異世界空想映〜魔界編

白銀狂神

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王子と従兄弟の生活

王子1

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 ぼくはヴェル。
クロノス・ロゼ・ヴェルナード。
お父さまは王さまで、お母さまはお妃さま。
お父さまもお母さまも、とってもやさしくて、あたたかいひとです。

 でもね、お父さまが きのうから ずっといないの。
みんな さがしてるのに、みつからないの。
だから、

「お父さまは、かくれんぼのてんさいなんだね!」

っていったら、おしろにいるひとは、みんな こまったかおをしてた。 どうして?

いつもぼくと おはなししてくれるばあやは、かなしそう。
いつもぼくと あそんでくれるじいやは、おこってる。

「どうしたの?」

ってきいた。
お母さまは、ぼくにいつも そうしてくれるから。

「ヴェルナード坊ちゃんは知らない方が良いです」

っていう。
なかまはずれだ、ずるい。
でも、おとなでも あそびたいときもあるんだと
ぼくはきづいたから、みんながあそんでいるのを みてた。
ぼくもいっしょに あそびたいなあ。

 でね!

みているうちに、ねちゃったみたいで、
「夕食の時間ですよ」って ばあやがおこしてくれたの。

「ばあや、ありがとう!」

いつもは えがおがかえってくるのに、
きょうのばあやは ないちゃった。
なかないで、ばあや。なにも かなしいことなんて ないよ。

ばあやがこれから なかないですむように、
ぼく、がんばって キライなやさいもたべたの!
お母さまは「偉いね」ってほめてくれたし、ばあやもニコニコしてた。
おふろにはいったあとは、さっきもねてたのに ねむくなっちゃって、すぐにベッドにはいった。
お母さまが たんじょうびにプレゼントしてくれた くまのぬいぐるみといっしょに、おやすみなさいをした。



おはようのじかんになると、ばあやとじいやがいて、ぼくのふくをトランクにつめていた。
「おはよう」って言うと、ふたりともかなしそう。
「どうしたの?」ってきいた。そしたら
「王妃様が自…いえ、お亡くなりになられました」って。

おなくなりになられました? って、どういうこと?

「もう会えなくなった、ということです。」
「どうして? ぼくがわるい子だから?」
「いいえ、違います。違うんです、そうではないんです…」

ふたりともなきだしちゃった。
でも、そうか。お母さまにはもう、あえないのか。
あえない。 …あえない。

なんだかとても かなしくなった。





「ヴェルナード様。王妃様とお別れの挨拶は出来ませんが、このような状態になってしまった以上、急がねばなりません」
「お荷物は此方に纏めてあります。すぐに着替えて出ましょう」

ふたりがそういって ぼくをきがえさせた。
どうして そんなにいそぐの? わかんない。
ぼくは ぬいぐるみをだっこしたまま、うまれてはじめて『ばしゃ』にのった。くろくてかっこいい『ばしゃ』だ。

 にもつといっしょに じいやがのって、
ばあやものるんだと おもったのにとびらがとじて、どこにいくのかわかんないまま うごきはじめた。
ちいさなさなまどから、ばあやがなきながら てをふっている。
じいやがまどに カーテンをおろして、ばあやもみえなくなった。

いじわるをしているのかと おもったけど、じいやが ナイショのおはなしをするとき みたいに、かおをよせてきて、ちいさなこえでいった。

「これから王妃様のご実家である、ロゼ侯爵家へ参ります」
「えっ、お母さまの?」

 ぼくはいちども おしろのそとへ、いったことがない。
お母さまの うまれたところも、お母さまには お父さまやお母さまが いたのかも、ぼくはしらない。

 おしろのそとは、ぼくが しらないことばかりだった。
いっぱいのひとがいて、ぼくがのってるのと おなじような『ばしゃ』もみた。おしろにあるのと おなじくらい、おおきいふんすいもあった。

 カーテンの すきまからみえるけしきは、『ばしゃ』がすすむと どんどんかわっていく。
いっぱいいた人はいなくなって、たてものが いっぱいみえるようになる。でも、どんどんたてものも すくなくなっていった。

 どのくらいすすんだのかな?
とおくのほうに ぽつんとおうちがみえてきた。
じいやが「あちらが王妃様のご実家です。」といった。
そしてやっと カーテンをあけてくれた。

「ヴェルナード様、これからはあの家で暮らすのです」
「どうして? おしろにいちゃだめなの?」
「ヴェルナード様にとって、城は危険な場所になってしまいましたから…」
「じいやは?」
「私がヴェルナード様のお側にいることは叶いません。出来ることならそうしたいと思っていますが、私にも養わねばならぬ家族が居ります。…不甲斐ない私をお許しください」

 そっか、じいやにもかぞくがいるのか。
それじゃあ ぼくといっしょにはいられないよね。さびしいな。

『ばしゃ』はそのおうちで ぼくとにもつをおろすと、おしろへとかえっていった。

えがおの女の人は、お母さまのお姉さまらしい。
ぼくはできればこの人とはいっしょにいたくない。
ぼくより せのたかい男の子は、にっこりわらってる。
お母さまがむかし、おなじようなかおをしていたのを みたことがある。


 このおうちにいるのは すこしこわいけど、
ばあやとじいやに しんぱいさせないように、ぼくはがんばるよ。

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