クラスまるごと異世界転移

140

「…ココか。すいませーん」

「はい。何でしょうか？」

「死傷者を教会に集めてくれない？」

「教会に…ですか？今は避難所として利用されてるので難しいかと」

「マジか。んじゃ聖女を連れ来ても無意味だったな」

「「「聖女！？」」」


柴田が建物の中に入りながら人を呼んで忙しそうな受付嬢に用件を告げるもやんわりと断られたので俺がそう言うと受付の人達が全員反応する。


「どーする？」

「ワイバーン解放して他んとこ行くか？」

「ちょ、ちょっと待って下さい！」


俺らが予定を話しながら建物から出ようとすると受付嬢の一人が引き留めるようにカウンターから出てきた。


「んだ？」

「聖女が来てるというのは本当ですか！？」

「だったらなんだよ？どうせ教会は避難所になってて人を集めらんねーんだろ？」


藤原が対応するように振り向くと受付嬢が真偽を確認してくるので柴田は雑な対応で返す。


「そ、そうですが…でも！魔獣を村から追い払う事が出来れば集める事も可能です！」

「んじゃ今俺らがワイバーン相手してっからさっさと教会に集めてくれ」

「え？」

「ま、無理にとは言わねーぜ？俺らの言う事が聞けねー奴らを助ける義理も救う義務もねーしな」


受付嬢の言葉に藤原が要求するも信じられないように呟くので柴田は投げやりな感じでどうでもよさそうに言う。


「……分かりました。言う通りに死傷者を教会へと集合させます」

「あ、ホント。じゃあ頼んだよ」


受付嬢が他のスタッフ達とアイコンタクトを取って藤原の要求を受け入れるので俺は意外だと思いながら頼む。


「あの…！ワイバーンと戦ってるって事は冒険者…の方ですよね？」

「ああ。ほら」

「俺も。はい」

「…4級…！？二人とも…！？」


受付嬢の確認に柴田と藤原がライセンスを渡すと等級を見て驚いたように二人を見る。


「4級！？駆け出しじゃない！大丈夫なの！？ワイバーンは1級のパーティでも…」

「待って下さい！」


他の受付嬢も驚いてカウンターから出てきて心配そうに俺らを見るので柴田と藤原がため息を吐くと…


ライセンスを確認している受付嬢がとめるように声を上げた。


「名前…シバタとフジワラって…！冒険者でこの名前ってもしかして…！」

「あの英雄の二人と同じ名前！？って事は…」

「「「…失礼しました！！」」」


受付嬢は名前を確認するとまたしてもスタッフ同士アイコンタクトを取り、カウンターの向こう側にいた男の人も慌てた様子で出てくると全員で頭を下げて謝り始める。