商人でいこう!

八神

文字の大きさ
37 / 208

36

しおりを挟む
「どうです?今回も上玉がいくつか混じってますよ?お買い得ですよ?今、買わないと後悔するかも知れませんよ?」


…怯えてたり、諦めてたり、強気だったりの反応を見せる少年少女を見てるとおっさんがセールストークを話し出す。


「…奴隷の売買…初めて見た…」

「…ヤツの表示は『奴隷商人』だ。分かっているのだと思っていたが…」

「…ホントだ」


なんとも言えない新鮮な気持ちで呟くとおじさんがそう返し、改めて見るとおっさんの職業表示は『奴隷商人』だった。


「家事に良し、仕事の雑用に良し、戦闘要員に良し、性のはけ口に良し…何にでも使えますが、注意点が一つ」

「「…注意点…?」」


おっさんのセールストークにおじさんも不思議に思ったのか俺と声が被る。


「虐待や拷問は控えて下さい。殺人目的ならば売れません……暴行等も人目に付かない場所にやるか、人目に付かないように…最近うるさいですからね」


おっさんは後半をボソボソと小声で耳打ちするように告げた。


「二度言いますが特に殺人目的…誰かを殺させたり、奴隷を殺すような輩には絶対売れませんので悪しからず」


そういう闇商人は赤色に変わりますから。とおっさんは自分の表示はクリーンな白色である事を指差して証明する。


「…奴隷も労働力の一つ、というわけか…」

「ええ、前時代的な売り方をするとあっという間に在庫が切れますし」


紛争地域から調達するのも大変なんですよ?とおじさんの言葉におっさんはため息を吐きながら答える。


「…奴隷にしては、意外と血色が良い…というか…身なりも…」

「ははっ、商品を雑に扱うようじゃ商人失格じゃないですか。汚い見た目の商品なんて売れないでしょう?」

「…確かに」


やはり漫画とかと違って雑な扱いは受けてないのか…


それともこの商人の扱いが良いだけなのかは分からないが、とりあえず商人としてのプライドだけは分かった。


「どうします?買いますか?やめますか?」

「…全員、子供?」

「ええ、下は5歳から上は12歳まで取り揃えております…中でも私のお勧めは…」


おっさんは子供達を見渡すと隣の部屋へと移動した。


「…買うのか?」

「…うーん…荷物になりそう…」

「ならば逃すか?このままココに居ても明日にはどうなるか分からんからな」


命の保証も無い。とおじさんが物騒な事を言い出す。


…ううーん…流石にこんな子供達が奴隷として売られる、と言うのは可哀想だけど…


一応俺は旅の商人だし…面倒を見れるかどうかも…


でもこのまま放置も心が痛む……うーん……


「この子とこの子です!あと、この二人には見劣りしますが…」

「全員、買います」


おっさんが隣の部屋から女の子二人を連れて来て、更にこの部屋の誰かを選ぼうとするのを遮って俺は選択した。


「…え、全部…ですか?」

「はい、まとめ買いで」


どうせ金は余ってるし、ちょうどデカイ家もあるのでこの際だからドーンと買ってみる事に。


「いや、いくらなんでも一気に全部は…大丈夫ですか?」

「…まとめ買いなので、少し割引できませんか?」

「…少しお待ち下さい。計算します」


最近少し慣れて来た値段交渉をするとおっさんは電卓を叩き始めた。


…よく考えたら奴隷って一人あたりいくらなんだろう?


即戦力の大人の方が高いのか?将来性のある子供の方が高いのか?


…とりあえず値段を聞いてみた方が早いか。


「全部で61000…6万ゼベルでどうでしょう?」

「…6万…内訳とか、聞ける?」

「はい。2200ゼベルが5、5000ゼベルが2、2万ゼベルが2でございます」


おっさんは言葉で伝えながらも紙に内訳を走り書きのように素早く記して見せてくれる。


…普通の子供だと2200…?ちょっと高い奴らはなんで高いんだ…?


まあいいか、上玉がどうとか言ってたから多分なにかあるんだろう。


「…買った……はい」

「ありがとうございます……確かに、6万ゼベルちょうどです」


俺が現金を渡すとおっさんは頭を下げて受け取るとすぐに確認した。


…こうして成り行きとはいえ、9人の少年少女の奴隷を手に入れた。


「またのご利用をお待ちしております」

「…足枷はそのままなんだ」

「…道中逃げたら困るからな。望みとあらば外すが?」


ペコペコ頭を下げるおっさんに見送られぞろぞろと奴隷達を引き連れて宿屋を出た俺が、奴隷達の足を見て呟くとおじさんが提案する。


「…うん、見ていて気持ちの良いものじゃないし…外そうか」


おっさんから貰った鍵で子供達の手錠や足枷を外し、おじさんに拘束具を返して来てもらう事に。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。 【改稿】2026/02/15、第一章の39話までを大幅改稿しました。 これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。 ・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。 ・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界なんて救ってやらねぇ

千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部) 想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。 結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。 色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部) 期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。 平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。 果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。 その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部) 【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】 【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

処理中です...