クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
194 / 556

194

しおりを挟む
「俺と取り引きしない?」

「…取り引きだと?俺も兵士のはしくれだ。残念だが酒に負けて犯罪者を逃すような真似はしない」

「いやいや、簡単な事だよ。トルツの王子に伝言をお願いしていい?ソレ目的で来たのにこんなんなっちゃったからね」

「トルツの王子に?伝言したらそのアイシェをくれるのか?」

「もちろん」

「いいだろう」


どうやら俺の賄賂作戦が成功したらしく兵士は伝言に了承してくれる。


「それで?伝言とはなんだ?」

「『農業の研究』って伝えてくれる?」

「農業の研究だと?」

「『農業と研究』でも良いよ」

「分かった」


兵士は俺の言葉を聞くと直ぐに地下牢から出て行った。




ーーーーーーー




「…君は…」

「ん?お。おー、久しぶり」


兵士が出て行って約15分ぐらいで俺の計画通り目的の人物がやって来たので軽く手を振って挨拶する。


「ドロウィンに居たハズの君がなぜこんな所に?しかもこのような場所に…」

「あんたに話があって来たんだけど…とりあえず伝言ありがとう。はい」

「おお!やった!夢にまで見たあのラフィロゼーシャが!」

「ラフィロゼーシャ?高級アイシェか。なぜ?」


不思議そうな顔で聞いてくる王子に俺は用件を言ってから先に約束を果たすと兵が喜んで受け取り、王子はまたしても不思議そうな顔をした。


「本当はココの王様に渡す予定だったんだけど、もうその必要も無くなったからな」

「え?」

「どういう事なんだ?最初から説明してくれ」


ワインを持ってきた理由を話すと兵士が固まり王子は詳細な説明を求めてくる。


「だから、あんたに用事があってドロウィンの使者としてこの国に来たの。あの研究について話があったからな」

「し、使者だって…!?」

「じゃあなぜ牢屋なんかに?本来なら迎賓室だろう?」

「びっくりだろ?俺もびっくりしたよ。王族の印がある使者の証明書を見せたら『そんなのは無かった』とか言い出して濡れ衣で投獄だぜ?」


俺の説明に兵士は驚き王子は眉をひそめながら聞いてくるので今までの経緯を話した。


「…本当なのか?」

「え?い、いや、俺は何も聞いてないが…!」

「そーそー、証明書を見て報告に行った看守は都合悪いからって今さっきその人に変えられてな」

「…彼の言ってる事が本当なら大問題だぞ。友好国の使者を勝手に投獄し、証拠をもみ消した挙句に冤罪を科すなど…流石に冗談だと思いたいが…」

「だから、俺は…何も…」


王子が兵士に確認するが本人は本当に何も知らないと思うので俺がフォローするも王子は兵士を睨みながら言う。


「まあでもその人は王子に伝言をしてくれるぐらいだからマジで何も知らないと思っていいよ」

「…そうだな。王ならば流石に知っているだろう」

「あ」


王子は何故か怒ったような様子で地下牢から出て行く。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...