料理人がいく!

八神

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「コレでよし、っと…洗浄スキル『浄化』…あとは血の臭いに釣られた動物達の餌になるよ」


穴を埋め終わると彼女はスキルを使いスコップと包丁を綺麗にして袋に入れる。


「今日は丼物だなー…」

「どんも…なんだそれは?」

「深いお椀…こんな形の入れ物にペイを入れて、上から肉とかを乗せていくやーつ」


彼女の呟き反応した青年の疑問に手で形を示しながら説明して、更に森を歩く。


その後、鳥だ猪だ…とそれに近い動物を狩って結構な量の獲物を手土産に彼女達は小屋に戻って行った。


「ふぅ…やっと着いたか…」


小屋の前に着くと青年は息を吐いて呟く。


「おおー…周りの魔物達に反応しなくなったねぇ」


さも当たり前のように魔物に反応しない青年を見て彼女が意外そうに言う。


「ああ、魔物にも魔物なりの事情がある事を知ったからな…人間と同じように平等に見るように心がけるようにしている」


青年が喧嘩腰や緊張、警戒した様子じゃないからか、周りの魔物達も警戒したように見てるが唸ってはいない。


「…ココに置いといて良いか?」

「ん、ありがとさん」


玄関の前の板張りの床に解体済みの獲物を置くと青年はどこかへ歩いて行く。


青年が足を止めたのは魔物の群れのボスの前。


周りから見たら一触即発のようにも思える状況だが彼女は全く興味を示さずに解体済みの獲物を家の中に入れる。


『貴様は…この前の…!』


目の前で立ち止まった青年を見て伏せっていたボスが立ち上がり警戒したように唸った。


「…この前はすまなかった、そちらの事情を考えずに自分勝手な行動だったと反省している…だから俺はなるべく君達に危害を加えないようにする」


青年はボスが臨戦体勢を取っているにも関わらず、無防備に頭を下げて謝罪した。


『…なんだと?』

「俺や、あの少女…と言っていいのか分からない人、無関係な一般人達に危害を加えようとしない限り、俺からそちらに危害を加えないと約束しよう」

『……何が目的だ?』


頭を下げたままの青年の謝罪にボスは意図を図りかねたように困惑しながら問う。


「人と魔物の共存、という彼女の可能性に賭けてみたくなったんだ」


青年は頭を上げると強い決意を込めた目でボスと目を合わせる。


『…人と魔物との共存だと…?笑わせるな!』

「だが、現に君達は人である彼女と共存してるではないか」


ボスの咆哮にも全く怯まずに青年が言った。


『………好きにしろ』


青年の言葉に何かを感じたのかボスは臨戦体勢を解いてソッポ向くとその場に伏せる。
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