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第16章 迷走の果てのため息
No,182 不真面目な電車の話①
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【これは30代前半のお話】
週末の「フラッシュ」──。
例によっていつもの飲み仲間達と盛り上がっていた。
ナッキーやアッ君。カウンターのケンちゃん。
そしてその夜のメインとなった「電車」の話は、元はと言えばヒデちゃんからのこんな所から始まった。
ヒデちゃんは仲間内では一番若くて、天然キャラの面白い子だ。
「つまりヒデちゃんは高校時代、朝の通学時の東○線でいつも同じ痴漢に触られていたって話なんだけど、最終的にはその痴漢と付き合っちゃった、てな話なんだね?」
まどろっこしいヒデちゃんの話をナッキーが簡単にまとめた。
「ええっと、そんな風にまとめられると、何だか僕が尻の軽い好き者みたいな話になってない?」
と、ヒデちゃん。
俺はきょとんと答えた。
「え?違うの?普通、痴漢とは付き合わないよね?」
ヒデちゃんは必死。
「あ、だからその彼はね、身なりはシュッとしたリーマン・スーツのお兄ちゃんだったんだ。はっきり言って、もろ僕のタイプ?」
ナッキーがプッと吹き出しながら核心を突く。
「って言ったって、痴漢って言うだけでアウトでしょうが。
そもそもどんなにシュッとしてても、電車の中で高校生のお○ん○ん触ってくる奴なんてろくでもないよ?やばくない?」
「それがさ~、触りながら顔を真っ赤にして下向いてんの。真面目で初心な証拠だよ?」
ヒデちゃんの「初心発言」に、みんな同時に大笑い!
俺もついつい言っちゃった。
「ヒデちゃ~ん、初心な人は痴漢なんてしないから~!アバタもエクボの極みだよ~」
アッ君が分析する。アッ君は見た目秀才→中身ドスケベの理系大学院生だ。
「痴漢はね、電車内と言う公衆の場においていたいけな高校生に悪戯している、って背徳感に興奮して顔を高潮させているんだ。
真面目でも純情でもなく自分に酔い痴れているだけなんだよ。変態であっても初心ではない」
俺、さらにいじめる。
「それ、痴漢の彼がタイプだったってより、ヒデちゃん自身が電車内で痴漢されるシチュレーションに興奮してなかった?特殊なAVの見過ぎだよ~」
ヒデちゃん真っ赤。
「理久ひどいよ。僕、高校生の頃はまだ普通のAVしか観てないよ~?痴漢ものとか強姦ものとか、際どい企画ものを観るようになったのは最近なんだから……」
みんな同時に
「え!高校生の時からAV観てたの?」
(当時はまだパソコンも一般的ではなく、高校生にAVはとても敷居が高かった)
グラス拭きながらケンちゃん参入。
「でもさ、何が切っ掛けだったとしても、そこから恋の花が咲いたなら結果オーライかも知れない。どう?その痴漢とは長く続いたの?」
ヒデちゃん少し言いよどむ。
「それがね……2~3回会ったくらいで振られちゃった……」
みんな同時に
「えっ?痴漢が被害者を振るの~?!」
「だ、だって、電車降りて彼のあと追っ掛けて、告白して申し込んだの僕だったんだ」
みんな同時に
「え……」
俺、思わず
「あらら~、てっきりカワイ子ヒデちゃんに目を付けた痴漢が強引に押して来て、お人好しのヒデちゃんがイヤと言えずに無理矢理に、って話かと思ったら……」
ひと呼吸置いて、またぞろナッキーが話をまとめた。
「まあ確かに、世のなか色んな事が起こり得るよね。被害者が痴漢に恋する事もあるかも知れない」
ケンちゃんもひと言。
「それにしてもヒデちゃんの勇気は凄いよ。普通、大人に痴漢されたら高校生なんて怖がるのが当たり前なのに、逆にナンパしちゃうんだから大したもんだ」
