23 / 113
23
しおりを挟む「りょ、料理にそんな付与効果が…?」
彼女についての事を青年の時と同じ説明をすると男は口角をヒクヒクさせながら呟く。
「おそらく彼女が省いてるだけで年齢に関する付与効果もあるんじゃないか、と思っている」
「…確かに…美形補正だけでは大人の女のような顔にはなれないからな…」
「あと、身長の問題も出てくる」
彼女の説明について二人が考察してるが、説明した当の本人は興味無さそうにタレを作っている。
「これは…幸いと言うべきか、俺は口が堅い方だから広めはしないが…」
「ああ、その付与効果が民衆に知れたら大変な事になると懸念している」
「…乳房補正、美形補正…おそらく年齢補正か…?に身長補正、といった所か…」
男は彼女が省いたであろう付与効果も紙に書いた。
「年齢補正があるとしたら不老不死に近いな…」
「…待て、美形や乳房は補正で分かるが…年齢や身長は補正で良いのか?」
青年の呟きに引っかかりを感じたのか男が疑問を呈する。
「…ふむ、そう言われると…ではそうだな…老化はどうだ?」
「老化か…確かに『老化+』や『老化-』とかはありえる…」
「だろう?身長は『成長+』だとすると…」
彼女に聞けば早いようなどうでもいい議論で二人は盛り上がっていた。
「ふふんふ~ん♪」
「だから!これはこうだろう!」
「違う!これならばこうすべきだ!」
「「ぬぬぬ…!」」
二人がずっと議論を続ける事、数時間。
辺りはすっかり暗くなり、夜の時間帯に。
「だから!ココから敵が来た場合はだな…」
「そうなるとココが…」
「はいはい、夕飯の時間だから紙を片付けろ」
いつの間にか議論が山に国軍が攻めて来た時の対処法にすり替わってる中、彼女が丼椀を持って終わりを告げる。
「あ、ああ…すまない、俺とした事が熱くなってしまったようだ…」
「いや、俺の方こそムキになってすまない…」
お互いに仲良くなったのか男と青年は謝りながらテーブルの上に広げられた紙やペンなどを片付けた。
「で、何をそんなに言い争ってたの?」
「いや…もし組織がこの山の魔物を掃討しに来た時のための作戦を…」
彼女が丼椀をテーブルに置きながら聞くと青年が気まずそうに答える。
「争う必要あるの?魔物はココから出て行きませんので…って説明したら?」
「騎士団には既に説明してある、魔物のレベルも上がっているから暫しの間この山を不可侵領域として定める事で問題は解決した」
「だが、別の組織の過激派などがいつ攻めてこないとも限らないだろう?」
彼女の疑問に青年が答えると男が仮定の話を切り出した。
「攻めて来たとしても話し合いは出来るだろ?」
「もし相手が話を聞かず問答無用に襲いかかって来たらどうする?」
「どうする…って俺なら逃げるよ?」
男の問いに彼女は疑問系で返す。
「逃げるって…この山を放棄してか!?」
「いやいや、小屋までって事だよ」
驚いたように立ち上がる青年に呆れたように彼女が言う。
「その後は?」
「とりあえずご飯作る?腹いっぱいになれば帰ってくれるっしょ」
「…人間と魔物を一緒にす…なるほど、ソレが平等の扱いか…」
戦うという選択肢の無い彼女の答えに男と青年は呆れたようにため息を吐く。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる