料理人がいく!

八神

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そして青年が来ないまま時間は流れ…


ついに作戦第二段階移行2分前に。


「間に合わなそうだナー」

「そろそろ行くか」

「…っ…!ま、まだあと1分残ってます!」


彼女と男が大釜に手を着くと女の人が叫ぶ。


「1分て…」

「っ…!すまない、遅れた!」


彼女が呆れたように何かを言いかけると青年が息を荒げながら戻ってくる。


「おお、ちょうどだな…」


ぜぇぜぇ…と膝に手を着いて息を荒げる青年を見て男が驚いたように零した。


「なんっ…とか、説得に、成功…したっ…!」


青年は息も整えずに苦しそうに報告する。


「…この方達が…」

「…なるほど、アレに入ってるのが…」


遅れて走ってきた人達は全員『騎士』と表示されていて、青年や女の人と同じ鎧を着けていた。


「…少し遅れるが、コイツの息が整い次第作戦は第二段階に移行だな」


男は十数人いる騎士団の面々を見て彼女と女の人にそう告げる。





「…ふぅ、もう大丈夫だ」

「んじゃ、行きますか」


少しすると息が整った青年が上半身を上げて彼女が大釜を押す。


「今から拠点に移動する!目的地まで、我々に群がって来るゾンビを倒さずに退ける事!」

「「「「イエッサー!!」」」」


青年が彼女と一緒に大釜を押しながら大声で指示すると、騎士団の面々は胸の高さまで腕を上げるポーズを取って叫んだ。


「拠点はココから歩いて15分ほどだ、俺が先導しよう」


男が集団の先頭に立って歩き、彼女と女の人と青年が大釜を押し、騎士団の面々が群がって来るゾンビを倒さずに撃退する…という役割で街を進む。


「「「う~…あ~…」」」

「噛まれないように気をつけろよ!」

「間違っても倒すんじゃないぞ!」


群がってくるゾンビに騎士団の面々は声を掛け合いながら迎撃していく。


「いやー大変だねぇ…」


大釜を押しながら彼女は他人事のように呟いた。


「「「う~…あ~」」」

「中にはHPが低いやつもいるから気をつけろ!」


まさかの敵を倒さずに撃退する事に騎士団は困惑しつつもゾンビを彼女達に近づけないようにする。


「HPが低いやつはどうすれば!?」

「蹴り飛ばせ!」

「赤で点滅しているやつは!?」

「投げ飛ばせ!」


騎士団の面々が困惑しながら問うと『騎士団長』と表示されている男が答えた。


そうして混乱状態の中を拠点と呼ばれる場所を目指して進む。


「あそこだ」

「みんな、あと少しだ!踏ん張ってくれ!」

「「「「イエッサー!!」」」」


男が目的の場所を指差し青年が声をかけると騎士団の面々の士気が上がった。


「もう少し…もう少しだ…!」


徐々に目的地である拠点に近づき青年は士気を下げないように状況を報告し続ける。


「…よし!みんな、急いで中へ!」


ドアを開けて拠点となる大きなビルの中に大釜を入れると慌てて青年が外に出た。


そして群がるゾンビの猛攻を凌ぎ切った騎士団の面々がビルの中に入ると青年がドアを閉めて一旦鍵をかける。


「…ふう、とりあえずは第二段階は完了…次は第三段階だな」


作戦の山場を抜けたからか青年は一息吐いてから告げた。
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