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第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP
No,247 夏生、大いに動揺す
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オレは堪らずキッ!と金髪の方へ向き直り
「何だよ!じろじろ見るなよ!」って、思わず気色ばんでしまった!
なのに金髪!ひるむどころか見た事もないような満面の笑みを浮かべやがって、いけしゃあしゃあとのたもうた。
「君があんまり綺麗だから、つい見入っちゃった。
僕キノちゃん。君は?」
(あ!こいつ、綺麗だなんて、オレの一番イヤな呪いの言葉を吐きやがったな!)
オレは躍起となって言い返した。
「はぁ?自分をちゃん付けって、頭軽くない?ちょっと可愛いからっていい気になるなよ!」
(あ、やば!口滑らせて可愛いなんて言っちゃった!)
「え?ちょっと可愛い?可愛いって言ってくれた?
そっち行っていい?」
と言いながら金髪の奴、図々しくもオレの隣に移動して来る。
「な、なんだよ!馴れ馴れしいな!」ってオレが慌てて奴を直視したら──ええっ?こいつ、顔が真っ白じゃないか!
オレは思わず
「おまえ……おしろい塗ってるの?」
なんて間抜けなことを聞いてしまった。
「おしろいなんて塗ってないよ?元々色白なんだ」
と言いながら、奴は顔を近づけて来た。
「ほら、近くで良く見て?何にも塗ってないだろ?」
って、もう、唇がぎりで頬に触れない近さだ。
え?
あ……心臓がキュンとした?
自分でも分かった。頬がどんどん紅潮して、耳たぶまで赤くなってく。
奴の口角がニッと上がって、オレの顔をじっと見詰めた。堪らずオレは、視線を逸す。
(この金髪!結局オレなんかより自分の方がずっと綺麗だと思ってるじゃないか!)
今までオレを姫扱いした連中とは明らかに違う。
こいつはオレのことを、姫だなんて微塵も思っていない!
──オレにはそれが伝わった。なぜ伝わったのかは分からない。
目線を外したオレの耳元に、奴が小声で囁いた。
「名前を教えて?」
「え……あ……それは……」
(あ、だめだオレ!)
どうした事か、金縛りにあったみたいに自分の身体を制御出来ない。
(どうした?オレ……)
まるで蛇に見入られた蛙だ。
心臓を鷲掴みにされてる。
(え?)瞬時にオレは閃いた。
(あ、こ、こいつこそ姫だ……
正真正銘の、こいつこそが姫なんだ……!!)
それに気付いた途端、オレの全身から力が抜けた。
(そうか、オレなんて姫でも何でもなかった。
世界で一番自分が綺麗だと思い込んでる、この偉大なる勘違いこそが正に本物の姫なんだ!)
そして気付いた。
そうだ!
こいつといれば!
この本物の姫といればもう誰もオレの事を姫だなんて思わない。
こいつに比べればオレなんて姫でも何でもない。ただの男だ!
※──────────※
「ちょっと待った~!」
ケンちゃんが透かさずオレらに割って入った。
「なぁ、タッチ。彼、どこの何者?来たとたん、いきなりルカに猛烈アタックしてるけど、初入店3分以内にナンパ始める人なんて史上初なんだけど~!」
ケンちゃんが目を点にして、聞こえよがしにタッチにたずねる。
「そ、それが、キノちゃんも二丁目は初めてだって……」
タッチの方も困り顔。
「えっ?あ、そう。はいはいキノちゃん!ストップ!ストップ!
ルカはずっと大人の人が好みだから……」
ケンちゃんが金髪姫に水を注した。
「え?フケ専?」
奴がキョトンと目を丸くする。
「ふざけるな!!」
オレは思わず立ち上がった。
顔が真っ赤になっていたと思う。
奇跡的に見付けた本物の姫に、フケ専って言われた事がショックだった。
確かにオレはフケ専だった。
てか、フケ専のつもりだったけど、今オレは開眼したんだ。
(姫にフケ専だとは思われたくない!)
オレはこいつに魅入られた。
この金髪姫に一目惚れか?!
──奴が立ち上がってオレの肩に手を掛ける。
「ごめん、ルカ。僕がふざけ過ぎた。………そうだね、人の好みを俗な言い方で揶揄した僕が悪い」
奴はオレの肩に手を置いたまま、そっとオレの顔を覗き込んだ。
「座って?ルカはここにいて?僕が出て行くから…」
奴はオレを椅子に座らせ、そのまま席を離れようとした。
「何だよ!じろじろ見るなよ!」って、思わず気色ばんでしまった!
