商人でいこう!

八神

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「まあいっか」


持ち主が現れたら返せばいいや。って感覚で俺はとりあえず持って置く事に。


…まさか本当にお宝をゲット出来るなんて…


「…じゃあ戻りましょうか」

「そだね」

「私達はこの少年兵達を関所の人達に引き渡しに行きますので、少しばかりお時間を頂けますか?」

「あ、うん。お願い」


俺とお姉さんは一足先に車の中に戻っておじさん達を待つ事にした。





「…待たせたか?」

「早かったね」

「やっぱりベッドがあると楽だわ…待ち時間もなんのその~」


10分ほどで戻って来たおじさんが少し申し訳なさそうな感じで確認してきたが…


別にそんなに苦ではなかったので気を遣わせないように返すとお姉さんもリラックスしたように返した。


「…じゃあ戻ろうか」

「お願いします」


少しして女の子と銀髪の青年も車に乗ったのでドラゴンにお願いして女の子達を家へと送る事に。


…ドラゴンが飛んで5分ほどで女の子が今住んでる家に着いたので庭に降りる。


「…この度はお忙しい中、私…隣の領主…ひいては国民のためにご助力いただき、本当にありがとうございました。今は私が代表して心より感謝申し上げます」


車から降りて女の子を見送ると玄関の前でお堅い感謝の言葉を述べて深々と頭を下げた。


「ああ、うん…でもドラゴンが頑張っただけで俺は何もしてないけどね」


ただ見てただけだし…と、俺の手柄ではなくドラゴンの手柄だと主張する。


「…もちろんドラゴンにも同じように感謝していますわ。ただ…伝わるのかどうか分からないので、ご主人様に申し上げておこうかと…」

「…まあ、人間の事などどうでもいい…って言ってるから」


女の子が俺に言った理由を話してもドラゴンはどうでもよさげなので、その判断は間違ってはなかったかもしれない。 


「…奴隷の身分でご主人様に『褒美』という、厚かましくも差し出がましい身の程を知らない発言や行為を何卒お許し下さい」


女の子が玄関のドアを開けるとアタッシュケースのようなカバンがあり…


それを取ると床に膝を着いて頭を下げて許しを請いながら両手でカバンを差し出す。


「いや…別に…」

「じゃあ言い方を変えて『お礼』でいいんじゃない?」


物凄くお堅い卑下したような難しい言い方に俺が困ってるとお姉さんが助け船を出してくれた。


「…そうだね。もっとこう…柔らかく、というか…難しい言葉はやめない?」


差し出がましいとか、許して下さいとか…と、俺はお姉さんの提案に乗っかるように更に提案を増やす。


「…ですが…それでは周りの者に示しがつきません」

「…主人が困っているのだから、もっと普通にするよう努めるべきだと思うが?」


難色を示す女の子におじさんが珍しく奴隷の立場を利用するかのような事を告げる。


「だって君…俺に偉そうな態度とか取ってないじゃん?なのに細かい言葉遣いとかでいちいち謝られても困るんだよね…」


そりゃ、本当に失礼な態度や発言だったら謝らないといけないけどさ…と、俺はこの際だから女の子に忠告した。


「身分がどうの、立場がどうの…って言うんならさ、奴隷なんてやめたら?正直今の感じがずっと続くんなら、面倒だからなるべくならもう会いたくないんだけど」


女の子が何かを言おうと口を開くが俺は構わず今までの不満をぶつけた。


「…っ…!す、すみません…」


流石に怒るような感じで言いすぎだったのか…女の子が涙を流し、指で拭って謝る。


「…奴隷の身分や立場で領主の身分とか立場もあるんだから大変だ、っていうのは分かるけど…」


でも規範を意識し過ぎていささか不自然というか…うーん…と、お姉さんが女の子をフォローしようとするも困ったように腕を組む。


「…そういや奴隷ってどうやったやめられるの?」

「やめる、やめない。とか…そう言う自主的な問題ではないのだが…」

「現行の社会制度を変えない限り奴隷から脱却するには解放されるしかない…だが、そう簡単な事でもない」


俺の疑問におじさんが呆れたように返し銀髪の青年が答えた。


「…解放?」

「奴隷が解放されて自由になるにはいくつかの条件があるの」

「…だが…奴隷に対して命に関わるような虐待や暴力も行なってなければ、非人道的な扱いをしているわけでも無い」


劣悪な環境でも金銭面での契約でもないから現実的に考えて解放は難しいだろう…と、おじさんが腕を組みながら説明する。


「じゃあそのまま自由に頑張ってね、って勝手に解放したらどうなるの?」

「どうもならん。奴隷の表示はそのままだから街から離れたら高確率で悪い奴に攫われる」

「…えー…じゃあ結局、俺が我慢しないといけないの?」


俺が思ってる以上に『奴隷』になるってのはハードモードのようだ。



「…分かりました。私が…私が変わります!」


面倒くさそうに呟いた俺を見て女の子が決意したかのように宣言した。


「ご主人様の手は煩わせません。話し方や態度は少しずつですが、改善していきます…ですが、呼び方だけはどうかそのままで…」

「あー、まあ…それくらいなら…メイド達もそう呼んでるし」


どうやら女の子が折れてくれたようなので俺も妥協する。


「…協力してくれますか?」

「はっ!喜んで」


女の子が銀髪の青年を見ながら聞くと片膝を床に着いて頭を下げて受け入れた。
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