商人でいこう!

八神

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そして拠点としている街に戻ると市場に寄って村で仕入れた商品を売る。


「お!それはこの前の…」

「…えーと、イモイモターン…」

「ソレ、意外と売れ行き良くてさ!ウチに卸してくれないか?」


残ったイモイモターンをまた実演販売しようと準備をしてると、同業者っぽい男が交渉してきた。 


「お!それ、イモイモターン?じゃあウチにも!」

「なんだ?なにか良いものでも売ってるのか?」


…まだ実演販売をしていないにもかかわらず同業者っぽい商人達が話しかけてくる。


「…いやぁ、人気ですねぇ」

「…あ」


この前と同じく相場の11ゼベルで捌いてると市場の職員が話しかけてきた。


「…実は私もソレにハマりましてね…10ゼベルで売ってくれませんか?」

「…あ、はあ…いくつです?」

「2つほどお願いします」


他の人に聞こえないようにコソコソと値段交渉をしてきたので世話になった恩でその値段で売ることに。


「ありがとうございます…最近、店売りの値段が上がって困ってたんですよ」

「あ、いえ…」


イモイモターンが詰められた瓶を受け取った職員は笑顔で歩いて行く。


…いや、確かに美味しかったけど…意外と売れるもんだな…


「…なるほど、都市部では人気なのか」


半分ほど在庫が無くなって業者達が居なくなった後に用心棒のおじさんが呟く。


売れ残った半分の中から三つを自分の分として確保し、あとは全部市場に10ゼベルで売った。


「…不思議なものだな。あの村ではあんなに売るのに苦労していた物が…」

「…田舎と都会では需要が違うから…」

「…美味しいのか?」

「食べてみたら分かるよ」


売るのに時間をかけてしまったので買うのは明日に持ち越して俺は帰宅する。


「…ただいま」

「ほら!あなた達がモタモタしてるから帰って来たじゃない!明日はもっと早くやるのよ!」

「はい」


…家の中に入ると何故かメイドの一人が少年を叱りつけていた。


「申し訳ございません、お掃除も夕飯の支度もまだ終わっていなくて…まだ初日なので大目に見て貰えれば…ほら!あなたも謝る!」

「…ごめんなさい」

「『申し訳ございません』でしょ!やり直し!」


メイドの一人が俺の前に来て謝るも少年の頭に手を置いて無理やり下げさせて一緒に謝らせる。


「…えーと…なにを?」

「奴隷達に家事のやり方を教えています。私たちの負担を減らすために連れて来て下さったんですよね?」


いまいち事情が呑み込めてない俺が問うとメイドの一人は嬉しそうな笑顔でそう返す。


「…いや、普通に面倒を見てもらうために…」

「分かってます、ですからこうして丁寧に掃除のやり方を一から…」


…どうやら俺の言いたい事とメイドの受け取り方が違い、話が噛み合っていない。


「…えーと?」

「『奴隷』として、ではなく『子供』として世話をしろ…という意味ではないのか?」


用心棒のおじさんに助けてアピールをすると誤解を解くように説明してくれた。


「…は?」


おじさんの説明を聞いたメイドの顔が笑顔から一変し…


眉間にしわを寄せて不機嫌そうな表情へと変わる。


「いや、いやいや…まさか、ですよね?いくら金で雇われているとはいえ…奴隷の身の回りの世話をしろ、だなんて…」


メイドの一人は無理やり笑顔に変えたような感じで確認してきた。


「…そのつもり、だったんだけど…」

「…はああ!?ふざけないでくださいよ!なんで私たちがこんな小汚い奴隷の世話をしなくちゃいけないんですか!いくら雇われてるからといって、なんでもやるわけじゃないんですよ!」


俺の言葉にメイドの一人はキレたようにまくし立てる。


「あなたはメイドをなんだと思ってるの!?奴隷の世話だなんて奴隷以下、と言ってるのと同じよ!?分かってる!?…んですか?」

「…まじ?」

「…考え方にもよると思うが…」

「とにかく!そういう奴隷の世話をさせるつもりなら、辞めます!契約内容に含まれてないし、そんな内容ならこんなところでなんて働いていられない!みんなにも話してきますからね!」


俺とおじさんが何かを言う前にメイドの一人はエプロンを外すと怒りながら歩いて行く。


「…なんで、怒ってるの?」

「奴隷とは一般以下の人権ギリギリの最下位に位置する身分だからな…家畜扱いする国もあるぐらいだ…」


あのメイドがなんで怒ったのか分からないのでおじさんに聞くも良く分からない返しをされた。
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