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一、Boy(?) Meets Girl(?)
1ー29、ほいほい飲むなよ
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『おーい、召喚士の兄ちゃん。妖虎の兄ちゃん。ちょっと待ってくれ』
何だと振り向いた二人だったが、後ろから迫ってくる人(?)を見て全速力で駆け出した。
『おーい、止まっれよー』
「その声、武藤か・・・」
「へ、武藤君でござるか」
二人が止まるとそのまま武藤が迫ってくる。どうやらスピードがつき過ぎて止まれない様だ。その結果起こることと言えば、二人と一匹の正面衝突。そりゃもう腕がもげ、内臓飛び散る大惨事である。
「大丈夫ござるか」
「こりゃ派手にぶちまけたな」
散らばった臓器や筋肉は全て武藤のものであった。落ちているものには肺や骨、さらには心臓や脳みそまで。
『悪いけど組み立てるの手伝ってくんない』
それからが大変だった。なにせ、中卒でそれ以降勉強とは無縁だった男と義務教育など関係ない獣人である。人体構造など知るはずがない。
『ありがとう。いやー、助かった。一時はどうなるかと・・・・・・ってどうにも成ってない』
「やっぱ、違和感ありまくるよな」
「拙者もそう思ったでござる」
その違和感、どこがおかしいかをお答えしよう。
その一、肺が腹の下にある。
その二、小腸が心臓をグルグル巡っている。
その三、大腸の団子。
その四、肝臓が上下逆。
その五、気管の先が何故に胃になる。
その六、胸のところにあるのは・・・・・・もしかして腎臓か。
いや、それらよりも何故に肉の肩に骨の腕が、骨の肩に肉の腕がついているんだ。生物を学ばなくてもそれくらいわかるだろうに。
『まぁ、俺も人体の構造を詳しく知ってるわけじゃないし、学校に帰って香月先生に直してもらえばいっか』
武藤にとっては大した問題ではないらしい。さすが半骨格半人体模型。生身の人間ではそうはいかない。その前にバラバラにならなかったのだろう。
「で、俺たちに何の用だ」
『思い出したんだ。俺を殺した奴』
「本当でござるか」
『ああ、正確に言うなら、サードを助けてくれたお礼ですと言って青年幽霊がくれた薬を飲んだらな』
そんな怪しい薬をほいほい飲むなよ、と二人は呆れた。幽霊になったあとからか元からなのかは知らないが、随分警戒心が薄い。
その薬のおかげと武藤は言っているが、記憶還元の薬が今の科学で作れるとは思えない。しかし、気にする必要がないと二人は話を進めることにした。
「で、誰だかわかったのか」
「名前は何て言うのでござるか」
『名前がわかってたらおまえらに言わず、呪い殺してるさ』
気が軽すぎる。これくらいだったら行っても呪殺まではいかない。よくて病気になる程度だ。なにせ本人が現状に大いに満足してしまって憎悪がほとんど浄化されている。これでは呪詛の意味がない。
『顔はハッキリ見えなかったが見覚えはあったな。確かこの学校関係者だ。生徒を殺す奴が学校にいるんだぞ。ほっとけるか』
「ほっとけ、でないと成仏できなくなるぞ」
「そうでござる。この件にはかなりの術者関係していることは今回の調査でわかったのでござるよ。その人に呪いでもかけようなら、普通の呪詛返しで済んだらそれこそ万々歳でござる。下手すれば魂ごと消滅なんてことにもなりかねないでござる」
『わかった。俺もこの姿を手放すのは惜しい。これからも気楽な不思議生活を楽しむとするよ』
じゃあと武藤は学校へ帰っていった。幾つも悲鳴が上がったが、原因がわかっていることもあり、孟起とタイラは思いっきり無視した。
続く
何だと振り向いた二人だったが、後ろから迫ってくる人(?)を見て全速力で駆け出した。
『おーい、止まっれよー』
「その声、武藤か・・・」
「へ、武藤君でござるか」
二人が止まるとそのまま武藤が迫ってくる。どうやらスピードがつき過ぎて止まれない様だ。その結果起こることと言えば、二人と一匹の正面衝突。そりゃもう腕がもげ、内臓飛び散る大惨事である。
「大丈夫ござるか」
「こりゃ派手にぶちまけたな」
散らばった臓器や筋肉は全て武藤のものであった。落ちているものには肺や骨、さらには心臓や脳みそまで。
『悪いけど組み立てるの手伝ってくんない』
それからが大変だった。なにせ、中卒でそれ以降勉強とは無縁だった男と義務教育など関係ない獣人である。人体構造など知るはずがない。
『ありがとう。いやー、助かった。一時はどうなるかと・・・・・・ってどうにも成ってない』
「やっぱ、違和感ありまくるよな」
「拙者もそう思ったでござる」
その違和感、どこがおかしいかをお答えしよう。
その一、肺が腹の下にある。
その二、小腸が心臓をグルグル巡っている。
その三、大腸の団子。
その四、肝臓が上下逆。
その五、気管の先が何故に胃になる。
その六、胸のところにあるのは・・・・・・もしかして腎臓か。
いや、それらよりも何故に肉の肩に骨の腕が、骨の肩に肉の腕がついているんだ。生物を学ばなくてもそれくらいわかるだろうに。
『まぁ、俺も人体の構造を詳しく知ってるわけじゃないし、学校に帰って香月先生に直してもらえばいっか』
武藤にとっては大した問題ではないらしい。さすが半骨格半人体模型。生身の人間ではそうはいかない。その前にバラバラにならなかったのだろう。
「で、俺たちに何の用だ」
『思い出したんだ。俺を殺した奴』
「本当でござるか」
『ああ、正確に言うなら、サードを助けてくれたお礼ですと言って青年幽霊がくれた薬を飲んだらな』
そんな怪しい薬をほいほい飲むなよ、と二人は呆れた。幽霊になったあとからか元からなのかは知らないが、随分警戒心が薄い。
その薬のおかげと武藤は言っているが、記憶還元の薬が今の科学で作れるとは思えない。しかし、気にする必要がないと二人は話を進めることにした。
「で、誰だかわかったのか」
「名前は何て言うのでござるか」
『名前がわかってたらおまえらに言わず、呪い殺してるさ』
気が軽すぎる。これくらいだったら行っても呪殺まではいかない。よくて病気になる程度だ。なにせ本人が現状に大いに満足してしまって憎悪がほとんど浄化されている。これでは呪詛の意味がない。
『顔はハッキリ見えなかったが見覚えはあったな。確かこの学校関係者だ。生徒を殺す奴が学校にいるんだぞ。ほっとけるか』
「ほっとけ、でないと成仏できなくなるぞ」
「そうでござる。この件にはかなりの術者関係していることは今回の調査でわかったのでござるよ。その人に呪いでもかけようなら、普通の呪詛返しで済んだらそれこそ万々歳でござる。下手すれば魂ごと消滅なんてことにもなりかねないでござる」
『わかった。俺もこの姿を手放すのは惜しい。これからも気楽な不思議生活を楽しむとするよ』
じゃあと武藤は学校へ帰っていった。幾つも悲鳴が上がったが、原因がわかっていることもあり、孟起とタイラは思いっきり無視した。
続く
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