料理人がいく!

八神

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「一応まだあるけど…食べる?」

「ぜひ!…ところで、コレはなんて料理だ?」


彼女の言葉に男はテーブルをバン!と叩き身を乗り出した。


「私の所ではカルボナーラって言ってたかな…ここじゃ、フラジトーレ風ガルバトス?」

「なるほど、フラジトーレ風のガルバトスか…」

「あとフループ、とレシャタね」


空になった皿にカルボナーラを移した彼女は小皿に入ってるコンソメスープとサラダを男の前に置く。


そして彼女は大皿に料理を盛り、ソレを持って再び外に出る。






「ふぅ…食べた食べた」

「お腹いっぱいになったんなら山から出て行ってくれる?」


お腹を押さえている男に彼女は自分の分の料理を皿に盛りながら言った。


「…なにかあるのか?」

「…麓の看板見なかったの?」


不思議そうに聞き返した男に彼女が呆れたように返す。


「麓の看板…?そういえばそんなのがあったな……もしかして私有地とかか?」


男は思い出すように首を傾げて彼女に聞く。


「私有地では無いけど…魔物が住み着いてるから、なるべく刺激させないために」


面倒な事になる前に出て行って…と彼女は追い払うように手を振る。


「…じゃあ魔物達を刺激させなければ出ていかなくても良いのか?」

「そうなるね」

「よし…なら仲良くなって来る」


男は彼女の言葉に頷くといきなり外に出て行った。


「…出て行くって選択肢は無いの?」


外で恐る恐る魔物の頭を撫でようとしてる男を見ながら彼女は皿を片手に呆れたように呟く。


「ふむ…魔物はもっと凶暴だったハズだが…」


男は『Lv11』と表示されてるまだ子供の魔物に唸られながらも触ろうして零す。


「嫌がってはいるが、襲う気はなさそうだ」

「嫌がってるって分かってんなら止めろよ」


冷静に分析している男の言葉に彼女はツッコむ。


「…っ!…よ、よーしよし、怖かったねー…」


なぜか自分にすり寄ってきた魔物に彼女は一瞬ビクッと驚くも頭を撫でる。


「…魔物に懐かれているとは…」

「いやいや、こんな風に近づかれたのは初めてだけど…」


男の意外そうな呟きに軽く否定をして彼女は魔物から離れた。


「よし、俺も…」


意を決したように男は魔物に近づくも唸られて警戒される。


「…なぜだ…」

「なぜだ…って…その不思議に思える頭が凄いよ」


傷ついたように魔物から離れた男に彼女は呆れながら返して家の中に戻った。


「?どこかに行くのか?」


再び外に出てきた彼女を見て男が不思議そうに聞いてきた。


「ちょっとね」

「どこへ行くんだ?」


彼女が適当に返して歩き出すと後ろから男がついてくる。


「…なんでついてくんの?」

「え?…いや、気になるから…」


睨むような彼女の冷たい目に男は一瞬たじろぎ恐る恐る返した。
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