子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 169

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その翌日。


俺への罪と罰が公になると珍しく両親が拠点にやって来る。


「リデック!コレはどういう事だ!なぜこのような…!」

「あー、父さん落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか!お前はまんまと嵌められて領地を失ったのだぞ!やはりお前にはまだ早かったか…!くっ…!信頼したのが仇になるとは…もっと早く手を打っておくべきだった…!」


両親を本部の自室に通すと父親は凄い剣幕で握りしめてグシャグシャになった新聞を渡すように詰め寄ってくるので、俺が宥めながらソファを指差すも少し離れて何故か自分を責めるかのような事を言い始めた。


「いやー、ごめんごめん。事前に話して計画が失敗したら面倒だから成功するまで黙ってたんだ」

「…計画、だと?」

「そうそう。それを今から話すから座って」

「…分かった」


俺が謝って何も言わなかった理由を話すと急に大人しくなり、俺の指示に父親は素直に従う。


「今回のガウ領が没収されたのはわざと。つまり計画は成功」

「…なんのためにそんな事を?」

「国内の貴族達の敵味方を判別するため。今回ので敵寄り味方寄り中立がはっきりするよ」

「…そのために領地を捨てたのか?」


俺もソファに座って今回の件について軽く説明すると母親が不思議そうに尋ね、理由と目的を話すと父親は信じられないように確認する。


「捨てたわけじゃなく、あえて手放した。といっても俺がタダで手放すわけないじゃん?当然罠を仕掛けてある」

「「…罠?」」


俺が表現を訂正しながらニヤリと笑って言うと両親は不思議そうな顔をした。


なので俺はお姉さんに話した事と似たような内容を両親に話す。




ーーーー




「…なるほどな。そんな目論見があったとは…」

「私達にすら話せない理由も納得がいきますね」

「ああ。もし事前に今の話を聞いていたら相手側に違和感を与えていたかもしれん」

「上手くいけばガウは俺に返還されると思う。…いや、『返還』というより『再譲渡』かな?」


俺の話を聞いて納得してくれたらしい両親にその先の予想を教える。


「しかし…このタイミングでウィロー伯爵達が動いたのもお前の仕込みで動かせたのか?」

「一応仕向けてはいたけど…多分俺ら関係なく自分達の意思で動いたんじゃないかな?ま、俺らからしたら最善のタイミングだったけど」


父親はそろそろ国に税を納めるこの時期に相手側が動いた事も俺の策略の内かどうかを聞くが…


流石にそこまで俺の手のひらの上…ってわけじゃないので否定的に返した。


「そうか。何もかもが計画の上だったとは……お前の事を信じ切れずに力不足を疑ってしまってすまなかった」


父親が理解して納得したように頷くと何故か頭を下げて謝り始める。


「いやいや、心配してくれるだけありがたいよ。今回は上手くいったけど次も上手くいくって保証は無いし…普通に力不足で失敗する事もあるかもしれないじゃん?」


その時はよろしくね。と、俺は父親の謝罪を拒否した後にもしもの…万が一の時の保険として援助を要請した。


「ああ、任せろ。いつでも頼ってこい」

「んじゃ、遠慮なく…当面はガウ領に目を光らせてくれない?多分領地を立て直そうとボロを出しまくるハズだから、ソコを突いてくれるとありがたい」

「分かった」

「…でもまだ誰がガウ領を引き継ぐのか決まってないのよね?もしかしたら相手によっては上手く立て直す事が出来るかも…」


父親の頼もしい返事に俺が早速お願いすると母親は不安そうに懸念を告げる。


「まあ不可能ってワケじゃないから。一応採算度外視で私財を投入しまくれば立て直せるけど…正直この国にそこまでの余裕がある奇特な貴族って居ないと思う」

「うむ…リデックから聞いた話から推測するとなると、私財を投じるなら下手すれば家が傾くほどの大赤字になる可能性が高い」

「それに置き土産も残してるし」

「置き土産?」


俺が肯定しながらも否定的に言うと父親も賛同し、俺の比喩表現に母親が不思議そうに尋ねた。


「さっき話した免税の事。魔法協会側からの税が取れないとなると最悪国に納める分しか入って来ないよ」

「…ああ!」

「…国を通して許可を貰ったからには、税を取ろうとすればまた国を通して許可を取り下げないといけなくなる…果たしてどのような理由付けで申請してくるのか楽しみだな」


俺の説明で母親が思い出したように言うと父親は悪い笑みを浮かべながら呟く。


「…なるほど…どうやってもボロが出てしまうのね」

「そういうこと。毒が回り切る前に切り捨てる判断を出来るかどうかが分かれ目になる」

「…流石だな。上流貴族の嫌がらせを逆に利用して上流貴族を陥れるとは」

「ふっふっふ…『トロイの木馬』ってやつだね。アレとは微妙にちょっと違うけど」


母親は理解して呟き、俺の肯定に父親が褒めてくるので俺は笑いながら前世の記憶の知識を話すも直ぐに訂正する。


「おっと、そういやエーデル達にも今度会った時に説明しとかないと」

「大丈夫なの?」

「もう成功してるからね。万が一漏れたとしても『男爵に良いように弄ばれた』なんて恥ずかし過ぎるから噂でも広まらないでしょ」

「それもそうだな」


俺がふと思い出しながら弟や妹の事に言及すると母親が少し不安そうに確認するので、そう返すと父親も賛同するように言う。
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