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第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP
No,255 夏生、悲嘆に暮れる
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ようやく理久のサトシ熱が冷めたと思いきや、またぞろ理久の周辺が落ち着かなくなった。
浩一と隼人だ。
理久は二股を掛けるような精力は持ち合わせていないらしいけど、要するに優柔不断で八方美人が災いしている。
理久は何かとオレに相談して来るけど、つまりオレの気持ちなんて関係ないんだ。
やがて浩一とは切れてくれたけど、そしたら途端に隼人との結び付きが強くなって、とってもオレが割り込むなんて無理だった。
──その後、理久は隼人と5年間も仲好しだった。
そのうち隼人とも別れたけれど、その時点でオレ達が出会ってから既に7年?
理久はオレ達を親友って言うけれど、結局な~んにも無くて7年間だ。
オレ、自分でも思う。
なんでこんなに理久の事を好きでいられる?
でもそこは誤解の無いように。
理久と親友だったこの長い年月──オレにだって何にも無かったわけじゃない。いや、むしろ理久以上に色々とあったかも。
だって、オレだっていい加減不毛な恋から解き放たれたい。理久より好きな相手にめぐり逢いたい。
うん、男なんてそんなもの。
好きな人との恋が叶わないからって、ずっと貞操なんて守ってられない、てか、貞操なんて感覚もない。
そりゃ理久の事は好きだった。でもその想いが常に満杯で続いていたかと言うと、そうでもない。
理久の事を忘れよう!
──代わりに誰かと付き合おう。
理久に焼きもち焼かせよう!
──理久よりカッコいい奴と仲良くしよう。
理久の好きなタイプを横取りしよう!
──理久の好きなタイプが分からない?
とにかく迷い道にハマってしまった。右往左往して闇雲になった。
結果──ナッキーは365日恋人を切らさないから、なんて理久にはケラケラ笑われる始末だ。
なんて奴!
ああ、理久なんて本当に鈍感で、人の気持ちの分からない奴!
でも理久は、オレがトラブったら助けてくれるし、オレが傷付けられたら怒ってくれる。
恋人は何人も入れ替わったけれど、理久はいつも変わらず隣りにいる。
親友って、そう言う事かな?
それでも出身地が一緒は強い!
盆正月は毎年オレが理久を独占だ!
理久の彼氏も、鷹岡までは追っ掛けてこない。
ああそうか。
二人で手に手を取って鷹岡に帰ってしまえばいいのかな?
なるほど、確かに理久は実家の事務所をいずれ継ぐんだ。それに乗じてオレも追っ掛けるって手もあるな?
ふむふむ、理久はいつ帰る?
手ぐすね引いて待っていよ。
ところでどうかな?
一般的にはオレが理久の事を(姫)ってなぞらえること──理解しずらいのかも知れない。
要するに、一般的に言う
「お坊っちゃん気質」に似た感じかな?
鷹揚で屈託が無くて邪気も無い。
育ちの良さがにじみ出ていて、沢山愛されて生きて来たってオーラが充満している。
ああ言うタイプは他人から好き嫌いされやすいかも知れない。
でも理久本人は、好かれようが嫌われようがお構いなしにニコニコしている。そこがやっぱり姫なんだよな。
で、オレは全然姫じゃない。
理久のド天然の姫ぶりに比べれば、オレは単に姫っぽいヴィジュアルの着ぐるみを羽織っただけのガセ姫だ。
隼人と別れてから帰郷するまでの8年間=理久は「愛の巡礼」とか「愛の難破船」とか悲劇の主人公を気取っているけど、それなら理久と出会ってからのオレの15年間=これは「愛の拷問」か?!
お互いに色々有りながらも、付かず離れずのオレと理久。
そんな関係は、否応なしにこれからもずっとず~っと続く気がしていた。
──でも、ついに理久が鷹岡に帰ってしまった。
そりゃ、いつかはこうなるって分かっていた筈なのに、でも実際に理久が東京からいなくなって、オレは愕然とした。
もう、虚無感しかない──。
東京駅で見送ってからまだ何日も経っていないのに、まるで心に穴が開いたようだ。
いずれ理久が鷹岡へ帰ったら、オレもそれを追っ掛けようか──なんて考えた事もある。
でも、実際そうなってみて呆然とした。
追っ掛けてどうなる?
理久にとってオレなんて大した存在じゃないんだ。15年間も一緒にいて、一歩も先に進まない関係だった。
鷹岡に行ったからってどうなる?オレたち………
仕事だって簡単には辞められない。鷹岡で再就職だって出来るのか?
