子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 71

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そして分身の俺が都市の中に戻って来ると傭兵団の団員達は持ち場を離れ、分身の俺を囲んで賞賛し始める。


「…どうやら全軍撤退するようだね。一部の兵は無茶を承知で残ると思ったのに…」

「『もうついていけない』と思ったんでしょうね」

「ま、目の前であんな醜態を晒されたら…ね」


俺とお姉さんは城壁の上を回って敵軍の動きを観察しながら話し合う。


…その翌日には都市の周りには敵兵の姿形も見えなくなり、約束通り完全に撤退したようだ。


「…契約期間まで残り一週間切ったかな?もう敵は来ないだろうし、あとは適当に工作員に気をつければいいか」

「外を包囲された時に何かやるかと思ったんですが、特に手出しはして来なかったですね」


一番外の城壁の上から周りを確認して楽観的に言うとお姉さんは不思議そうに懸念して事を告げた。


「多分タイミングを図ってたんじゃない?もしかしたら将軍が帰ってくる直前に騒ぎを起こしてソレに乗じて暗躍するつもりだった…とか」

「…確かに…坊ちゃんのおかげで敵は来て直ぐに撤退してますから動くにしても時間が足りなかったかもしれません」


俺の予想にお姉さんは少し考えて賛同する。


「まあ防衛中とか戦いの間に内通者や工作員が動いたりすると問答無用で処罰しないといけなくなるから…相手はソレを分かってて下手に動けなかったとか?」

「…そこまで考えてますかね?」

「さあ?『動かなかった』のか『動けなかった』のか…どちらにせよ俺からしたら面倒な事態にならなくて助かった」

「それもそうですね」


俺は敵の考えを予想しつつも、何が起きても対処出来るように対策は取ってあったので適当に返すとお姉さんも考えを打ち切るように返す。



…それから三日後。



「団長。将軍の兵が戻って来たよ」

「お。意外に早い」


俺とお姉さんが暇つぶしに大通りに観光に出てると団員の一人が俺のところに来ると報告してきた。


「それで、なんでも団長に急ぎの用件があるそうなんだけど…」

「急ぎの用件?…戻ろうか」

「はい」


団員の話を聞いて俺はとりあえず話を聞くために兵舎区画へと戻る事に。


「団長殿!助けて欲しい!将軍が…!」

「ちょっと落ち着こう。…何があったの?」


区画に入ると同時に団員とは違う格好の兵が駆け寄って来ると慌てた様子で話し始めるので、俺は一旦落ち着かせてから尋ねる。


「王都から都市への帰還中、敵対派閥の兵達に待ち伏せをくらい、現在将軍が交戦中なのだ」

「…待ち伏せ?…もしかして?」

「…かもしれません」


兵の報告に俺はまさか撤退していった軍勢じゃ…?と思いながらお姉さんに話を振ると同じ考えだったらしく、肯定するように頷かれた。


「場所は?」

「ココから北西に約20kmほど離れた場所だ」

「え、北西?」

「あ、じゃあ違うかもしれませんね。この前の人達は南西の方に行きましたから」


俺が確認すると兵は将軍が戦ってる場所を告げ、俺とお姉さんは肩透かしを食らったように返す。


「まあいいや。敵の数は?」

「こちらとほぼ同数、約一万七千人という報告を受けている」

「…コッチを包囲してたのが約一万ぐらいだったっけ?もしかして都市の包囲は囮で、本当の狙いは将軍?んで挟み撃ちを狙っていた…?」


気を取り直しての問いに兵が答えるので俺は情報を整理するように考えて敵の狙いを予想する。


「かもしれません。だからあのタイミングで…」

「おおー、あの時すぐに撤退してくれてマジで助かった。そのまま包囲されてたら援軍を出す事も出来なかったし」


まあソレも策の内だったんだろうけど…と、俺は敵の策に感心し、自分の運の良さに感謝しながら呟いた。


「本当ですね。敵が一騎打ちを受けてくれなかったらどうなってた事か…」

「ま、その時はその時でどうにかなるでしょ」


お姉さんが同意するように呟き、俺は適当な感じで楽観的に返す。


「とりあえず今は目先の将軍の事だ」

「では援軍を?」

「うん、半分送ろうか。撹乱だけなら十分でしょ」

「本当か!感謝する!」


俺の話題を変えるような発言にお姉さんが確認してきてソレに肯定すると兵が喜びながらポーズを取ってお礼を言う。


「そうと決まれば戦場の情報を教えて。現場の事を知らない事には撹乱のしようもないからね」

「分かった!では地図を…」

「私は隊長達を呼んで来ます」

「お願い」


俺が指示を出すと兵が了承し、場所を移そうとするとお姉さんが気を利かせてくるので任せる事に。
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