なのに金髪!ひるむどころか見た事もないような満面の笑みを浮かべやがって、いけしゃあしゃあとのたもうた。
「君があんまり綺麗だから、つい見入っちゃった。
僕キノちゃん。君は?」
(あ!こいつ、綺麗だなんて、オレの一番イヤな呪いの言葉を吐きやがったな!)
オレは躍起となって言い返した。
「はぁ?自分をちゃん付けって、頭軽くない?ちょっと可愛いからっていい気になるなよ!」
(あ、やば!口滑らせて可愛いなんて言っちゃった!)
「え?ちょっと可愛い?可愛いって言ってくれた?
そっち行っていい?」
と言いながら金髪の奴、図々しくもオレの隣に移動して来る。
「な、なんだよ!馴れ馴れしいな!」ってオレが慌てて奴を直視したら──ええっ?こいつ、顔が真っ白じゃないか!
オレは思わず
「おまえ……おしろい塗ってるの?」
なんて間抜けなことを聞いてしまった。
「おしろいなんて塗ってないよ?元々色白なんだ」
と言いながら、奴は顔を近づけて来た。
「ほら、近くで良く見て?何にも塗ってないだろ?」
って、もう、唇がぎりで頬に触れない近さだ。
え?
あ……心臓がキュンとした?
自分でも分かった。頬がどんどん紅潮して、耳たぶまで赤くなってく。
奴の口角がニッと上がって、オレの顔をじっと見詰めた。堪らずオレは、視線を逸す。
(この金髪!結局オレなんかより自分の方がずっと綺麗だと思ってるじゃないか!)
今までオレを姫扱いした連中とは明らかに違う。
こいつはオレのことを、姫だなんて微塵も思っていない!
──オレにはそれが伝わった。なぜ伝わったのかは分からない。
目線を外したオレの耳元に、奴が小声で囁いた。
「名前を教えて?」
「え……あ……それは……」
(あ、だめだオレ!)
どうした事か、金縛りにあったみたいに自分の身体を制御出来ない。
(どうした?オレ……)
まるで蛇に見入られた蛙だ。
心臓を鷲掴みにされてる。
(え?)瞬時にオレは閃いた。
(あ、こ、こいつこそ姫だ……
正真正銘の、こいつこそが姫なんだ……!!)
それに気付いた途端、オレの全身から力が抜けた。
(そうか、オレなんて姫でも何でもなかった。
世界で一番自分が綺麗だと思い込んでる、この偉大なる勘違いこそが正に本物の姫なんだ!)
そして気付いた。
そうだ!
こいつといれば!
この本物の姫といればもう誰もオレの事を姫だなんて思わない。
こいつに比べればオレなんて姫でも何でもない。ただの男だ!
※──────────※
「ちょっと待った~!」
ケンちゃんが透かさずオレらに割って入った。
「なぁ、タッチ。彼、どこの何者?来たとたん、いきなりルカに猛烈アタックしてるけど、初入店3分以内にナンパ始める人なんて史上初なんだけど~!」
ケンちゃんが目を点にして、聞こえよがしにタッチにたずねる。
「そ、それが、キノちゃんも二丁目は初めてだって……」
タッチの方も困り顔。
「えっ?あ、そう。はいはいキノちゃん!ストップ!ストップ!
ルカはずっと大人の人が好みだから……」
ケンちゃんが金髪姫に水を注した。
「え?フケ専?」
奴がキョトンと目を丸くする。
「ふざけるな!!」
オレは思わず立ち上がった。
顔が真っ赤になっていたと思う。
奇跡的に見付けた本物の姫に、フケ専って言われた事がショックだった。
確かにオレはフケ専だった。
てか、フケ専のつもりだったけど、今オレは開眼したんだ。
(姫にフケ専だとは思われたくない!)
オレはこいつに魅入られた。
この金髪姫に一目惚れか?!
──奴が立ち上がってオレの肩に手を掛ける。
「ごめん、ルカ。僕がふざけ過ぎた。………そうだね、人の好みを俗な言い方で揶揄した僕が悪い」
奴はオレの肩に手を置いたまま、そっとオレの顔を覗き込んだ。
「座って?ルカはここにいて?僕が出て行くから…」
奴はオレを椅子に座らせ、そのまま席を離れようとした。
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