最期を告げる時計の針は

雪那

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ヒール様は俺たちが帰ってくるのを待ってたかのようだ。

「さて、隼、これからどうするかだ。」
青い長い髪を揺らしてヒール様がそう言う。
「あぁ、ヒール様って呼ぶのはうそだ。
 隼、お前はヒールでいい。ヒールと呼んでくれればいい。」
「わかりました。」
「姉御!俺は?祐也は?」
「お前はダメだ。」
「えー!ケチー!」
祐也がプンスカプンスカしている。俺はその様子に苦笑いしながら、話を進めた。
「で、探さなきゃいけないんですよね。その天音にそんな能力をかけたやつを。」
「うーん...少し宛はあるんだがな。そんな能力を使う奴の。」
「えっ、本当ですか。」
「ただ、会うのには、ちょっと時間がかかる。2、3日待ってくれ。あちらの都合も聞かなきゃいけない。」
「あちらの都合?」
「あぁ、この国の王様だからな。」

「...王様!?」

俺も祐也もとてもびっくりして、椅子から転げ落ちそうになった。まさか、そんなそんなトップの人と会うだなんて。

「王様と仲良いんですか。」
「仲がいいというより、私たち四神の支部は四つの王様がそれぞれにその支部を作っているからな。部下みたいなもんだ。
 ちなみに私とアズリエルは普通に仲がいい。」
「アズリエル?」
「この国の王様の名前だよ、アズリエル国王さ。」


くるっとヒールは後ろを向いて、
「じゃあ、私は自分の部屋へ戻って仕事をしてくる、皆各自で仕事に取り掛かってくれ。では。」
「お疲れ様です!」

昼だというのに、みんなそんな事を言った。

「あ、祐也。貴様、今日こそ仕事しろよ、じゃないとどうなるか知っているだろう?」
と言ってにっこり微笑んで階段を上がっていった。

「ひえー、相変わらず姉御は怖い怖い!」
「おい、祐也、仕事って何すんだよ。手伝うぜ。」
「仕事?」

ふと俺は思ったんだが、この祐也って野郎は残念イケメンだ。喋らなければ一級品のメガネイケメンだと思うのだが。

「仕事はな、この書類の整理と、書類の中身を読んで、それを解決しに行くみたいなもんだな。表世界の人間の願いを叶えるのと、裏世界の人間の悩みを救う弁護士みたいな。まぁ、いうなれば万事屋って感じだ。でも、もともと色々な書類のまとめは図書館みたいに、俺たちでやるからな。ほんとーにめんどっちぃ仕事だぜ!」
「めんどっちぃ仕事だなほんとに。」
「ついでに、教えちゃうなの!祐也がサボるからこのごろヒール様がピキピキしてるって言ってたのー!」

後ろを振り返ると、チェリンが屈託のない笑顔でそこに立っていた。表世界で黒色だった髪は桃色へと戻っている。相変わらず質素な白いワンピースを好んで着ているようだ。

「...ピキピキってなんだ?チェリン」
「おこ!」
「よし、仕事しようか!」
(キリッ)として祐也が立ちあがった!
...
「切り替え早すぎじゃない!?」




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