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「…入ってもいいかー?」
「あ、ああ…」
風呂場の戸越しに彼女が声をかけると了承の返事が返ってくる。
「いやー悪いね、先入ってるのにお邪魔して」
彼女が謝りながら戸を開けて入ると青年は背中を向けるようにして湯船に浸かっていた。
「身体洗ったら直ぐ出てくからゆっくり入っててもいいよ」
彼女は適当に言うとシャワーのノズルを捻る。
「き、君は…湯気があるとはいえ、恥ずかしくは無いのか…?」
「え?だって男同士じゃん、それにこの歳で羞恥心とか無いよ」
青年の質問に彼女は頭を洗いながら答えた。
「…それともなに?こんな少女の貧乳に近い身体に興奮すんの?ロリコンなの?」
「い、いや…そういうワケでは…そうか、君は男だったな…」
彼女の冷たく蔑むような視線と声による問いに青年は否定して心を落ち着かせるように呟く。
「気になるんなら妹とか家族と入ってると思えば良いんじゃない?流石に身内に興奮する人は少ないでしょ」
身体をゴシゴシ洗いながら彼女はどうでも良さげに言う。
「…そ、そういえば、そろそろ報告が来ても良いぐらいだな」
青年は咳払いをして話題を変える。
「どこの世界でも政府の動きは遅いもんだねぇ…」
「…仕方がないだろう…殲滅するにしても、君の条件を呑むとしても仮想の計画を立てて試算しないといけないのだから…」
「まあ政府が目先の事を優先して考えていたら苦労するのは国民だし…」
かといって後先の事を優先すると国民の反感を買うから政府も大変だな…と彼女は呟きながら泡だらけの身体をシャワーで流し、風呂場から出て行った。
「…先ほどはすまなかった」
「?なにが?」
彼女が風呂からあがるとすぐに男が謝る。
が、意味が伝わってないのか彼女は不思議そうに首を傾げた。
「いや、その…故意とはいえ裸を見てしまった事だ…」
「…ああ、別に…あんたは男に裸を見られて恥ずかしいと思う?」
男が意味を説明すると彼女は理解したように言葉を漏らしてから聞く。
「いや…俺は別に女にだろうと見られても恥ずかしくはないが…同性愛者では無いから男には見られても何も感じない」
「ん、私も一緒…というかこの歳で『うわあああ』とか『ひいいぃ』とか悲鳴上げたら痛くない?」
男の返答に同意しつつ嫌そうな顔で問う。
「この歳でって……どうしても外見で判断してしまうから、違和感は無いと思う」
「…あっそ…」
返答に困ったような男の言葉に彼女は興味を無くしたように適当に返して昼ご飯の準備を始める。
「…今日の昼飯はなんだ?」
「ハンバーグ…ドルテかな」
男の質問に彼女は野菜の皮むきをしながら答えた。
「ドルテ…?」
「おお、ドルテか!」
男が不思議そうに首を傾げると青年がタオルを首にかけた…いかにもな風呂あがりの姿で出てくる。
「ドルテというのは、肉と野菜を細かく刻んだ物を粉状にしたミジとを混ぜ合わせて焼く料理だ」
「…作り方を聞いてもどんな料理かいまいちピンとこないな…」
青年が作り方を説明するも男はイメージできなかったらしく首を傾げたままだった。
「あ、ああ…」
風呂場の戸越しに彼女が声をかけると了承の返事が返ってくる。
「いやー悪いね、先入ってるのにお邪魔して」
彼女が謝りながら戸を開けて入ると青年は背中を向けるようにして湯船に浸かっていた。
「身体洗ったら直ぐ出てくからゆっくり入っててもいいよ」
彼女は適当に言うとシャワーのノズルを捻る。
「き、君は…湯気があるとはいえ、恥ずかしくは無いのか…?」
「え?だって男同士じゃん、それにこの歳で羞恥心とか無いよ」
青年の質問に彼女は頭を洗いながら答えた。
「…それともなに?こんな少女の貧乳に近い身体に興奮すんの?ロリコンなの?」
「い、いや…そういうワケでは…そうか、君は男だったな…」
彼女の冷たく蔑むような視線と声による問いに青年は否定して心を落ち着かせるように呟く。
「気になるんなら妹とか家族と入ってると思えば良いんじゃない?流石に身内に興奮する人は少ないでしょ」
身体をゴシゴシ洗いながら彼女はどうでも良さげに言う。
「…そ、そういえば、そろそろ報告が来ても良いぐらいだな」
青年は咳払いをして話題を変える。
「どこの世界でも政府の動きは遅いもんだねぇ…」
「…仕方がないだろう…殲滅するにしても、君の条件を呑むとしても仮想の計画を立てて試算しないといけないのだから…」
「まあ政府が目先の事を優先して考えていたら苦労するのは国民だし…」
かといって後先の事を優先すると国民の反感を買うから政府も大変だな…と彼女は呟きながら泡だらけの身体をシャワーで流し、風呂場から出て行った。
「…先ほどはすまなかった」
「?なにが?」
彼女が風呂からあがるとすぐに男が謝る。
が、意味が伝わってないのか彼女は不思議そうに首を傾げた。
「いや、その…故意とはいえ裸を見てしまった事だ…」
「…ああ、別に…あんたは男に裸を見られて恥ずかしいと思う?」
男が意味を説明すると彼女は理解したように言葉を漏らしてから聞く。
「いや…俺は別に女にだろうと見られても恥ずかしくはないが…同性愛者では無いから男には見られても何も感じない」
「ん、私も一緒…というかこの歳で『うわあああ』とか『ひいいぃ』とか悲鳴上げたら痛くない?」
男の返答に同意しつつ嫌そうな顔で問う。
「この歳でって……どうしても外見で判断してしまうから、違和感は無いと思う」
「…あっそ…」
返答に困ったような男の言葉に彼女は興味を無くしたように適当に返して昼ご飯の準備を始める。
「…今日の昼飯はなんだ?」
「ハンバーグ…ドルテかな」
男の質問に彼女は野菜の皮むきをしながら答えた。
「ドルテ…?」
「おお、ドルテか!」
男が不思議そうに首を傾げると青年がタオルを首にかけた…いかにもな風呂あがりの姿で出てくる。
「ドルテというのは、肉と野菜を細かく刻んだ物を粉状にしたミジとを混ぜ合わせて焼く料理だ」
「…作り方を聞いてもどんな料理かいまいちピンとこないな…」
青年が作り方を説明するも男はイメージできなかったらしく首を傾げたままだった。
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