それに──オレがそこまでしたら理久が不審に思うに違いない。いくら親友でもそこまでするか?って……。
(オレが無理やり追っ掛けたって、理久の負担になるだけだよな)
──ただオレは、ぐちぐちとネガティブな事ばかりに囚われていた。
浩一と隼人だ。
理久は二股を掛けるような精力は持ち合わせていないらしいけど、要するに優柔不断で八方美人が災いしている。
理久は何かとオレに相談して来るけど、つまりオレの気持ちなんて関係ないんだ。
やがて浩一とは切れてくれたけど、そしたら途端に隼人との結び付きが強くなって、とってもオレが割り込むなんて無理だった。
──その後、理久は隼人と5年間も仲好しだった。
そのうち隼人とも別れたけれど、その時点でオレ達が出会ってから既に7年?
理久はオレ達を親友って言うけれど、結局な~んにも無くて7年間だ。
オレ、自分でも思う。
なんでこんなに理久の事を好きでいられる?
でもそこは誤解の無いように。
理久と親友だったこの長い年月──オレにだって何にも無かったわけじゃない。いや、むしろ理久以上に色々とあったかも。
だって、オレだっていい加減不毛な恋から解き放たれたい。理久より好きな相手にめぐり逢いたい。
うん、男なんてそんなもの。
好きな人との恋が叶わないからって、ずっと貞操なんて守ってられない、てか、貞操なんて感覚もない。
そりゃ理久の事は好きだった。でもその想いが常に満杯で続いていたかと言うと、そうでもない。
理久の事を忘れよう!
──代わりに誰かと付き合おう。
理久に焼きもち焼かせよう!
──理久よりカッコいい奴と仲良くしよう。
理久の好きなタイプを横取りしよう!
──理久の好きなタイプが分からない?
とにかく迷い道にハマってしまった。右往左往して闇雲になった。
結果──ナッキーは365日恋人を切らさないから、なんて理久にはケラケラ笑われる始末だ。
なんて奴!
ああ、理久なんて本当に鈍感で、人の気持ちの分からない奴!
でも理久は、オレがトラブったら助けてくれるし、オレが傷付けられたら怒ってくれる。
恋人は何人も入れ替わったけれど、理久はいつも変わらず隣りにいる。
親友って、そう言う事かな?
それでも出身地が一緒は強い!
盆正月は毎年オレが理久を独占だ!
理久の彼氏も、鷹岡までは追っ掛けてこない。
ああそうか。
二人で手に手を取って鷹岡に帰ってしまえばいいのかな?
なるほど、確かに理久は実家の事務所をいずれ継ぐんだ。それに乗じてオレも追っ掛けるって手もあるな?
ふむふむ、理久はいつ帰る?
手ぐすね引いて待っていよ。
ところでどうかな?
一般的にはオレが理久の事を(姫)ってなぞらえること──理解しずらいのかも知れない。
要するに、一般的に言う
「お坊っちゃん気質」に似た感じかな?
鷹揚で屈託が無くて邪気も無い。
育ちの良さがにじみ出ていて、沢山愛されて生きて来たってオーラが充満している。
ああ言うタイプは他人から好き嫌いされやすいかも知れない。
でも理久本人は、好かれようが嫌われようがお構いなしにニコニコしている。そこがやっぱり姫なんだよな。
で、オレは全然姫じゃない。
理久のド天然の姫ぶりに比べれば、オレは単に姫っぽいヴィジュアルの着ぐるみを羽織っただけのガセ姫だ。
隼人と別れてから帰郷するまでの8年間=理久は「愛の巡礼」とか「愛の難破船」とか悲劇の主人公を気取っているけど、それなら理久と出会ってからのオレの15年間=これは「愛の拷問」か?!
お互いに色々有りながらも、付かず離れずのオレと理久。
そんな関係は、否応なしにこれからもずっとず~っと続く気がしていた。
──でも、ついに理久が鷹岡に帰ってしまった。
そりゃ、いつかはこうなるって分かっていた筈なのに、でも実際に理久が東京からいなくなって、オレは愕然とした。
もう、虚無感しかない──。
東京駅で見送ってからまだ何日も経っていないのに、まるで心に穴が開いたようだ。
いずれ理久が鷹岡へ帰ったら、オレもそれを追っ掛けようか──なんて考えた事もある。
でも、実際そうなってみて呆然とした。
追っ掛けてどうなる?
理久にとってオレなんて大した存在じゃないんだ。15年間も一緒にいて、一歩も先に進まない関係だった。
鷹岡に行ったからってどうなる?オレたち………
仕事だって簡単には辞められない。鷹岡で再就職だって出来るのか?
それに──オレがそこまでしたら理久が不審に思うに違いない。いくら親友でもそこまでするか?って……。
(オレが無理やり追っ掛けたって、理久の負担になるだけだよな)
──ただオレは、ぐちぐちとネガティブな事ばかりに囚われていた。
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