商人でいこう!

八神

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…道中、特になんの問題も起きないまま順調に昼前には目的の村へと到着。


明日には相場が変わるみたいなので、なんとか今日中に着けて良かった…


一時間以内に出発すればあと一つの町には夜になる前には着くハズ…


急いで市場に売りに行かないと。


「…あらー、兄さん運び屋に転職したのかい?」

「運び屋なら単独で動くのは危険だよ。商人のままなら…言うまでもない」


市場に行くとおじいさん達が俺の持ってるコンテナを見て話しかけてくる。


「…そうなんですか?」

「商隊を組むのが一般的だね」

「…商隊?」

「キャラバンの事だ。正式には『隊商』なのだが…隊を組み、指揮をする隊長がいる事から軍の小隊と似ている…という事で俗語として使われている」

「へー…なるほど」


そもそもキャラバンが何かを分かっていないのに、おじさんが言葉の由来みたいなうんちくを説明しても内容はさっぱりである。


なのでとりあえず流す事に。


「…そもそも、キャラバンって?」

「…そこからか」


俺が疑問をそのまま聞くとおじさんは額に手を当てて上を向く。


「運び屋が一人で歩いていたら、盗賊からしたら簡単な獲物だ」

「だけど複数で歩いていたら襲うのを躊躇うだろう?」

「…あー、なるほど…その集団が、キャラバン…」

「…まさか兄さん、そんな基本的な事も知らずに商人を…?」


おじいさん達は説明したあとにヒいたような目で俺を見る。


「良くもまあ、今まで無事だったねぇ」

「よっぽどその用心棒の腕が良かったんだね」


兄さん、幸運だったね…と、おじさんが急に褒められた。


…なるほど、この世界の商人が何か分かってきた。


俺のいた世界での卸売業者みたいなもんなのか…


生産者や市場から商品を買い付けた後に運送屋に運んでもらうわけだ。


ただ…俺の世界とは違うのが運び方。


トラックで長距離を…ってのもこの世界ではあるかもしれないが、多分一般的じゃない。


話を聞く限りでは多人数で移動するみたいだから、いくつかの町や村を経由しながら遠くの場所に…だろう。


運送費のコストや確実性、儲けとかを考えたら俺と同じ事は出来ないハズ。


だからと言ってこの世界の常識では商人が運送する事は命をかける必要がある、と。


だからこそ俺は今、稼げてるのか。


短い距離を、商人自ら、何度も往復して、直接売買する。


運び屋に頼むよりも日数が早く、運び屋に払う分の料金が浮く。


…中間マージンだっけ?をギリギリまで削った分が儲けに繋がる、と。


職安で言ってた『危険度次第では儲かる』ってこういう事だったのか。


と言っても今は特に危険な目にはあってないからな…


一回でも危ない目に遭ったらその時に今のやり方を続けるか考えるとするか。






…そんなこんなで村や町を回りながら鉄塊やその他を売り捌く事、一週間。


ようやくこの国の地域や領土といった土地のアレコレが分かってきた。


どうやらココは地域によって治める人というのが存在してるらしい。


『領地』や『領主』といった歴史の授業で習った昔の戦国時代…


封建制だったっけ?…とりあえずそんな感じの社会制度が形成されているらしい。


貴族階級による身分の格差がうんぬん…とかいうのを用心棒のおじさんから聞いた。
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