商人でいこう!

八神

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「でもなんでこんなところに…?」

「…そうか、ここは暴れ熊の治める領土内だったな」

「そなの?」


とりあえず上空まで来たので地面に降ろしてもらう。


「…!ドラゴン、だと…!?なぜ、こんなところに…!」

「待て!良く見ろ…コンテナだ!あのドラゴン、コンテナを二つも持っているぞ!」


灰色の鎧を着た兵士達はドラゴンを見て驚き…専用車とコンテナの二つ持ちにも驚いていた。


「…本当に兵士達がいた…でもなんでこんなところに…?」

「…貴様は…!あの時の!」

「…だれ?」


俺が車から降りながら兵士達を見ておじさんに聞くと…


兵士達の中のガタイの良い男が俺を見て驚く。


「…暴れ熊だ。新聞では生死不明で行方不明と書いてあったな…生きていたとは」

「ああー、あの……って、あれ?みんな結構怪我してない?」


おじさんが男の正体を教えてくれたので納得して頷き兵士達をもう一度見ると…


鎧や兜は傷だらけでボロボロだったり、ところどころ血が付いていた。


「…魔王軍から逃げ延びている最中か…安心しろ、魔王軍はもう倒された」

「…なに…?本当か…!?」

「って事は助かったのか?俺たち…!」


おじさんの報告に男は信じられないように驚いて兵士達は喜ぶ。


「…そう、か…国軍が…動い、た…」

「領主様!」

「…傷口がまだ塞がっていなかったのか…!」

「近くの村や町まではあとどれくらいだ!?頼む!教えてくれ!」


男が安心したように眠りにつくと周りの兵士達がざわざわと騒ぎ始めた。


「…ここからなら、近くの村までおよそ30kmほどだと思うが…」

「30…!?そんなに距離が…!」

「間に合うわけがない!くそっ!」


兵士の質問におじさん少し考えたように答えると一気に絶望したような様子になった。


「…どうする?」

「…うーん…見つけた以上は放って置けないんじゃない?」


でもそのまま乗せたら車内が汚れるから嫌だし…と、おじさんの問いに俺は少し考える。


「うーん…コンテナの中なら水洗い出来るなら良いとして…何か…ないか……あ!」


車内を汚さずに兵士達を乗せる方法を考えてると閃いた。


「あのビニールシートがあるじゃん。ちょっと手伝って」

「承知した」


コンテナの中からビニールシートを取り出して床を汚さないために車内に敷く。


「いやー、乗せておいて良かった…最悪人命優先で乗せて車内の掃除が面倒になるとこだったよ」

「怪我人はこの車に乗せろ。そっとだ、手荒に運ぶなよ」

「…車…?どう見ても窓のあるコンテナにしか見えないが…」

「まだ元気な者はそこのコンテナの中で立ってろ…おい!そこのお前!今すぐその靴を脱げ!車内に入る際は必ず靴を脱いでから入れ!」


俺が安心して息を吐くとおじさんは兵達を動かすために指揮を執り始めた。


「…これで全員か?」

「あ、ああ…領主様を含めて31名だ」

「…大怪我してるひと多くない…?」


おじさんの確認に兵士の一人が頷くので俺はビニールシートの上にいる人数を見て呟く。


「領主を含めて12名か…良くもこの人数を抱えて移動出来たものだ」

「じゃ、行くよ?…商品を勝手に食べないように」

「い、イエッサー…」


いくら飢えてるとはいえ、コンテナの中の物を勝手に食べられたら困るので釘を刺してからドラゴンにお願いする。


「…は、はは…これは夢か…?俺は今、夢を見ているのか…?」

「そうか…俺はもう死んだのか。どおりで…」


ビニールシートの上で寝たまま立ち上がれない兵士達は周りを見ながら現実逃避を始めた。


「…まずいな。怪我に加え、疲労…飢餓による水分や栄養の不足…みんな思った以上に衰弱している…」

「…え。もしかして助からない?」

「場所によると思うが…医療設備の整った病院がある町じゃないと五分五分だろうな」


…おじさんのいう『医療設備の整った病院がある町』がどこか分からないので…


とりあえずあの女の子がいる町へと向かう事に。
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