これ番外編なんです!私小説「僕のこの恋は何色?」本編に書けなかった削除部分特集

歴野理久♂

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理久の宝塚回想

平みち・神奈美帆・大浦みすき・涼風真世・杜けあき・一路真輝

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★この項には実在の宝塚スターの芸名が明記されますので「番外」としました。

 この項は僕の宝塚歌劇についての回想を綴りました。
 宝塚歌劇に興味の無い方には全くちんぷんかんぷんな内容となっております。
 また、ストーリーとは無関係な項なので飛ばして頂いても影響はありません。
 よろしくご判断下さい。


※──────────※


  雪組は麻実れいが退団し、平みちがトップに上がった。
 宝塚の人事では時々「組替え」と言う移動があり、平みちは花組から雪組に移動したばかりでのトップ就任だった。
 平みちは歌もダンスも素晴らしく、長身でがたいも良く、申し分のないスターだったけれど、いかんせん麻実れいの後と言うのが誰の目から見ても気の毒だった。
 当時、花組育ちの平みちに対し「あのまま花組でトップに上がれば良かったのに」と愚痴を溢しているファンも多かった。

 ところがである。
「宝塚においては時として、トップに立った途端に大きく化ける人がいる」と言った劇評論家がいたが、まさしくそれが平みちだった。
 お披露目公演の堂々たる姿は、これがあの平みちか?と目を疑う程の華やかさだった。
 そして平みちがトップに立った途端、俄然二番手の杜けあき、そして三番手の一路真輝までもが、その存在を押しも押されぬものとした。

 これは僕の個人的見解だが、あまりにも大きな存在が上にあるとき、そのオーラに押されて下の輝きは見えにくいが、天井が取れて大空に解き放たれたとき、本来の才能が一気に輝き出すのではないか、と。

 そして特筆するべきは、平みちの相手役として大抜擢されたトップ娘役、神奈美帆である。
 これは当時、黒木瞳に準ずる大抜擢と言われ(学年が若かったと言うこと)劇団内のスタッフにも「誰?」と言わせた人事だったと、これは公然に雑誌にも書かれた。
 しかも花組の新人で無名だったのを、急遽雪組に組替えさせてのトップ就任だった。
 そしてそれが大化けだった。
 一気に華のある大型娘役との評判を取った。
 トップ就任二作目にして初めて神奈美帆を演出した名作家、柴田侑宏は「彼女がこんなに出来る人だと知っていれば脚本は変わっていた」とまで雑誌で語った。

 平みちと神奈美帆のコンビは作品に恵まれ「大江山花伝」「三つのワルツ」「梨花王城に舞う」と名作が続き、「たまゆらの記」で同時退団となった。
 僕は次期トップの杜けあきと神奈美帆の新コンビを楽しみにしていたので、神奈美帆の退団は大ショックだった。


 花組は高汐巴の退団により、大好きだった大浦みずきがトップに就任した。峰さを理が辞めた後でも、僕を宝塚に留めおいたスターの一人だ。
 ダンスが上手いのは当たり前──彼女はさらに素敵なダンスを踊る人だった。宝塚のブレッド・アステアと呼ばれていた。
 東京育ちのクールさも魅力だった。

 いかにミネちゃんが居なくなっても、なーちゃん(大浦みずき)のトップは見ておかなければならない──とこだわっていた気持ちが昇華された。
 91年、大浦みずき退団により、僕の中で花組も終わった。


 月組は剣幸とこだま愛が同時退団し、ついに涼風真世がトップに立った。この人も僕にとっては思い入れの強いスターだ。
 何と言っても格段に歌が凄い。持って生まれた美声も別格。ルックスも可愛かった~!
 しかし涼風真世の退団は思ったよりも早かった。このあと月組ではご存知の大スター=天海祐希が台頭するが、僕には関係ない。
 結局──93年、涼風真世の退団を機に、僕にとっての月組も終了。


 最後に残ったのは雪組だった。
 杜けあきは歌も芝居も安定の上手さで、歴代のトップの中でも、もっともっと評価されて然るべき人だと僕は思う。
 杜けあきががたっぷりと名演を見せてくれた後を継ぎ、一路真輝がトップに立った。僕にとって最後のスターだった。
 一路真輝は何てったって新人時代から目を付けていた。
 ああ、あのイチロがついにスターか!との親心しかない。可愛いイチロが一番でかい羽根を背負ってる!
 その一路真輝も96年に退団。
 これで僕にとっての雪組も終わった。


 これでもう、宝塚に僕を引き留めるスターはいなくなった。

 思えば82年から96年までの、実に14年間──宝塚は僕を魅了し続けた。

 もちろんそれ以降、パッタリ観なくなった訳でもないし、嫌いになった訳でもない。
 ただ、僕が夢中になってスターを追い掛けた期間が、この14年間だったと言うこと。

 東京在住のタッチも、今ではオールド・ファンの風格で一公演一回でも観ればそれで良しと言っている。
 どんなに夢中になった事柄も、いずれは落ち着き、古き善き想い出となる。

 宝塚フォー・エバー♪

 もう僕の人生で、あれほど熱くなる事はないだろう。


 最後にもう一度だけ──。
 峰さを理の冥福を心から祈る。


 以上は僕を夢中にさせた宝塚歌劇の備忘録だ──。


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