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一、Boy(?) Meets Girl(?)
1ー28、行動が異なるだけである。
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「そういえばパソコンのデータはどうだった。何か収穫があったか」
学校から大分離れた商店街の一角。一時別行動をとっていた二人が再び顔を会わせたとき、最初に口を開いたのは孟起だった。
「ダメだったのでござる。サードが調べていたので中のデータを見れたことは見れたのでござるが、暗号だったため何が書かれているのかはチンプンカンプンでござったし、エバの襲撃でそれどころではなくなったのでござるよ。エバが壊したのだから、修石で修復可能でござろう。それならまだチャンスはあるでござる」
修石とは魔物や魔族などの戦闘で破壊された物を直す一種の修復魔法が封じ込められた灰色の宝石で上層部から配給される。数に限りがあるので玄劉からあまり使わないように言われているが、同封されていた手紙にはなくなったときは遠慮なく申しつけくださいと書かれていた。物質修復魔法は高度魔法で漢蜀のメンバーは誰一人使えないので常時最低一つは所持している。
「迎え来る前に試さなかったと思うか。残念ながら例のパソコンは修復できなかった。誰かが意図的に破壊したと考えるべきだな。で、そんなことする理由があるといえば」
「サードでござるか・・・」
「もしくは青年の方の幽霊だな。どっちにしろあいつらがこの件に絡んでいるのは間違いない。普通、兄がその情報を管理してるだろう。話せないのか話さないのか知らないが、あのサードが口を割るとは思えんしな。ただ、魔族がこれだけ大騒ぎで姿を現さなかったってのがどうも腑に落ちん」
つい俯いてしまうタイラだったが、全く別のことを考えていた。サードが香月先生に残したメッセージが脳裏で何度も繰り返される。思い返すとサードがタイラに見せた瞳はどれも奥底に悲しみが沈んでいたようだった。
「結局、今回の大した収穫はなかったな。ま、ゼロよりましか」
「大収穫ならあるでござる」
「理想の少女を見つけたことか。このロリコン猫」
「凛とした雰囲気と優しい気を持った可愛い娘でござった・・・・・・って、誰がロリコンでござるか。拙者と同じくらいで見た目的に釣り合いが取れていたであろう」
「齢百七十四の妖虎が何を言うか。実年齢は爺と赤ん坊の差以上の開きがあるくせに」
見目は只の黒猫だが、タイラはすでに人間の寿命を越えている。獣人だと成人前だから人型の見た目とつり合っている。
「サードが死ぬことで生じた幽霊なら長寿の妖怪とつりあいもとれるが、生憎彼女も生霊。俺たちがどうするべきか、すでに気付いているだろ」
孟起は次サード達に会ったときは収魂の術をかける気でいた。
そしてタイラも見つけ次第二度と幽体離脱しないようその危険性を伝えようとしていた。身体から霊魂が離れることは身体にも精神体にも心体にもダメージが大きすぎる。偶然見つけたのか、誰かから教えてもらったのかまではわからないが、このことを続けていては身体も精神も衰弱しきって倒れるのも時間の問題である。倒れるだけですむならいいが、死まで呼び寄せかねない。
このまま何もせずに見捨てられない。二人の考えていることもその理由も微妙に似ていた。それにより発するだろう行動が異なるだけである。
「それにあの二人が敵である可能性も捨てきれない。昔の味方が今の敵でないと言い切れないだろ」
「それはないでござる。彼らは忠義に厚く、勇猛な将だったと父上が言っていた。あの二人に限ってそれはないと思うでござる」
タイラはキッパリと否定した。孟起だってそう思いたかったが、核心がないことを素直に信じられるわけがなかった。寧ろ、裏切られた時のリスクが高く、危険過ぎる。
「実際に会った事ない奴にそこまで言えるんだ。俺にはわからん。それに敵の敵=味方って法則が常に成り立つわけじゃない。注意するに超したことはないっていうだろ」
「それもそうでござるが・・・・・・」
「どちらもまだどこの誰かもわからないしな。今回味方だったのは得体の知れないものの出現と向こうが俺たちのことを知らなかったからだろうな。それとも知っていて最初から忠告するだけだったのか。兎も角、あいつらが何らかの事件に関係していることだけは確かだ。同じ事件とは限らないが」
「・・・・・・彼女に何が起こったのでござろうか」
塀の上を歩きながら、タイラはポツリと呟いた。
