料理人がいく!

八神

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「…俺も行くか、ああそうだ、ここら一帯は封鎖されてるからいないと思うが…人が迷い込んで来たら追い返してくれよ」

「了解しました」


青年が指示して女の人が返事をすると茂みに葉っぱを捨てて中に走って行く。


「んじゃまあ…よろしく?」


彼女は魔物の頭を撫でながら疑問系で言う。


「…よろしくお願いします」


彼女の言葉に女の人は警戒するような目で返す。


「と言っても私達が動くのはもう少し先だけどね」


彼女は山に戻って行く魔物を見送ってどうでも良さげに告げる。


「…あの、聞きたい事があるんですけど…」

「なに?」


彼女が大釜に背もたれるように座ると女の人が話しかけた。


「コレ…あなたが作ったんですよね?作り方を教えて下さい」

「作り方って…ペイを蒸して、具材を包むように入れて握るだけだよ?」

「具体的には、どうやって包むんですか?」


手元のおにぎりを見ながら聞いてくる女の人に疑問系で軽く説明すると更に質問する。


「具体的って……ラップでもひいてその上にペイを乗せてその上に具材を乗せれば良いんじゃない?」


彼女は質問の内容に少し困ったように考えて簡単な方法を教えた。


「…そんな簡単な作業でこの食べ物に抗ゾンビの効果が出るんですか…!?」


料理スキルの事を知らない女の人は勘違いして驚愕する。


「簡単…んー…まあそだね、聞いてる分には簡単な作業だろうね」


彼女も女の人が勘違いしてる事に気づかずに返す。


「でも料理がとても上手ですね、多分同じように作っても私じゃこんなに美味しくは作れないと思います」

「まあ小さい頃からやってるから」

「へー…小さい頃から…」


彼女の事を全然知らない女の人は更に勘違いを増やしていく。


その会話を最後にお互い黙り、静かな空気のまま時間が流れた。


「…ふう、なんとか拠点は確保出来たぞ」


そこに男が走って戻って来て息を整えながら報告する。


「場所は?」

「ココから南西に15分ほど歩いた場所にあるビルだ、中に居た数人の人達はゾンビを解除してその場で待機するように指示した」


彼女が聞くと男は詳細を報告するように返した。


「んじゃ…あとは騎士団だけど…」


男の報告を聞いて彼女は立ち上がって袋から時計を取り出しながら呟く。


「とりあえず10分待って来なかったら第二段階に移ろうか」


彼女は時計を見て時間を確認するとそう告げる。


「そうだな、移動した後に連絡しよう」

「もしアレが来なかったら第二段階はあんたにかかってるから、よろしく」


男が賛同すると彼女は女の人に向かって期待を寄せるような事を言う。


「…えっ…!?」

「俺たちが運んでる間、護衛として群がるゾンビ達を倒さない程度の攻撃で追い払わないといけないからな」


困惑するような女の人に男が役割を説明した。


「アレが間に合わなかったら一人で私達とコレを守らないといけないから大変だと思うよ」


彼女も大釜を指差して補足するように付け足す。


「き、きっと間に合ってくれます!」


責任重大になるのを恐れてなのか、それとも青年を信頼しているのか、女の人が叫んだ。


「だと良いんだけどね…」

「予想では俺より早く戻ってるハズなんだが…」


そんな女の人に対し彼女と男は不安にさせるような事を呟く。
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