商人でいこう!

八神

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…買った商品をコンテナの中に積み終わった後に市場でも安い物を買い占める。


そして用が済んだので拠点の街に戻ろうとしたら…


女の子の提案により昼飯ではなくティータイムとやらでまたケーキの店に連れていかれた。


…どうせまた俺が奢るんだろうなー…と思いきや。


いつものお返しに。と、あの女の子が奢ってくれた。


…お小遣いの関係でケーキ一つとジュース一杯しか奢れなくてごめんね?と何故か謝られられたが…


たとえ額が少なくともお返しをしようという心がけが素晴らしい。


なんならそのお返しに店の物を全部買ってあげてもいいぐらいに感激したが、女の子の心遣いが台無しになる。とおじさんに止められた。


…気遣いの出来る女はそりゃ、モテるわ。と俺は女の子を見て実感した。


なんせ関係ないおじさんの分も奢ってあげるんだもの。


今までのちょっとした悪感情も今回のでチャラだよ。


…金銭的には全く持って釣り合わないがそれはそれ。


自分で金を稼いで自由に使える金が多い俺と、親からお小遣いを貰ってる女の子では払える額が当然違うので気持ちの部分で釣り合えばそれでオッケーよ。


今までお返しを求めていたわけでは無かっただけに…こんな一回のお返しだけで、これからも奢ろうかな?って財布の紐が緩む不思議。


…それはさて置き、昼近くになったので女の子と別れて街に戻る。


あのまま居たら昼飯まで奢ってくれそうな感じだったので流石にそこまでは…女の子の小遣い的にどうなんだろうか?


…とりあえずまた来週辺りに来るよ。と言ったので今度は俺が奢る番かもしれない。


「…まさか俺の分も用意してくれたとはな…」


街の市場でイモイモターンやその他の商品を売り捌いて家に帰り、昼飯の準備中におじさんが思い出したように呟く。


「全くだよね。まあ田舎の人達ってみんな無駄に優しいから…」


俺もあっちで世話になったからなぁ…とおじさんに賛同しながら苦笑いする。


「…なるほど。その甘さとも思える優しさはあの村での経験からか」

「他人に優しくされた手前他人には優しくしないと」


面倒だけど、こればっかりは…しょうがない、ね。と俺はため息交じりに呟く。


「あら、でも人に優しくするのは良いことじゃない。そういうのは思わぬ所で自分に返ってくるものよ?」

「…えーと、情けは人の為ならず…だっけ?」

「…なにそれ?」

「ことわざって言うんだけど…知らないならいいや」


お姉さんの言葉に結構前に古文だか現代文だかで習った本来の意味でのことわざを使うも理解されなかったので適当に話を打ち切る。


…昼飯を食べての午後は海の近くの港町へ行って安い海産物を買い漁り山奥の村や町へ行って売り捌いた。


そして、翌日。


「…ご主人、来客ですが…どうします?」


みんなで朝食を食べてる最中にチャイムが鳴り対応に出たメイドの一人が来客を知らせる。


「ああ、直ぐ行く」

「分かりました。門を開けます」


朝食を途中で切り上げて玄関へと向かうとおじさんも食べてる途中だったのに後ろからついて来てくれた。


「やあ、お兄さん。おはようございます」

「珍しいね」

「いやー、最近お兄さんが来なくて寂しいですよ…上がっても?」

「うん」


いつもの情報屋の男がアタッシュケースのような箱を持って訪ねて来たので応接室まで移動する。


「前まで毎日のようにご利用頂いてましたのに…もう最近はずっとヒマでヒマで…」

「…いやー、欲しい情報が今のところ無いから…」

「まあ、平和なのは良いことですがね…」


ずっと平和でありたいものです…と男は何か含みを持たせたように呟く。
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