みんな同時に
「うんうん!確かに……」
で、この不真面目な会話は
──まだつづく
週末の「フラッシュ」──。
例によっていつもの飲み仲間達と盛り上がっていた。
ナッキーやアッ君。カウンターのケンちゃん。
そしてその夜のメインとなった「電車」の話は、元はと言えばヒデちゃんからのこんな所から始まった。
ヒデちゃんは仲間内では一番若くて、天然キャラの面白い子だ。
「つまりヒデちゃんは高校時代、朝の通学時の東○線でいつも同じ痴漢に触られていたって話なんだけど、最終的にはその痴漢と付き合っちゃった、てな話なんだね?」
まどろっこしいヒデちゃんの話をナッキーが簡単にまとめた。
「ええっと、そんな風にまとめられると、何だか僕が尻の軽い好き者みたいな話になってない?」
と、ヒデちゃん。
俺はきょとんと答えた。
「え?違うの?普通、痴漢とは付き合わないよね?」
ヒデちゃんは必死。
「あ、だからその彼はね、身なりはシュッとしたリーマン・スーツのお兄ちゃんだったんだ。はっきり言って、もろ僕のタイプ?」
ナッキーがプッと吹き出しながら核心を突く。
「って言ったって、痴漢って言うだけでアウトでしょうが。
そもそもどんなにシュッとしてても、電車の中で高校生のお○ん○ん触ってくる奴なんてろくでもないよ?やばくない?」
「それがさ~、触りながら顔を真っ赤にして下向いてんの。真面目で初心な証拠だよ?」
ヒデちゃんの「初心発言」に、みんな同時に大笑い!
俺もついつい言っちゃった。
「ヒデちゃ~ん、初心な人は痴漢なんてしないから~!アバタもエクボの極みだよ~」
アッ君が分析する。アッ君は見た目秀才→中身ドスケベの理系大学院生だ。
「痴漢はね、電車内と言う公衆の場においていたいけな高校生に悪戯している、って背徳感に興奮して顔を高潮させているんだ。
真面目でも純情でもなく自分に酔い痴れているだけなんだよ。変態であっても初心ではない」
俺、さらにいじめる。
「それ、痴漢の彼がタイプだったってより、ヒデちゃん自身が電車内で痴漢されるシチュレーションに興奮してなかった?特殊なAVの見過ぎだよ~」
ヒデちゃん真っ赤。
「理久ひどいよ。僕、高校生の頃はまだ普通のAVしか観てないよ~?痴漢ものとか強姦ものとか、際どい企画ものを観るようになったのは最近なんだから……」
みんな同時に
「え!高校生の時からAV観てたの?」
(当時はまだパソコンも一般的ではなく、高校生にAVはとても敷居が高かった)
グラス拭きながらケンちゃん参入。
「でもさ、何が切っ掛けだったとしても、そこから恋の花が咲いたなら結果オーライかも知れない。どう?その痴漢とは長く続いたの?」
ヒデちゃん少し言いよどむ。
「それがね……2~3回会ったくらいで振られちゃった……」
みんな同時に
「えっ?痴漢が被害者を振るの~?!」
「だ、だって、電車降りて彼のあと追っ掛けて、告白して申し込んだの僕だったんだ」
みんな同時に
「え……」
俺、思わず
「あらら~、てっきりカワイ子ヒデちゃんに目を付けた痴漢が強引に押して来て、お人好しのヒデちゃんがイヤと言えずに無理矢理に、って話かと思ったら……」
ひと呼吸置いて、またぞろナッキーが話をまとめた。
「まあ確かに、世のなか色んな事が起こり得るよね。被害者が痴漢に恋する事もあるかも知れない」
ケンちゃんもひと言。
「それにしてもヒデちゃんの勇気は凄いよ。普通、大人に痴漢されたら高校生なんて怖がるのが当たり前なのに、逆にナンパしちゃうんだから大したもんだ」
みんな同時に
「うんうん!確かに……」
で、この不真面目な会話は
──まだつづく
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