵に焦るタイラと、余裕の孟起の間にバチバチと火花が散る。
『青春するのは大いに結構だけど、あたしに怪我の治療をさせないなんて連れないこといわないよね。いい男その二』
孟起の肩に絡みついてきた手には消毒液の滲みこんだ綿を摘んだピンセットと絆創膏が握られている。狙いは孟起の左腕にある掠り傷。追いかけられているときに破片でも当たったのか少し血が滲んでいた。
「これくらいで消毒なんかいるか」
邪魔だと言わんばかりにペイと払い除けると孟起は薬品棚を物色し始める。
「先生から何かないでござるか。その恋愛の・・・その・・・・・・」
『極意ってやつかしら。ふ、若いわねぇ』
顔を近づけられてタイラは顔を紫にする。恥ずかしさで赤くなったのと怖くて青くなったのが混ざり合って結果気持ち悪い顔色になってしまった。
『とりあえず出会いを重ねなさい。無理なら次の出会い頭に告くりなさい。そして失恋の痛手を知って来くるのね』
「成功の秘訣を教えてほしかったでござる」
「女垂らしにでもなる気か?止めとけ、おまえには無理だ。キャラじゃねー」
「そんなことないでござる。何とかすればいいのであろう。あの娘の愛を手に入れられるなら、拙者、何でもするでござる!なんにでもなるでござる!!」
その志で精一杯愛情をアピールすればいいのではと二人は思ったが、黙っておくことにした。本人に自覚はなさそうだが、タイラのルックスもなかなかいい。スポーツ系好青年なのだ。人間の姿場合だけど。
「おまえの人生、いや猫生だから俺はおまえが何になろうともかまわないが、片っ端から女性を口説くようになったなんて知ったら雲長は悲しむだろうな」
「止めた。やっぱり、好きな人には自分のことを知ってもらいたいでござる」
気の変わりの早い奴であった。もしやファザコンの気があるのではと思われるだろうが、彼の父に対する気持ちは純粋な憧れである。現代人以上に父親を敬ったりするところは武士魂が染み付いた黒虎族らしい考えである。戦国時代や江戸時代ぐらいなら日本でもすんなりと受け入れられたかもしれないが、現在の日本では少し、いやかなり異色であった。
「愛の告白をすると決めたのはいいが、そいつ、どこの誰だか知ってるのか。どこに住んでるのかがわからなければ再会も難しいんじゃないのか」
そうだったと士気を落とすタイラ。そして、どうやったらわかるだろうかと腕(前足)を組んで考え始めた。


                          続く
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