タイラは孟起の言うサードそっくりの仲間に会ったことがない。同じ部隊に所属して共に戦っていた孟起と違い、タイラは雲長がエターナニル(獣人やエルフやドワーフなど、この世界で妖精や妖怪と云われる人が暮らす世界)に移住した後に生まれた子供だからだ。
年が合わないのは移住した時、ある事件の余波で世界を取り巻く時の流れが乱れたため、エターナニルに移住した人々とカーレントに移住した人々がそれぞれ異なる時間軸に飛ばされたからとされている。実際に比較してみると前者と後者では約五百年の時間差があることがわかってきた。
「なら調べればいい。俺もそうするつもりだ」
意外な発言にタイラは塀から落ちそうになり慌ててバランスをとった。
「なんか、孟起らしくないでござる」
鋭い眼光で睨まれ、タイラはそんなつもりは・・・と慌てて取り繕った。
「今回の調査依頼、不審な点、不明な点が多すぎる。魔族まで出てきたからには絶対面倒なことになるぞ」
「あの学園の生徒はごく普通の人間でござるよ。学校の気の乱れは視られても生徒個々には特に変わったところはなさそうでござる。拙者らは普通の調べ方でなく、魔法で調べていくので大抵調べていけば次第にわかるのはいつものこと。きっとまだ調べてないところがある、きっとそれだけのことでござるよ」
自動販売機で買った缶コーヒーを開ける。
「ならいいんだがな」
それだと魔族の事が説明つかない、と考えたが、声に出さず小さく舌打ちだけに留めた。
「だが、いるはずの依頼主の姿が見えないのは異例だろ」
「へ、依頼主なら自分たちも会ったでごさろう」
「校長じゃねーよ。おまえが連れてきた三人組の方だ。依頼の際に名乗らなかったしな」
「それは拙者らが聞かなかったからでござろう」
「普通説明の際に名乗るだろう。それに学校中隈なく探したんだ。間違いない。あの三人はこの学校の生徒じゃない」
「だとしたら、どこの誰だというのでござるか?」
「そんなこと、俺が知るかよ。それと、もう一つ、これは依頼とは関係ないんだが、最近玄劉社長が行った葬式数多くねーか。今月だけで四回だぞ。短期間でこの数はちょっと異常だと思わないか」
「その内の三つは昔の依頼者が亡くなったからでござろう」
「残り一軒はどうやらプライベートの知り合いらしい。なら、そこから当たってみるか。あの青年と玄劉がこっちでも話していたとこを見たことがあるしな」
飲み終えた缶を公園のゴミ箱に投げ捨てた。ゴミ箱のふちに当たるとそのまま中に落ちていった。
続く
学校から大分離れた商店街の一角。一時別行動をとっていた二人が再び顔を会わせたとき、最初に口を開いたのは孟起だった。
「ダメだったのでござる。サードが調べていたので中のデータを見れたことは見れたのでござるが、暗号だったため何が書かれているのかはチンプンカンプンでござったし、エバの襲撃でそれどころではなくなったのでござるよ。エバが壊したのだから、修石で修復可能でござろう。それならまだチャンスはあるでござる」
修石とは魔物や魔族などの戦闘で破壊された物を直す一種の修復魔法が封じ込められた灰色の宝石で上層部から配給される。数に限りがあるので玄劉からあまり使わないように言われているが、同封されていた手紙にはなくなったときは遠慮なく申しつけくださいと書かれていた。物質修復魔法は高度魔法で漢蜀のメンバーは誰一人使えないので常時最低一つは所持している。
「迎え来る前に試さなかったと思うか。残念ながら例のパソコンは修復できなかった。誰かが意図的に破壊したと考えるべきだな。で、そんなことする理由があるといえば」
「サードでござるか・・・」
「もしくは青年の方の幽霊だな。どっちにしろあいつらがこの件に絡んでいるのは間違いない。普通、兄がその情報を管理してるだろう。話せないのか話さないのか知らないが、あのサードが口を割るとは思えんしな。ただ、魔族がこれだけ大騒ぎで姿を現さなかったってのがどうも腑に落ちん」
つい俯いてしまうタイラだったが、全く別のことを考えていた。サードが香月先生に残したメッセージが脳裏で何度も繰り返される。思い返すとサードがタイラに見せた瞳はどれも奥底に悲しみが沈んでいたようだった。
「結局、今回の大した収穫はなかったな。ま、ゼロよりましか」
「大収穫ならあるでござる」
「理想の少女を見つけたことか。このロリコン猫」
「凛とした雰囲気と優しい気を持った可愛い娘でござった・・・・・・って、誰がロリコンでござるか。拙者と同じくらいで見た目的に釣り合いが取れていたであろう」
「齢百七十四の妖虎が何を言うか。実年齢は爺と赤ん坊の差以上の開きがあるくせに」
見目は只の黒猫だが、タイラはすでに人間の寿命を越えている。獣人だと成人前だから人型の見た目とつり合っている。
「サードが死ぬことで生じた幽霊なら長寿の妖怪とつりあいもとれるが、生憎彼女も生霊。俺たちがどうするべきか、すでに気付いているだろ」
孟起は次サード達に会ったときは収魂の術をかける気でいた。
そしてタイラも見つけ次第二度と幽体離脱しないようその危険性を伝えようとしていた。身体から霊魂が離れることは身体にも精神体にも心体にもダメージが大きすぎる。偶然見つけたのか、誰かから教えてもらったのかまではわからないが、このことを続けていては身体も精神も衰弱しきって倒れるのも時間の問題である。倒れるだけですむならいいが、死まで呼び寄せかねない。
このまま何もせずに見捨てられない。二人の考えていることもその理由も微妙に似ていた。それにより発するだろう行動が異なるだけである。
「それにあの二人が敵である可能性も捨てきれない。昔の味方が今の敵でないと言い切れないだろ」
「それはないでござる。彼らは忠義に厚く、勇猛な将だったと父上が言っていた。あの二人に限ってそれはないと思うでござる」
タイラはキッパリと否定した。孟起だってそう思いたかったが、核心がないことを素直に信じられるわけがなかった。寧ろ、裏切られた時のリスクが高く、危険過ぎる。
「実際に会った事ない奴にそこまで言えるんだ。俺にはわからん。それに敵の敵=味方って法則が常に成り立つわけじゃない。注意するに超したことはないっていうだろ」
「それもそうでござるが・・・・・・」
「どちらもまだどこの誰かもわからないしな。今回味方だったのは得体の知れないものの出現と向こうが俺たちのことを知らなかったからだろうな。それとも知っていて最初から忠告するだけだったのか。兎も角、あいつらが何らかの事件に関係していることだけは確かだ。同じ事件とは限らないが」
「・・・・・・彼女に何が起こったのでござろうか」
塀の上を歩きながら、タイラはポツリと呟いた。
タイラは孟起の言うサードそっくりの仲間に会ったことがない。同じ部隊に所属して共に戦っていた孟起と違い、タイラは雲長がエターナニル(獣人やエルフやドワーフなど、この世界で妖精や妖怪と云われる人が暮らす世界)に移住した後に生まれた子供だからだ。
年が合わないのは移住した時、ある事件の余波で世界を取り巻く時の流れが乱れたため、エターナニルに移住した人々とカーレントに移住した人々がそれぞれ異なる時間軸に飛ばされたからとされている。実際に比較してみると前者と後者では約五百年の時間差があることがわかってきた。
「なら調べればいい。俺もそうするつもりだ」
意外な発言にタイラは塀から落ちそうになり慌ててバランスをとった。
「なんか、孟起らしくないでござる」
鋭い眼光で睨まれ、タイラはそんなつもりは・・・と慌てて取り繕った。
「今回の調査依頼、不審な点、不明な点が多すぎる。魔族まで出てきたからには絶対面倒なことになるぞ」
「あの学園の生徒はごく普通の人間でござるよ。学校の気の乱れは視られても生徒個々には特に変わったところはなさそうでござる。拙者らは普通の調べ方でなく、魔法で調べていくので大抵調べていけば次第にわかるのはいつものこと。きっとまだ調べてないところがある、きっとそれだけのことでござるよ」
自動販売機で買った缶コーヒーを開ける。
「ならいいんだがな」
それだと魔族の事が説明つかない、と考えたが、声に出さず小さく舌打ちだけに留めた。
「だが、いるはずの依頼主の姿が見えないのは異例だろ」
「へ、依頼主なら自分たちも会ったでごさろう」
「校長じゃねーよ。おまえが連れてきた三人組の方だ。依頼の際に名乗らなかったしな」
「それは拙者らが聞かなかったからでござろう」
「普通説明の際に名乗るだろう。それに学校中隈なく探したんだ。間違いない。あの三人はこの学校の生徒じゃない」
「だとしたら、どこの誰だというのでござるか?」
「そんなこと、俺が知るかよ。それと、もう一つ、これは依頼とは関係ないんだが、最近玄劉社長が行った葬式数多くねーか。今月だけで四回だぞ。短期間でこの数はちょっと異常だと思わないか」
「その内の三つは昔の依頼者が亡くなったからでござろう」
「残り一軒はどうやらプライベートの知り合いらしい。なら、そこから当たってみるか。あの青年と玄劉がこっちでも話していたとこを見たことがあるしな」
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